目の前に止まった信号待ちのワゴン車のリアウインドウは、まるでちょっとしたスクリーンのようだった。四隅は青いが画面は殆ど雲で、それは静かに右に流れていた。

そうして、一昨日(25日)の「YOSOMI好きなヤツ」と銘打つ気まぐれ音楽集団のコンサートも、流れ去って行った。

昼までは、椅子並べの準備やリハーサルを出演者で行った。昼は、生田文化会館の1階にある食堂のテーブルに、弁当持参の人以外の10人ばかりが並んだ。シマさんが事前に注文を取ってくれていた。その為、順調に食事は進み、コーヒーブレイクの時間も十分に生まれた。

私は、ひろこさんがいつもビールを飲むので、それが羨ましくて仕様がなかった。今回は演奏も一番最後になった為、飲む事にした。3時間半は過ぎてからだから、それは大丈夫だ。4、5人が飲んだ。こんな事は、私には珍しい。

メンバーは大体いつもの同じ方々であるが、今回「Merrily」さんが加わった。ピアニカ3人組の内の2人が参加した。

大入り満員立ち見席なんて事はなく疎らではあるが、それがまたステージからもゆったりして見えたし、また観客も窮屈そうな感じがしなかったのが良かった。もっと宣伝したり誘ったりすれば集まるだろうが、兎に角コンセプトは楽しむ事にある。その点は、ステージも客席も満足だっただろうと思う。

休憩の前にある出演者全員でのコラボでは、いつもS.Sさん(ピアニスト)が伴奏して下さっている。皆はいつも感謝の気持ちでいる。今回は「二見情話」「埴生の宿」「夕焼け小焼け」の3曲。その伴奏はプロが我々アマチュアの力量を高めてくれると言った特別な存在と構図だ。S.Sさんはそれが済むと、用事の為に暫くして会場を後にした。

1組毎に感想などを書くのも良いが、長くなる予感がするし目も霞んで来るので、せめて8組の演奏曲目だけは載せておこうと思う。

始めのあいさつはシマ唄さん。前半の司会はオカリナママさん。後半の司会はそらの陽さん。終わりのあいさつは私(オカリナの詩)だった。司会は2人とも、オカリナのように上手くなって行く。これは感動もので、発見でもあった。

そらの陽
  歌の翼に
  サリーガーデン
  ノムスベ(彷徨)
  サライ

シマ唄やろう
  黒だんど節
  徳之島しゅんかねぃ節
  島かんつぃむぃ節
  ワイド節

昔はチッチとサリー
  リコーダー&ピアノ
   シチリアーノ
  ピアノソロ
   インベンションNo.1
   羊は安らかに草を食み
  鍵盤ハーモニカ&ピアノ
   ストリートタンゴ

Merrily
  花は咲く
  上を向いて歩こう
  川の流れのように

コラボ

(休憩)

夢☆チャンス
  シンコペーティッド・クロック
  サマーサンバ
  ティコ ティコ
  ダニーボーイ&スワローテイルジグ
  ヘイ ジュード

ふんず
  箱根八里の半次郎
  海雪
  First Love
  未来予想図Ⅱ

ひろこ
  大岡越前のテーマ
  風になる
  学生時代
  人生の扉

オカリナの詩
  船頭小唄
  My memory
  かもめが翔んだ日
  さとうきび畑
  愛の讃歌

誰かがアンコールと言った。アルコールと言って欲しかった。そんなアホな事はさて置いて、「アンコールがあったら吹くけれど、あんまり練習もしていないし、そんな事は絶対にないから、ここだけの話にしておいてね」と、コンサートが始まる前に言っていた。だから、本来なら会場からもない筈だし、もしかしてあったにせよ、私には自信のない曲だった。だから、誰がアンコールと叫んだかは分かっている。

ちょっと慌てた。だが、このアンコールは、私が最後だったから私なのであって、私は末席を汚しているのである。本来なら私以外は声が掛かる程、皆上手い。それで、私は皆を代表して、感謝の気持ちを表そうと思った。これが上手く吹けなかったらコンサート全てに関わる。何とか吹き終わったけれど、反省点は多々ある。自信のない曲は吹くものではないと思った。それは、リベルタンゴ。

コンサートを聴きに来て下さった方。最後まで残って聴いて下さった方々には、心からお礼を申し上げたい。感謝の気持ちで一杯だ。

来年のコンサートの日も、もう決まっている。鬼も呆れて笑わないと思うが、

    日時  【2019年11月24日(日)午後1時から】

    場所  【神戸市立生田文化会館】

同じ会場である。是非また聴きにお越し頂きたい。我々は、それを励みにまた頑張りたいと思っている。


さて、これがあるから止められないのが懇親会。反省してもどうしようもないから、反省会とは書かなかった。でもどちらの名称であろうと、頭を駆け巡るのは「生ビール」だ。それ急げ。

今回は11名の少人数なので、会場はシマさん達がよく集う板宿の「孫悟空」になった。地下鉄で幾つかの駅を過ぎなければならず今までよりも遠くなるが、ここは私もシマさん達の会に誘って貰って何度か来ている。11人にはとてもぴったりの所だ。奄美大島や徳之島縁の食べ物も出て来る。大皿や鉢に入ったものが向かい合った長テーブルに7つ並んだ。

大根などの煮物、キンピラごぼう、トマトを使った料理、骨付きの豚肉、キュウリの酢の物(ミミガー入り)、ポテトサラダ、お寿司(穴子の箱寿司と大きな巻きずし)。もう座ったら余り動けない。食べ物は、そのままだと満遍なく食べられない。時々大皿などを交換して小皿に取る。または小皿を誰かに渡して取って貰うと言った、如何にも庶民的な屈託のないこのような食事スタイルが楽しい。私は大満足だった。

生ビール。喉を流れる瞬間とその胃の中に納まる過程が、何とも言えない。これが皆と繋がる瞬間だ。

この店は貸し切りをしている訳でもなく、暫くすると他のお客も入って来た。我々は、演奏もして楽しむと言う事を含んでいる。女将に、数人の客にちょっとだけ演奏してもいいか聴いて貰った。それで、Nさんがギター、オカリナママさんがピアニカのコラボ演奏をした。お客さんも喜んでくれたようだ。

そらの陽さんが事前に提案してくれていた3重奏を、ふんずさんと私の3人で吹いた。「もみの木」の3つのパートを分担して吹いた。実は3人共明かりのグラデュエーションが透けて見えるプラスティックのオカリナを持っているので、それを灯しながら吹くと言う趣向だった。お客達に迷惑が掛かるといけないので、店の灯りを消したりする事は出来なかった。

色んな話で盛り上がり、そろそろ始まったカラオケ。向こうとこちらでエントリーして歌った。もうカラオケ文化が定着している所為か、例外なく皆上手い。拍手もし合った。

私が歌い出すと皆が笑った。だから歌いたくなかったのに・・。「千曲川」だが、何で笑ったか聞いた。何度も笑ったもんで・・。本人はその気になって歌っているのに。ここでクイズです、とは言わない。五木ひろしの物まねみたいだからと言うのが答えだった。私は透かさず言った。

「僕が彼に歌を教えたんだ」

馬鹿臭くて、そう言った私が最後に笑った。

省略するが、話も盛り上がり、一番端っこの私の隣りに座っているSさんと、ビールの次はトマト酎ハイを飲んだ。ビールもトマト酎ハイも、何杯お代わりしただろう。そうして、5時半から8時半までの反省なしの懇親会は終わった。

ワイシャツが汗で濡れている私。皆厚着をしているにも関わらず汗をかいていない。不思議だった。詰まる所汗かきなんだろう。暑いより少々寒い方が、私はずっといいのである。

西や東に別れ、私は家に辿り着いた。ちょっと飲み足りないかなと思い、焼酎を飲んだ。もうシャツの汗もすっかり乾き、今日1日の事が嘘のように去り、平常の夜の日常に静かに変わって行った。


参加して頂いた皆さん、本当にありがとう。こんな爺さんと自前で付き合ってくれて感謝です。紙屑の様に捨てないで、ね。