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旗・紋章・マーク
ナチス政権当時のドイツ国国旗。現在のドイツなど、複数の国では掲示行為自体が
処罰の対象となる。
旗や紋章はその所属する立場をわかりやすくし、プロパガンダの効果を高める。ドイツのナチス党によって使用されたハーケンクロイツは特に有名であり、現在もナチスの象徴として広く知られている。そのため欧米では似通った模様の「卍」の使用すら忌避される傾向がある。
他にも共産主義の象徴としての赤旗・鎌と槌、各国の国旗などが広く知られている(アメリカ同時多発テロ事件直後、アメリカでは街じゅうに星条旗が掲げられ、“団結するアメリカ市民”を印象付けた。行動する保守はデモ活動の際に必ず日章旗と旭日旗を掲げる)。
建造物・像・都市計画[編集]
巨大建造物の建設は古代から為政者にとり、自己の権力を誇示し、己の世界観を視覚的に宣伝する手段として用いられてきた。現代でもそれは変わらず、為政者の権力を誇示し、イデオロギーを視覚的に宣伝する手段として、特に権威主義的中央集権国家でこれらの構造物が多く見られる。たとえば新古典主義建築はナポレオン・ボナパルト治世下のフランスやナチス党政権下のドイツ、ファシスト党政権時代のイタリアで多数建てられている。
一方で貧困などの不都合な事実を隠すために、立派な外観の建物やモデル村落などを作り、外国人や報道陣などに公開する場合もある。こうした見せかけだけの建物は「ポチョムキン村」と呼ばれる。
特徴
- 既存都市に対する都市計画・デザインについて、指導者を讃える壮麗な建築を行う(巨大な宮殿や城、パレード用の大通りや広場など)。:全く新規に都市を建設することについては、計画都市を参照のこと。
- 統一した建築様式や記念碑の巨大さで、民族性や政治性の誇示・偉大としたい文明の後継者であることの誇示・巨大建築を作らせる技術力や動員力の誇示を行う。
- その勢力のお抱え建築家に主要建造物の設計を任せるケースは、過去より多くみられる。たとえばスターリンにとってのボリス・イオファン、ヒトラーにとってのアルベルト・シュペーアやヘルマン・ギースラーが知られる。シュペーアとイオファンは1937年のパリ万博で、ソ連とドイツの双方の国家出展パピリオン建物のデザインを担当し、しかもその建物が道路一本だけ隔てて向かい合うというエピソードを持つ。
- シリアのクネイトラ、ドイツのドレスデン旧市街、広島市の広島県産業奨励館(原爆ドーム)、ドイツ首都ベルリンのカイザー・ヴィルヘルム記念教会初代建物(「旧教会」と呼称)のように、戦災などで被害を受けた建造物は、あえてその痕跡を残すことで、被害の記憶を留める効果がある。
- 建造物の建設予定地の選定(即ち、元々そこに存在していた施設やモニュメントの破壊も意味する)自体が政治ショー的意味合いを持つこともある。たとえばソ連のソビエト宮殿(未完成)は共産主義思想の敵とされた、ロシア正教会の救世主ハリストス大聖堂を破壊した跡地に建設される予定であった。旧ドイツ民主共和国ではやはり共産主義思想の敵である旧プロイセン王政・ドイツ帝政時代の象徴ベルリン王宮破壊後に共和国宮殿が建設された。ソウルにあった朝鮮王朝の正宮である景福宮は、日韓併合後に日本政府により宮殿正門の光化門をはじめとする8割以上の建物が破却され、宮殿正面に朝鮮総督府庁舎を建設して、街から宮殿を見えなくした。近年、大韓民国は旧王宮の景観改善(他、同国内で広く信奉されている風水術上での問題や日本治世下時代への忌避を背景とした世論の後押しなど)を理由に旧朝鮮総督府庁舎を解体した。
- これらに準じる行為として、都市や道路、広場の改名がある。特に欧州諸国では、都市の大通の名が歴史上の英雄や政治家の名に因んでいることが多い。
- 国の経済力や技術力を示すため、また、ランドマーク的な意味合いを持たせ、国や都市としての存在感を示すために、「世界で最も高いビル」、もしくは「世界で最も高いタワー」を建設する。
- 戦場に於いて、敵勢力の戦意を削ぐ(あわよくば戦わずして、停戦・降伏交渉を促す道具とする)のを主目的としたプロパガンダ建築の場合、芸術性などは特に考慮されない。史実上の例としては、安土桃山時代の日本に於ける豊臣秀吉の一夜城(石垣山城、益富城、墨俣城)が挙げられる。
主要例
- ソ連:スターリン建築やレーニン廟、指導者の銅像、ソビエト宮殿計画、オスタンキノ・タワー、ソ連国民経済達成博覧会、第三インターナショナル記念塔、コミンテルン記念塔
- 中華人民共和国:天安門の毛沢東の肖像画、人民大会堂、北京展覧館、上海展覧センター
- 中華民国:台北国際金融センター、中正紀念堂、国立故宮博物院(台湾台北市)
- 朝鮮民主主義人民共和国:主体思想塔、金日成の巨大像、平壌市復旧建設総合計画、凱旋門(エトワール凱旋門より10m高くなるように建設された)、柳京ホテル
- 日本:八紘一宇の塔、大東亜聖戦大碑、奉安殿、大東亜建設記念営造計画、靖国神社の大鳥居、東京タワー、東京スカイツリー、新国立競技場(計画)、リニア中央新幹線(計画)
- 満州国: 建国忠霊廟、コミンテルンとの戦闘者の記念碑(ロシア語版)
- マレーシア:ペトロナス・ツインタワー
- ラオス:アヌサーワリー・パトゥーサイ
- パキスタン:ミナーレ・パーキスターン
- インド:クトゥブ・ミナール
- イラク:サッダーム・フセイン元大統領の銅像
- アラブ首長国連邦:ブルジュ・ハリーファ
- トルコ:アヌトゥカビル(アタテュルク廟)、アタチュルクタワー
- イギリス:インド門
- ドイツ:勝利の塔、ツェッペリンフェルト(ニュルンベルクナチス党大会会場)、世界首都ゲルマニア計画(de:Welthauptstadt Germania)、ドイツ民主共和国首都ベルリンの社会主義的都心改造、ベルリンテレビ塔、スターリンシュタット、カール=マルクス=アレー(旧東ドイツ建国〜1961年の期間は「スターリンアレー」という名称。戦前のドイツでの中心繁華街であった「ウンターデン・リンデン通り」に代わる存在、且つ旧西ドイツ一の中心繁華街「クーダム通り」への対抗として整備されたが、やがて後に同じ東ベルリン内のフリードリヒ通りにその座を奪われていく)
- フランス:エッフェル塔、エトワール凱旋門
- イタリア:エウル(ローマ新都市42)
- ルーマニア:国民の館
- アメリカ:ワシントン記念塔、第二次世界大戦記念碑、海兵隊記念碑(硫黄島の星条旗)、ラシュモア山の4大統領像、アラモ伝道所、アリゾナ記念館、ワールドトレードセンター (ニューヨーク)、フリーダム・タワー計画
- ブラジル:バンデイランテスの丘
自然物
山、岩、海、川なども民族や国家の象徴としてプロパガンダとなる。アメリカのラシュモア山のようにプロパガンダとして自然物に手を加え、環境破壊が発生することもある。
ファッションの手法
ファッションは発言者の印象を大きく左右するために、イメージを向上させるために様々な工夫が施される。また、独自の衣服を着ることでイメージを定着させる方式もある。集団で独自の衣装を着、集団内での団結力の向上や、示威作用を得ることもある。黄巾の乱や紅巾の乱、ボリシェヴィキの革服[29]、ファシスト党の黒シャツ隊、国家社会主義ドイツ労働者党突撃隊の茶色開襟シャツ、毛主席語録が必携でこれを掲げて練り歩いた紅衛兵、日本の国旗や旭日旗を掲げてデモ行進する行動する保守の事例が知られる。
建国神話・英雄譚・伝説・学説の利用
建国神話は国家の正当性を表すため、重要な位置を占める。また、人々に広く知られる伝説や物語はプロパガンダに利用されるものがある。革命により成立した共和制の人工国家(例としてアメリカ合衆国とソビエト連邦、中華人民共和国、中華民国)は神話は持たない。
- ラーマヤーナ、マハーバーラタ、リグ・ヴェーダ、古代核戦争説#モヘンジョダロ遺跡、ヴィマナ復元研究:インド人民党政権下のインド
- 古事記、日本書紀、神風、義経=ジンギスカン説、復興軍神、皇国史観:大日本帝国。また復興軍神には楠木正成、新田義貞といった中世時代にて武家優位の趨勢であるにもかかわらず当時の天皇に忠誠を尽く通した武将が選ばれ、小学校教育の題材にもされた。
- 古代ゲルマン神話、北欧神話、アトランティス大陸神話、ワーグナー作楽劇、チベット・シャンバラ神話、宇宙氷説、優生学、優性遺伝、遺伝子汚染:ナチスドイツ
- ミシェル・ノストラダムス師の予言集:第二次世界大戦中の英国、ナチスドイツ
- 新約聖書、ヨハネの黙示録:チェルノブイリ原発事故直後のソ連
- 旧約聖書:神聖ローマ帝国、十字軍、島原の乱、太平天国、イスラエル
- 檀君神話:韓国、北朝鮮
- 「金日成元帥」「金正日将軍」の伝説(金日成・金正日を参照):北朝鮮
- バビロンの空中庭園:サッダーム・フセイン政権下のイラク
- アーサー王物語:イギリス
- 三皇五帝神話:中国諸王朝
- 西遊記:清朝末期の義和団
- 原初年代記、スラヴ神話:帝政ロシア
- スタハノフ運動、ルイセンコ学説:ソビエト連邦
- ヘネッケ運動:東ドイツ
- ポール・リビアの伝令活動:アメリカ合衆国