チョコレート Ⅱ【初序】チョコレートの呼称 製造  

チョコレートの風味

カカオ分・乳分の比率による風味の分類

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類別名称として定められているチョコレートの種類に関しては、チョコレートの規格を参照のこと。ここでは一般的なチョコレートの風味による分類を記載する[7]

ブラックチョコレートまたはビターチョコレート
砂糖や粉乳の配合量が少ないため甘味が少なく、苦味が強いチョコレート。中には砂糖や粉乳を殆ど、もしくは全く含まないカカオ100%のものもある。
スイートチョコレート
粉乳を含まないチョコレート。
セミスイートチョコレート
粉乳が若干量配合されたチョコレート。ミルクチョコレートほど乳成分を含んでいないもの。
ミルクチョコレート
粉乳が配合されたチョコレート。
ハイミルクチョコレート
粉乳と、若干量の非脂肪カカオ分が配合されたチョコレート。
ホワイトチョコレート
粉乳が配合され、非脂肪カカオ分が含まれないチョコレート。カカオ分はココアバターのみである。
チョコレート飲料
チョコレート若しくはカカオ由来の原料(粉末ココアなど)を、乳製品や水と乳化させ、飲料用にしたもの。

カカオマスの種類による風味の分類

未熟なものから熟したものまで、さまざまなカカオの実

コーヒーと同様、チョコレートもカカオマスの種類・産地・焙煎により、苦味、酸味、コク、香りなどのバランスが異なる。価格、風味の面を考慮して、複数の産地のカカオマスをブレンドして原料として用いることが一般的となっている。

フォラステロ種 Forastero
南米原産の栽培種であり産出量が多く安価。病害虫にも強く成長も早いため、現在の主力品種となっている。色は黄色で、苦味が強いのが特徴。現在では主に西アフリカ南アジアで栽培されている。欧米ではコートジボワール産、日本ではガーナ産をベースビーンズとして使用することが多い。
アリバ種 Arriba
フォラステロの突然変異で派生した種。フォラステロ種の最高級種とされる。エクアドル原産。独特の渋みとジャスミンの花のような香りが特徴。
クリオロ種 Criollo
有史以前から存在するカカオ豆の原生種であり、マヤやアステカで使用されていたのもこの品種であるが、病害虫に弱く19世紀後半に壊滅状態となってフォラステロ種に取って代わられた。現在では稀少種。現存するほとんどの株はフォラステロとの交配部がある。色は赤や黄色で、苦味が少ないのが特徴。ベネズエラメキシコなどで栽培されている。
トリニタリオ種 Trinitario
トリニダード島原産、クリオロとフォラステロの交配種。栽培が容易で品質もよい。ラテンアメリカでフレーバービーンズとして広く栽培されている。

チョコレートの製法による風味

原料の混合率や、磨砕・精錬の方法などは生産者独自のノウハウがあり、同じ原材料を使用しても全く風味の異なるチョコレートに仕上がることがある。

磨砕工程

チョコレートは、製造時に概ね粒径約10 - 30μmに磨砕されるが、この粒径により完成したチョコレートの口溶けが変化する。粒径が大きいほど口溶けが早いが、大きすぎると口内に粒状感を生じ、ざらついた食感となる。粒径が小さいほど滑らかな食感となるが、小さすぎると口溶けが悪くなり、もたつき感を生ずる。また、粒径にあわせて固形分の表面積が変化するため、チョコレートに含有される油脂の量が同じでも、チョコレートの粘性や食感が異なるようになる。

精錬工程

チョコレートの製錬工程において、温度とチョコレートドゥ(精錬生地)の固さは製品の味を決める最も重要な条件である。精錬度の低いチョコレートは雑味が多く、使用する原料によっては特有の臭気を含んでいることがある。このためチョコレートとして望まれている風味を最適な状態で味わえるように精錬を行う。しかし、精錬の度合いが高すぎるとチョコレートの風味が消し飛んでしまう。

テンパリング(予備結晶化) 

作る時の温度も風味に非常に影響する。チョコレートに含まれるカカオバターの結晶にはI型からVI型までの6種類の型があり、融け出す温度は17℃(I型) - 34℃(VI型)の幅がある。同一の原材料であっても、型によって食感はまったく異なる。V型が最も美味しいともされる。

作る時の温度推移によって、それぞれの結晶の型の割合・率が変化し、食感・商品としてのランクが変わることになる[8]。ある段階では○○度、次に□□度、その次に△△度と、いくつかの時点で変化させることになり、各段階の温度の組み合わせの数は非常に多くなる。温度設定・設計は品質に関わる重要なノウハウであり、大手製造者などでは企業秘密として扱っていることが多い。良いチョコレート作りを伝授する場面ではこれも伝える必要があるということになる。

性質

板チョコと溶けたチョコレート