朝早く、高速バスに乗った。

 

5日間は休日用の時刻表で運行すると書いてある。2つの時間のどちらかを選ぶ積もりだった。7時の初めの方、終わりの方の選択。三ノ宮からの帰りのバスの時間を考えていた。去年は早く出て、帰りに三宮のバス停で9時半まで暫く待った経験があるからだ。

 

バスに乗る前は青と白が半々位の空だった。寒空に晴れているのは気持ちが良い。

 

初日の出などはとんと観た事がない。バスの中からは雲のカーテンの後ろに光る、まるで小惑星の爆発のような光を見た。何度かちらちら太陽の方に目を向けていた。すると、ベールが剥がれてまともな太陽が目に入った。瞬間的に目を反らせたが、バスの中は周りが緑色に光っていた。

 

太陽の燦々たる光の雫を、精一杯に吸い込んだ。バスから水平な線を伸ばし、その上に角度を付けて見ると、凡そだが15度の辺りに太陽は在った。

 

三宮は静かだが、時折若者たちの叫び声が聞こえる。相変わらずゴミは散らばり、たばこの吸い殻は散乱している。

 

「おい」

 

突然声を掛けられた。何と生田神社の初詣を済ませてこちらに歩いて来るN君だった。

 

「おっ」

 

ここで会話を書いていったら、長い上にも長いブログになってしまう。帰りの9時30分に間に合うかも気になってはいた。しかし、この2020年初の逢い初めに内心驚きと喜びがあった。何と言う奇遇か。遅いバスを選択していなかったら、会う事など結果的にだが、なかった筈だ。

 

生田神社に詣でる前に人に会って、立ち話は暫く続いた。

 

「また飲みながら話したいなあ」

 

と言って別れた。1年は会っていなかった。神社に近付くにつれ、少し賑やかになった。大声を出すのは決まって若者だ。酔っているから傍には近付かないように鳥居を潜った。屋台の数は半端ではない。その陰に隠れた清め所で柄杓に水を汲んで清めの作法をした。

 

若い女性が1人同じ事をしていたが、誰も殆どそんな事には無頓着だ。私も、ひょっとして形式的なのだろうが、汚れちまった、あれ? 中原中也みたいだ、汚れた私がそのまま天照大神の和魂(にぎみたま)稚日女尊(わかひるめのみこと)または妹と言われている神に手を合わせる事は、出雲大社に何十遍となく詣でた染み込んだ習慣を放棄するに等しかった。

 

お参りをしてすぐ後でお御籤を引いた。巫女さんが2人ずつ組になって、番号を書いたひごを見てはお御籤を手渡している。三十八番、吉だった。去年は四十八番だったと思う。番号は余り関係ないだろうが、でも果たして一番はどんなんだろう。とても可愛い巫女さんだった。何故か。1000円出してお釣りを貰う時、丁寧な感じのいい、最高の渡し方をしてくれた。それに、笑顔が素敵だったから。私とは真反対だった。

 

神社で大きな音で「春の海」が流れている。尺八と琴の音。私はオカリナで吹くが、それはそれ、でもやっぱり正月の音はこれだ。

 

9時半には少し時間があった。遠回りをしてバス停に行こうと考えた。生田神社は東門街と接している。歩くと色んな店がある。勿論夜は全く姿を変え飲み屋街となる。知る人ぞ知る歓楽街だ。

 

北から抜けると目の前は、道を隔てて西村珈琲店がある。途中に、昨年マリーさんを夜皆で送って来た「DAIICHI GRAND HOTEL」があった。

 

まだ9時半までには30分以上あったが、ゆっくり歩いて停留所に行った。1人コンクリートの土留に座っていた。時刻表を見た。ひゃー、と心の中で叫んだ。9時30分など何処にもない。次は11時だった。

 

仕方がない。JRに乗り、垂水からはバスで帰る事にした。

 

新快速が来た。しかし、これは須磨にも垂水にも止まらない。次は神戸。その月は明石だ。三宮から元町を過ぎて神戸まで行って降りた。普通に乗り換えて、垂水に着いた。JRに乗っている時は海が見える席ではなく、その反対の席に座った。随分空いていた。ドアや反対側の戸に、私の背中方面の空に雲が浮かんでいるのが写っていた。

 

だが、気が付いた事がある。駅に止まる度に乗って来るのは女性ばかり。新長田位で、それが女性専用の車両だった事に。慌てて隣の車両に移ったが、何が何だか考え事をしていて分からなかった。ああ、なんて不便な電車だ。

 

垂水のバス停のベンチに座ると、空は全く青かった。段々雲が何処かに行って、晴れ晴れとして来た。まるで、子供の頃の運動会の空のようだった。

 

こうしてブログを書いている時に娘の家族が4人来た。12時に。私はこのブログが終わらないと皆と話せない。このPCの下のバーに「*」が出たらお仕舞だ。バックアップの方法を知らないからだ。今も慌てている。あっ、閃いた。ここでアップして置いて、後を書いたら再びアップすれば、今まで書いたものは消える事はない。

 

さあ、戻って来た。台所では皆雑煮を食べている。食べたい、食べたい。もう文章もなにも、無茶苦茶になっている。ま、いいか。彼は、「大吟醸 龍力 米のささやき」の一升瓶を下げて来てくれていた。ああ、早く飲みたい、飲みたい。日本酒が飲みたかったし、買ってもいなかったから、今からが楽しみだ。普段は焼酎だし。

 

もう、雑煮と日本酒の限界だ。皆、もう食べ終わっているようだ。お御籤の一部を載せて、いざ台所へ。

 

「生田神社おみくじ 第三十八番 吉幾三」

 

居明かして君をば待たむ ぬばたまの わが黒髪に 霜はふれども  (作者未詳 二・八九)