日本の年金 Ⅱ【初序】所管 国民年金 被用者年金
保険料
国民年金保険料は、2005年4月から毎年280円ずつ引き上げ、2017年度には月額16,900円に固定する計画。厚生年金保険料は、2004年10月から保険料率(労使折半)を毎年0.354%引き上げ、2017年9月から18.3%に固定する計画。
- 2013年度保険料
- 第1号被保険者の国民年金保険料は、月額15,040円(定額)。
- 第2号被保険者の厚生年金保険料率は、標準報酬月額の16.766%(9月現在)の労使折半(坑内員・船員は17.192%(9月現在)の労使折半)。
- 第3号被保険者の保険料本人負担はなく、配偶者の加入している年金の保険者が負担。
標準的な年金額
2004年改正では、標準的な年金受給世帯における受給し始めた(65歳)時点の年金額(夫婦の基礎年金と夫の厚生年金)の現役世代の平均手取り収入に対する比率(所得代替率)で見て、50%を上回る給付水準を確保することとされた。
- 標準世帯
- 夫が平均的収入で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯
年金を受給し始めた年(65歳)以降の年金額(名目額)は物価の上昇に応じて改定されるが、通常は物価上昇よりも賃金上昇率の方が大きいため、その時々の現役世代の所得に対する比率は低下していく。マクロ経済スライドによる調整期間においては、新たに年金を受給し始める者だけでなく、既に年金を受給し始めている者についても年金改定が緩やかに抑制され、年金額の現役世代の所得に対する比率は低下する。ただし、名目の年金額は、物価や賃金が下がる場合を除き、下がる事はない。
詳細は「老齢基礎年金#支給額」を参照
有限均衡方式
2004年法改正においては、厳しい年金財政状況を踏まえ、社会経済と調和した持続可能な年金制度を構築するために、給付と負担のあり方の見直しが行われた。
将来のすべての期間について給付と負担の均衡を図り(永久均衡方式)将来にわたって一定の積立金を保有することを改め、おおむね100年間で給付と負担の均衡を図り、その財政均衡期間の最終年度に給付費の1年分程度の積立金を保有すること(有限均衡方式)とし、積立水準の圧縮分を次世代、次々世代の給付に充てることとした。
- 有限均衡方式
- すでに生まれている世代の一生程度(概ね100年間)の期間(財政均衡期間)について、収入(基礎年金拠出金・国庫負担・積立金)と支出(給付費)の均衡を図っていく財政運営で、定期的な財政検証ごとに財政状況の現況分析と財政状況の見通しを立て、その見通しの期間を徐々に移動させていく財政運営。この場合、積立金の水準は、財政均衡期間の最終年度2100年(2004年財政再計算)において支払準備金程度(約1年分の給付費)とすることとされている。
- 財政均衡期間
- すでに生まれている世代の一生程度(概ね100年間)の期間における収入(基礎年金拠出金・国庫負担・積立金)と支出(給付費)の均衡を図ることとし、そのため定期的に財政検証(財政状況の現状分析)と財政の見通しを立てることとされている期間。
マクロ経済スライド(少子化と長命化に伴う年金の減額率)
詳細は「マクロ経済スライド」を参照
2004年法改正では、給付と負担の見直し方については、最終的な保険料の水準を法律に規定し(保険料水準固定方式)、その保険料の範囲内で年金給付を行うことを基本とした。年金額改定は、新規裁定者(68歳未満)は名目手取り賃金の伸び率(変動率)によるスライド、既裁定者(68歳以上)は物価の伸び率(変動率)によるスライドにより行われる。このため、これまでのように5年ごとの財政再計算(保険料の改定)は行わず、財政状況を検証するため、少なくとも5年に一度、「財政の現況及び見通し(財政検証)」が行われる(初回は2009年までに実施)。
また、財政均衡期間において、必要な積立金が確保できないなど財政の不均衡が見込まれる場合には、賃金や物価の変動と合わせて、少子化(公的年金加入者の減少)や高齢化(平均余命の伸び)といった経済情勢や社会情勢などの変動に応じて、給付の水準を自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド)が導入された。マクロ経済スライドによる調整期間における年金額改定は、新規裁定者(68歳未満)は名目手取り賃金の伸び率(変動率)×スライド調整率、既裁定者(68歳以上)は物価の伸び率(変動率)×スライド調整率により行われる。
- スライド調整率=公的年金加入者の変動(減少)率×平均余命の伸び率(0.997)
- 公的年金加入者の変動率=3年度前の公的年金加入者総数の変動率(3年平均)
- 平均余命の伸び率(0.997)=65歳時の平均余命の伸び率(平均的な受給期間の伸び率は0.3%)