チョコレート 曖昧さ回避 Ⅰ【冒頭】基本DATA栄養価 目…
チョコレートの呼称
イギリス人が固形のチョコレートを考案するまでは、チョコレートといえば飲み物を意味した。現に、例えば米国では今でも「ホット・チョコレート」と言えば日本で言うところの「ホット・ココア」飲料を意味する。日本国内では昨今、ココア粉末を使用したものをココア、生チョコレートの水分を多くしたものをチョコレートドリンクと称し分ける傾向があるが、これらチョコレート飲料の名称について厳密な定義は今のところない。
"chocolate"の語源については、辞典などでナワトル語のチョコラトルが由来とされているが、アステカがスペインに征服される前にはチョコラトルという用例が無く、そもそもナワトル語には「チョコ」という言葉も「ラトル」という言葉も存在しないなど、はっきりしたことはわかっていない(ナワトル語でチョコレート飲料は「カカワトル(カカオの水)」)。一説によれば、スペイン人がマヤ語の「チョコル(熱い)」とアステカ語「アトル(水)」から作った新語だという[6]。チョコレートの歴史#チョコレートの語源も参照。
製造
カカオの実の中のカカオ豆
焙煎前のカカオ豆
チョコレートの製造工程としては、まず原料であるカカオ豆の収穫から始まる。収穫されたカカオ豆は豆を包むパルプとともにバナナの葉でくるむか木箱に入れて数日かけて発酵させ、その後天日で乾燥させたのち工場へと運ばれる。工場のほとんどはカカオの産地である熱帯地方ではなく温帯や冷帯に位置するため、ここで船によって輸送されるのが一般的である。
工場に運ばれたカカオは、まず磁石で鉄を除き、風で埃を飛ばして、篩によって石を取り除き選別される。選別されたカカオは砕かれ、篩によって外皮と胚芽を取り除かれる。こうしてできたものはカカオニブと呼ばれる。カカオ豆をここで砕くのは、不ぞろいのカカオ豆を均一の大きさにし、後のロースト時に火がむらなく均一に通るようにするためである。
カカオニブはこの後焙煎され、火が通ることによって酢酸が除かれてまろやかになると同時にメイラード反応によって香りや風味が現れてくる。この後、風味をよくするために数種類のカカオニブをブレンドした後、磨砕機によって細かくすりつぶす。カカオ豆には55%の油脂分(カカオバター)が含まれているためにここでペースト状となる。こうしてできたペーストがカカオマスである。
なお、上記の焙炒法はニブロースト法と呼ばれるもので、ほかに豆を直接焙煎するビーンズロースト法や、磨砕を先に行ってできた液体を焙煎するカカオリカー法といった方法もある。
カカオマスにココアバター、砂糖、ミルクなどを混合し、チョコレートドゥを作る
できたカカオマスにココアバター、砂糖、ミルクなどを混合し、チョコレートドゥと呼ばれるチョコレートの元を作る。このドゥを5段のローラーにかけて数十ミクロン単位にまで細かく砕く。ここで非常に細かくすることで、チョコレートの舌触りが滑らかなものとなる。しかし細かくしすぎるとかえって口どけが悪くなるため、細かな調整が必要である(後述)。磨砕が終わると、コンチェ(コンチングマシン)と呼ばれる攪拌機にて長時間かけて精錬する。精錬が終わると、テンパリング(予備結晶化)と呼ばれる温度調整を行ってチョコレートを安定させ、型に充填した後冷却して固め、包装した後エージング(熟成)を行って完全に安定させた後、チョコレートの完成となる。