3月25日。この日大相撲は13日目だった。明後日は千秋楽だが、12日目迄は1敗が若隆景と高安。若隆景は東の関脇、高安は前頭東7枚目である。かつては大関まで駆け上った逸材だった。だが、幕の内での優勝は1度もない。元関脇の舞の海秀平さんは言う、「大相撲の七不思議だ」と。今更ながら私も言われてそう思った。
後は3敗が新大関御嶽海と前頭西6枚目の琴ノ若だが、年々様変わりしている。元横綱白鵬はいない。横綱になった照の富士も忘れられたかのような雰囲気で、横綱のいない場所となっている。大関正代も初日から4連敗した時は又変な気がしていた。次は1勝。また1敗で5敗。7日目からは目つきも変わった気がしたが昨日まで6連勝した。大関のカド番なのだ。
若隆景にも優勝して欲しいと思うのは私だけではないだろうが、願うらくは高安だ。幕内優勝の賜杯を1度はその腕に抱えて欲しいのだ。特に誰が優勝して欲しいなど願いは今はなく、その様子と雰囲気で考える。今は、高安に照準が合っている。
若隆景と御嶽海は土俵の下で次の呼び出しを待っている。2人とも同じ大学で、2歳御嶽海が先輩となる。若隆景の目は、上目遣いになったり左右をきょろきょろしている。目を伏せる姿もあったが、心が落ち着いていないような気が、私にはした。一方御嶽海は堂々としているように見えたし、心の弱さが見られない。ここまで表情に出ない力士も5本の指を出ない。体の違いもあったが、押し合う力は御嶽海が勝っていた。寄り切るのに時間は掛からなかった。若隆景は悔しかっただろうが11勝2敗となった。その結果御嶽海は10勝3敗。辛うじて優勝圏内には残った。
さて高安の番が来た。相手は西の大関貴景勝である。どちらにも弱点はあるが、それを上手く捉えられた方が優勢となるだろう。11日目に高安は若隆景に敗れているからどうしても負けて欲しくなかった。1度は大関にもなった高安。もう成れないと言う理屈は何処にもない。しかし、今場所の高安は何を思っていたのだろう。そう簡単には崩れなかった。微かな期待を持たせてくれた。押しも強かった。すぐに崩れる事もなく、上手投げで貴景勝を投げ倒した。高安12勝1敗、高景勝8勝5敗となった13日目だった。この1敗を千秋楽まで保ち千秋楽も勝てば完全に優勝だが、高安が明日負けて若隆景が勝てば千秋楽は勝敗によっては混戦になる。明日、兎に角高安が勝つ事を願い、千秋楽に賜杯を抱く事を思い描きたい。
強い若手もどんどん幕内の土俵に上がるようになっている。体と体。力と力がぶつかり合い、作戦をぶつけ合う国技を神事から発展した格闘として日本に残して欲しい。礼に始まり礼に終わる姿は、相手に敬意を表す心技体の素晴らしい形であり姿の1つではないかと思うからだ。