日本の年金 Ⅰ【冒頭】目次 制度構造
所管
公的年金の所管は厚生労働省である。かつては社会保険庁が存在したが、運営事務は日本年金機構に移管され、残余資産は年金・健康保険福祉施設整理機構によって清算された。
日本における年金に関する特例法が成立されており、以下の特例法がある(五十音順)。
国民年金
詳細は「国民年金」を参照
かつての国民年金(1959年11月1日施行)は、ミーンズテスト型の無拠出制年金制度であり、その養老年金は、一定の年齢に達した者の中で、一定の所得以下の者に限定して支給するものであり、その財源は国庫から賄われた[5]。
現在の国民年金は拠出制年金であり、同法改正により1961年4月から保険料の徴収が開始され、国民皆年金制度が確立された。その後、1985年の年金制度改正により、基礎年金制度が導入され、現在の年金制度の骨格ができた。
被用者年金
「健康保険#適用事業所」も参照
被用者年金は強制適用事業所と、任意適用事業所に分かれる。強制適用事業所は、健康保険の強制適用事業所と共通であるが、厚生年金ではさらに、「船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者が乗り組む船舶」も強制適用事業所とされる[6]。
2006年度見通し
2007年3月に公表された「厚生年金の標準的な年金額(夫婦二人の基礎年金額を含む)の見通し【生年度別、65歳時点】-暫定試算-」の経済前提基本ケースで出生中位場合は、1941年度生まれ(65歳)の月額22.7万円(所得代替率59.7%)から所得代替率は徐々に下がり、1986年度生まれ(20歳)では月額37.3万円(所得代替率51.6%)となる。
- 経済前提基本コース
- 最近の経済動向を踏まえた設定
- 出生中位
- 2055年の合計特殊出生率を1.26に設定
財政運営
「日本の福祉#社会保障関係費」も参照
国民年金 | 21兆3040億円 |
厚生年金保険 | 25兆5993億円 |
共済組合 | 6兆4994億円 |
福祉年金 | 3億円 |
総計 | 53兆4031億円 |
財政の均衡
日本の年金制度は、現役世代の保険料負担で高齢者世代の年金給付に必要な費用を賄うという世代間扶養の考え方を基本に「賦課方式」により運営されているが、近年、経済の長期的停滞の下で人口の少子高齢化が急速に進行している。
世代間扶養の考え方に基づく財政運営方式では、保険料負担の急増や給付水準の急激な抑制が不可避となることから、従来から一定規模の積立金を保有することにより、将来の保険料負担の上昇及び給付水準の低下を緩和することとされている。2004年改正前の年金額の改定は、給付水準維持方式により原則として5年ごとに行う財政再計算に合わせて、賃金や消費支出などを総合的に勘案して行われ、保険料負担は段階的に保険料を引き上げる段階保険料方式がとられていた。また、財政再計算が行われなかった年度は、完全自動物価スライドにより年金額の改定が行われていた。
- 給付水準維持方式
- 年金額の給付水準を将来にわたり維持するために必要な費用を賄うための財源(保険料等)を確保する方式。
- 財政再計算
- 将来推計人口(出生率や平均余命、予定死亡率)、積立金の予定運用利率や経済情勢(賃金や消費支出の変動)を勘案し、今後の年金額やその給付水準を将来にわたり維持するために、今後必要な負担(保険料額)を5年ごとに見なおすこと。