酒だ!

 

きっとひんしゅくを買っていると思う。

 

そんな事に関われるか、阿呆!! と言われているに違いない。人間は、ついこんな馬鹿げた事を言って仕舞いがちだが、返って来る言葉は因果応報である。

 

今日は私に取っては地味な日だ。5月9日(日)は母の日だったが、6月20日(日)は父の日だ。娘婿から贈り物が届いた。株式会社あさ開(岩手県盛岡市)の飲み比べセットだった。クラフトカラー本醸造(IWC2019金賞)、クラフトカラー純米酒(IWC2020W受賞)、クラフトカラー純米一度火入、特別純米南部流きもと造り、純米大辛口 水神の5本だ。じわじわ飲むのが楽しみになった。

 

すると暫くして、またもやもう1人の娘婿から、有限会社仁井田本家(福島県郡山市)の「にいだしぜんしゅ」。純米吟醸とにごりの2本。テレビだったか、ラベルにペン字の平かなで書いてある酒を見た事があったような気がする。どれ程呑兵衛かと思われるが、決してそうではない。コップに1、2杯飲むとスーッと眠くなり、気持ち良く意識を失い、白河夜船となるのである。

 

母の日のような華やかさはないが、送られて来て、それが甘露だと知る。今すぐは、勿体なくて飲めないので、暫くは瓶を並べて鑑賞だ。

 

さて、ビールの話をしよう。テレビで、SUPER DRY ASAHI「日本初/全開!生ジョッキ缶」を宣伝していた。心に残ったのはプルトップの事で、ジュースやアルコール飲料のありきたりの缶の小さな開き口ではなく、丸ごと開いてグラスのようになる事だった。そのままジョッキで飲んでいるような感じになる面白さがあった。

 

それが頭に鮮やかに残って、スーパーに行く度に、ビール缶の置いてあるコーナーを見た。すぐ見つかると高を括っていたので、ないのが訝しく思われた。所がある日5月中旬の最初の頃だったか、偶然に目に入った。プルトップの所が丸ごと開くようになっている。もう10本もなかった。兎に角4本ゲットした。

 

340ml缶は上部3分の1に斜めに黒字のASAHI。その文字の上は金色、下はシルバーが基調になっている。美しい色には間違いない。1缶200円弱と言った所だ。「泡が出る。ゴクゴク飲める」。魅力あふれる文句だ。

 

常温か冷やして飲むかするように書いてあるが、12℃以上は吹きこぼれ注意と書いてある。私の脳は、冷やしていなかったら全部常温だと感じていたらしい。缶を開けた途端ぶおーっと泡が吹き零れた。缶の中のビールは半分になっていた。勿体ない。

 

すぐに、残りを冷蔵庫に入れた。夜になってから恐る恐る開けると、流石に大きな音はするが、零れる事はなく実った麦の色をしていた。缶のまま飲んでみたが、折角ジョッキがあるのだからそれに注ぎ込むと泡が上がって来る。忽ちきめ細かな絹のような泡になった。慈しみながら飲んではまた注ぎ足す。すぐになくなった。500mlの缶はあるのかないのか。

 

それから長い間、いつまた並ぶのかスーパーに行く度に何気なく探していた。次はいつ入るか全くわからないと、店員さんは言っていた。そうして1月が過ぎた。もう忘れそうな時だった。それは完売してから随分経った6月15日。PCを見ていると、この日に再発売されると書いてあった。見たのは偶然であるが、すぐにスーパーに向かった。昼頃だったと思う。ビール缶の並んだ場所に足を向けた。

 

誰かも探しているように感じられたが、私には間もなくそれに気が付いた。そこだけがすかすかしていたが、確かに見覚えのある生ジョッキ缶だった。6本あったと言うか、残っていた。それを持ってレジに行った。

 

「お客さん、そのビール缶はお1人1本になっています」

 

「えっ、そうなんですか」

 

色々言いたい事も有るが、最終的には1本しか貰えない。こんな事で目立つ事はしたくなかった。でも、せめて、

 

「2本は駄目ですか」

 

心では、だったらビール缶の前に1本限りと書いて置けばいい。と思いながら、そんな事をしたら、もっと早くなくなっていたに違いないと、大人げない葛藤をした。寂しく1本貰って、スーパーを出た。そこで閃いたのが、他の店だった。ローソンに行って見た。ない。諦めは付いていた。諦め序でに、イオンの食品売り場に行って見た。完全に諦めるためだった。

 

ビール缶を探しながら歩いていると、生ジョッキ缶がずらっと並んでいる。数本所ではない。数えた訳ではないが、4、50本、驚きが先に走った。数人がその周りにいて、私はこの日になくなる事は分かっていたので、12本籠に入れた。その時、驚きの光景が(笑)。

 

横にいた男が、箱を持ち上げて、レジに行った。生ジョッキ缶の下には、24本入りの箱が7、8ケース位積み上げられていた。夫婦と思われる人が1箱ずつ持ち上げて、レジへ。また1人、持ち上げて持って行った。私は、そんなに買うきはなかったから、12缶買えるだけでも驚きを隠せなかったので、ゆっくりレジに向かった。

 

スーパーの1本と、イオン食品売り場での12本との13本を、床の上に並べた。そして、2本だけ冷蔵庫に入れた。

 

2、3時間して開けた。ぶおっといきおいよく泡が噴き出た。食卓は泡浸し。ああ、冷やすのが足らなかったのか。「2度ある事は3度ある」と言う諺を「2度ある事は3度はない」と言う言葉にして、2本目は数時間後に飲む事にした。

 

最初からイオンに行ってさえいれば、「1本限りです」と言われなくて済んだと思ったが、いい勉強になった。大きな所ほど懐が深い、と。

 

もう何処にも売っていないが、次は7月13日と言われている。どんな状況になるか分からないが、イオンで1本はないと信じて、今度は自分の手でケースごと抱えて、レジへ運んでみたい。