TVの所為? TVのお陰? どちらにしても、今日(13日)のTVが偶然にも言わなかったら、こんな夜遅く、恐ろしい状況の屋上駐車場には行かなかった。「ペルセウス座流星群は、今夜も観られます」。
今夜は椅子を持って出掛けた。家族は訝しがったが、段ボールで出来た椅子だと言ったら納得した。まさか、キッチンのあんな重い椅子なんて、持って行く筈がない。もうずっと前、卓球仲間の斡旋で、500円で買っていたものだ。もっと早く気が付けばよかったのに。
遠いスロープではなく、手前の車が上る道から上がった。この広い駐車場は暗く、とても9時10分とは思えなかった。誰もいない。と言うか、明かりは皆消え、車は1台もなかった。正確に言うと、いつもの私の定位置近くにたった1台の車が前照灯を点け、正面の壁を照らしていた。私はそこまで行かずに様子を窺った。すると、すぐにその車は、スロープを下りて行った。
2階の明かりが少し見えはするが、誰一人いる気配はなかった。木曜日が9時には誰も居残りがない決まりになっているのか、お盆に関係しているのか、それは分からない。兎に角、こんな状況は私には好都合だった。他人の気配がないのも、車が1台もないのも初めての事だった。
今日は昼間から、雲がなかった。最高の状況が初めて訪れようとしていた。だが、雲は東側はべったりと張り付いていて、北から西にかけては殆ど雲はない状態だった。何かあったら大声を出して叫ぼうと思った程、恐ろしさは免れなかった。だが、それ以上に星が私を見つめてくれているようで、そんな事は考えなくなっていた。
定位置には行かず、車が止められる1ケ所を選んで、そこに椅子を設えた。こんな楽な事はない。なぜ気が付かなかったかと言うより結果論だが、昨日だったら座っていても2つしか流星を見る事が出来ず、2つ位で座るなんてと思っていただろう。
昼は此処に来ていたが、車は100台以上止まっていた。結構広いのである。私は、2匹のメダカが死んだ。今4匹で、メス3匹と小さなオスが1匹になった。それで、楊貴妃のオスを2匹買いに来た。値段が少し上がっていた。他の種類もあるが、楊貴妃の2倍の値段はする。それでも折角ならと、銀色に輝く雷電を1匹と楊貴妃1匹を買う事にした。
「雷電は雌雄を見分けるのが難しいでしょう」
と、一度も会った事のない女性店員に言った。プラスティックの四角いケースに入れては見つめていたが、
「多分、としか言いようがないです。でも略オスだと思います」
と言った。
「分かりそうになかったら、楊貴妃のオス2匹でもいいですよ。これは分かり易いと思うので」
と言った。周りにいたお客も興味を持っているのか、その選別をじっと見ていた。
「これオスですね」
と言って、私にもその楊貴妃を見せた。すぐにオスだと分かった。
「OKです。オスですね、それは」
そうして、2匹を連れて帰る事になった。死んだ理由を、彼女も温度が30℃を越えている事を指摘した。最近、餌の食べ具合も悪く、動きも鈍かった。家では、全面的に水槽の掃除をして、水もすっかり換えた。その所為か、心配していた縄張り争いもなかった。少しは温度も低くはなったかも知れないが、結構温く、しかもメダカには熱く感じられるだろう。カルキがメダカを弱らせたり死なせたりするといけないので、カルキ抜きをしない分、浄水を使った。
6匹(オス3匹メス3匹)は元気に動き回り、餌も喜んで食べた。私が水槽に近付き餌の入った器を取ったらすぐに寄って来る。少しずつ、何度でも与える事にしている。その方が、餌が残らない。メダカはお腹に餌を溜める事が出来ないので、すぐになくなる位が水を濁らせないで良い。
それでも心配は、水温である。私は閃いた。冷蔵庫で氷を作っているが、それも浄水で作っている。これを3、4個水槽に入れたら、水温が少しでも下がるし、近くに寄って行って涼をとると思った。水槽の中で温度差が生まれる。すると氷に近付くメダカもいる。メダカも、その差を楽しんでいるようにさえ思われた。
もう卵を産む事もなくなっているが、やっと1匹孵った稚魚を、カルキ抜きをしないで水替えをした所為で死なせてしまった。その後、別の容器に卵を入れ、一か八かで放って置いた。大分経って、何だか動いているのが分かった。稚魚だった。2、3日して、もう1匹孵った。これは是非大きくしたいと、今丁寧に餌やりをしている。細かい餌なので、爪楊枝の尖っていない方に乗せて水に浮かべる。餌が小さ過ぎて、食べているのかどうかが分からない。
余談だったが、この明るい時と暗い時の同じ駐車場の様子を感じて貰いたかった。
条件は今までよりは良く、雲量は全体を見渡すと4割位だ。だが、厚ぼったい大きな雲が、東から西に流れている。折角大きく開いている星の見える部分が、時間と共に北を中心とした場所を覆う事になる。雲は、悠々自適、勝手気ままだ。そのまま広がって移動するかと思えば、水蒸気の水滴が蒸発するのか、雲がなくなったりもする。
肝心の流星群の事だが、何だか現れる気がしない。でも、段ボールの椅子に座り首を空に向かって曲げていた。すると、えっと言う間もないほど短い流星が走った。1秒もかからず、すぐに消えた。9時22分の事だった。1つも見えないだろうと思っていた私は、たったそれだけの事に驚喜した。
もう1つ同じ様に短いのを見たのが、35分。スーツと長く尾を引いたのが41分。3秒は光っていた。次は44分。いい感じだ。これも3分以上長く眺められた。これで11時まではここにいる決心をした。
それから、飛行機が小さな星のように東から西へ、カシオペアの下を通った。西側の1つの星が飛行機の所為で動いているように見えた。その瞬間に極々短い流星が2つ見えた。10時30分頃だっただろうか。それからは、もう流星を見る事はなかった。11時には腰を上げ、未練を感じ乍ら、スロープを下って行った。あんなに輝いていつも私と共にいた木星も、帰りにはとうとう姿を見せてはくれなかった。
1時間に30個見える事が保証されているなら満足感はあるだろう。平均して2分に1個は見られるからである。でも、そうでないのがまた面白いのかも知れない。1分間に何個も流れる、そんな流星の宇宙ショーを見てみたいものだ。そんな事あるだろうか。
昨日で取り敢えずけりを付けた積もりでいた。だが、TVを見てしまっては放っては置けなかった。つまり11日から13日まではペルセウス座流星群は見られると言う事になれば、11日は1つも見られなかったが、もし13日に見られたと言う話しになった時、私の未練は募るばかりだと思ったのだ。
未練と言えば「北の宿から」がすぐに思い出される。阿久悠作詞、小林亜星作曲、都はるみ歌。それにしても名歌だが、特に作詞には驚かされる。なんと凄い詞を作った事だろう。ほとほと感心する。
♪着てはもらえぬセーターを 寒さこらえて編んでます・・。
ここまで心を焦がす事はないにしても、6個も見る事が出来たのにまだ未練があるなんて、流星には責任も何もありはしないけれど、その魅力は果てしない。
本格そば焼酎「雲海」を飲んでから出掛け、帰ってからも飲んだ。これだけ癖のない、しかも美味い焼酎は、久し振りだ。雲がなかったらなどと言うのは、「雲海」に申し訳ない気がする。宮崎のこの焼酎は、雲海を美しいとさえ思っているのである。やっぱり、流れ星を見たら感動する。