その名も「出羽桜」。
自分は、幸い酒は強くなく、楽しむ方である。
仲間と飲む時は、最初は生ビール。それがない場合は瓶ビールで、次は芋焼酎がパターンだ。ワインとか紹興酒だとかウイスキーは、お店の条件に依ってしか飲まない。
つい昨日(20日)、お酒が届いた。私が受け取っていないので、見たのは今朝起きてからだった。1年以上前から気になっていた日本酒だが、「獺祭」同様、自分から買って飲める代物ではなかった。同じ酒の名前でもランクがあるのは衆知の事実である。
桐の箱に納まり、箱書きの山形県「出羽桜」の墨色は堂々として美しかった。桜の花の落款。これらは勿論印刷であるが、それでも存在感が半端ではない。
金色の布に納まって、山吹色の房の付いた紐で結ばれている。純米大吟醸原酒「出羽桜」の瓶は、720mlである。他人から送られて来たとは言え、だからと言ってすぐに飲む訳には行かない。ゆっくり熟成されたもので、氷点下熟成と書いた青色のシールが貼ってある。
置く場所や常温保管か冷蔵保管もあるが、「生酒」ではないので常温で良い。「原酒」は発酵した醪を絞ったそのままのもので、加水処理がされていない。それで度数も加水された普通の酒(15度位)より5度位高い。さぞ芳醇だと思える。だが、今すぐに飲む訳には行かない。1合ずつ大切に飲んだとしても4日で飲み干す事になる。6月に咲いた遅咲きの桜が4日で散ってしまうなど、寂しい限りではないか。
17日父の日には、岩手県の「あさ開」日本酒飲み比べセットが届いた。300mlの瓶が5本入っていた。同じ酒造の酒でも、随分味が違った。17日から1本ずつ飲んでいるので、今日で最後の1本となった。純米大辛口「水神」、「純米酒」昭和旭蔵、純米吟醸「夢灯り」、南部流「伝承造り大吟醸」、純米吟醸冷奨「夏季限定」の5本。
日本酒は、そんなに好きな方ではなかったが、この数年味わい深いと思えるようになった。今晩で、「あさ開」は最後の1本となる。
5本の酒は嬉しかったが、昨日の原酒もとても貴重だった。それは、頂く事でもなければ生涯飲む事もなかった「出羽桜」だったからだ。幻のように、6月の桜は儚く消えて行ってしまっただろう。
6月か、7月か、8月か知れないが、桐の箱書きを見つめながらいつ飲めるだろうと楽しみが残った。何か先に実現する事が分かっている楽しみは、どんなに小さい事でも胸をわくわくさせるものである。「出羽桜」の下で花見が出来るまで、暫く満開である事を信じていたい。いや、信じている。
因みに、出羽桜酒造株式会社は、箱の中にこんな言葉を入れていた。
東に蔵王、西に月山。最上川が日本海を駆けくだる。
北国の人々が待ちわびた春には梅、桃、桜が一斉に咲き誇る。
ふるさと山形、天童。その故郷の人々が愛する酒 出羽桜。
伝統の手造りを守りながら最先端の貯蔵技術も駆使して醸した
純米大吟醸原酒はぜいたくで貴重な日本の酒。
果実の様にふくよかな香り、辛口でキレの良い喉越しと確かな旨み。
特別な日に、大切な人と、豊かな時間を。