ふたご座流星群を2回目に観た時は14日の夜が15日に変わった1時45分の事だった。ちょっと外に出てみた。真夜中まで雲に覆われ、とても流れ星は見られないと思っていた。だが、嘘のように晴れて、雲が何処に行ったか分からない好条件になっていた。それと同時に、寒さは遠退いていた。
天に高くオリオン座が席巻まではしていないが、広く己の場所を誇っていた。ふたご座は左側のやや上方に、星座としてはオリオン座のようにはっきりしないが、兄のカストルと弟のポルックスは仲良く並んでいた。上の方が兄で、弟より僅かに暗い。その兄カストールのすぐ上辺りが群流星の放射点となっている。それを意識して空を満遍なく眺めていると結構広範囲に流れ星は見られる。
その時間に7個しか見る事が出来なかった。それでも見るのを止めたのが2時45分頃で、約1時間は見ていたのだなと、そちらの方に感じ入っていた。1時間に50個は見られると言う鳴り物入りだが、その前日も、10個位しか見られなかった。流星群の成り立ちを見れば、どうなるかは水物だ。
寒さを感じ乍ら、布団に潜りこんだ。
次の日、お昼の2時からの予約をして、床屋さんに行った。仲良しの感じのいい2人で、喋られずにいられない。どちらも、話によく反応してくれる。前面の大きな鏡の横には、いつも今月と次の月の手作りのカレンダーが貼ってある。2人の姉妹が、中学の頃からずっと書き続けているカレンダーだ。工夫が凝らされていて中々上手く、まっ先に目に付く。今は大学生と高校生になっている。
「ふたご座流星群の流れ星を見たよ」
私が言うと、
「そう! それは見たかったけど見られなかったです」
そう言いながら、2人で仕事の手は止めずに降り注ぐ程の流れ星を見た話をしてくれた。天体が好きそうな事は前から分かっている。
それはこんな話だった。
『2人で車で東京に行った時、夜中だったが休憩する為に入った所が公園だった。2時頃だったと思う。星が次から次へと止む事なく降って来て吃驚し、胸を打たれた事がある。20年くらい前だったと思う』
「うわぁ、羨ましい。そんなの見た事ないよ。帰ってから調べてみるね」
2001年11月19日未明の状況が記されていた。それはしし座流星群で、その時1時間辺り数千個が流れ、最も多い時1秒に1個は流れたようだ。5~10個が同時に流れる事も有り、それは素晴らしいに違いなかったと、容易に想像できる。しし座は、3大流星群のように沢山流れる中には入っていない。しし座は大穴だったのだ。
流星の歴史を紐解くと、1799年11月11日から12日にかけて12日の早朝に見られたのをドイツのアレクサンダー・フォン・フンボルトが見た記録を残している。前代未聞だ。今見たら、心臓が停止するかも知れない位の代物だと思う。それは、1時間に100万個降ったと言う。どう数えたかは分からないが、ちょっと計算して見よう。1分には約1万6千個降り、1秒では約270個降る。とても流れると言うのんびりした言葉は使えないが、シャワーなんてものではない位の流星は、見たくて観られるレベルではない。
床屋さんの2人が見たしし座の流星群でさえ、百数十年振りの流星だと言うのだ。こんな流星を是非見たい。私も、その頃勤め人だった。今のような情報網があったら見る事が出来ていた筈だ。2人は、偶然だったと言う。話しは逸れるが、宝くじだって「どうか当たりますように」と言って当たった例がない。