朝9時前に生田文化会館に着いた。地下鉄県庁前駅の通路を歩いていると見慣れた人の集団が。シマさん夫婦とひろこさん夫婦だった。奇遇と言えば奇遇であろう。
会館に着くと9時前だったが扉は開いていた。シマさんは来年の会場をその場で押さえていた。2018年11月25日がその日だ。皆、2階の大ホールに上がった。もう入口は開いていて、ふんずさんやそらの陽さんそれに空飛ぶクジラさん、サリーさんが椅子を並べていた。気合いが入っている。
11時過ぎまでリハーサルをして、それぞれが食事をしに行った。その間、練習をする為に残った者もいる。
てんぷるさんチャーチさん夫婦。シマさん夫婦。ひろこさん夫婦と私の7人は、少し歩いてラッセホールに行った。まだ11時30分だった所為で、真ん中辺の列の席に座れた。後は殆どが予約席になっていた。12時頃行っても、席はなかっただろう。ラッキーだと皆喜んだ。
ひろこさん夫婦は定食などの食事の他に、2杯ずつ生ビールを飲んだ。私にも勧められたが、それは止めておいた。どんな悲劇が起こるか分からないからだ。
帰るとチッチさんも来ていて、ピアノの伴奏をして貰い、「花」のリハーサルをした。2度やった。しかし、観客が来ない。もう12時40分だった。私の宣伝が足らなかったと思った。もっと宣伝の仕方はあったと思う。それは、来年の課題だ。
不安な中少しずつ集まり始め、設営した120席は大疎らだったが、40人は集まった。それでいい。いい事はないけれど、聴いてくれる人が集まったのだから。
時間通りに始めた。前半はオカリナママさんの司会で始まった。今回は私が初めの挨拶をした。
そら&空を飛ぶクジラ
Twilight in Upper West
見上げてごらん夜の星を
風のように
いつまでも
ふるさと
※ そらを飛ぶクジラさんは篠笛、アルトサックス、ピアノと多彩だ。8月に結婚したばかりだが、母親のそらさんと息のあった演奏をした。CDの出し入れやマイクの調整は毎年してくれていて、彼がいないと音響は上手く行かない。彼は、鹿児島からやって来た。
昔はチッチとサリー
愛のあいさつ
「唱歌の秋」メドレー
舞曲 プレリュード
ガボット
メヌエット
サラバンド
ジーグ
※ チッチとはS.Sさんの事であり、ピアノのプロだ。サリーさんはSさんで、夫婦である。昨日が息子さんの結婚式でお疲れだった事だろう。2人共、この日は参加してくれた。S.Sさんは仕事があって、休憩の初めの伴奏をして、その後帰った。ピアノは当たり前だが上手い。Sさんはリコーダーのアルトとソプラノを吹いた。練習する暇もなかったそうだが、聴き慣れた名曲を吹いた。
ふんず
情熱大陸
クリスマスイヴ
鼻笛で遊ぼう(雪国)
津軽海峡・冬景色
夜桜お七
※ 特に演歌は歌うのも好きだろうが、演奏にも熱が入っていた。「ふんずの世界」に入っての演奏は、とても個性的で聴かせた。鼻笛もものにしており、その正確さと極端なビブラートは、聴衆を沸かせた。やっぱりエンターティナーだ。
(休憩)
皆前に出て、アンサンブルをした。「オカリナの歌」そして「花」。皆でやると楽しいが、ぶっつけ本番だった。
ひろこ
踊り明かそう
函館の女
浪花節だよ人生は
あの時君は若かった
アンチェインド・メロディー
※ 岡山から夫婦でやって来てくれ、演奏はひろこさんだけがした。音楽には元々造詣が深かったが、最近余り練習していないと言っていた。しかし、彼女も特異の才能を持ち合わせ、200円で買って来たと言う大きなペロペロキャンディーのような太鼓を鳴らしながら、オカリナに持ち替え、太鼓に持ち替えしながら演奏した。皆喜んだ。
With you
童神
野に咲く花のように
大きな古時計
また君に恋してる
※ 愛媛で甘味処すだちを経営していて、私もシマさんも2度程お邪魔した。素敵なお店だった。だが今年、大阪に引っ越して、今はマンションに住んでいる。夫婦での演奏で旦那さんはクラシックギター。奥さんはオカリナだ。澄んだ音。タンギングが優しく、気持が良い。旦那さんのギターは年季が入っていて、改めてその上手さを噛みしめた。
シマ唄やろう
太陽の落てぃまぐれ節
大和山川
井之川ぬいぶぃガナシ
晩酌(ダレヤメ)節
※ 古稀を過ぎたこの奄美の唄の師匠は、もう40年のキャリアがある。裏声を使っての唄は高音を催促する。ちょっと狂えば破綻するだろう。その彼の声は未だ衰えず、今日は特に完璧に響いた。晩酌節は頗る元気な曲で、手拍子が出そうなほど楽しいものだった。オカリナなどの楽器が殆どの中で、特に異彩を放っていた。
オカリナの詩
若い広場
坊がつる讃歌
かあさんの歌
クレオパトラの夢
雪の華
※ 完璧など目指す訳もなく、なんとか終わればいいと思っていた。5曲で20分弱で、話を入れていたら制限時間を超過する。私は、ノンストップで5曲を連続して吹く事にした。どのように聴いて貰えたかは分からない。だが、最後の最後、大失態を犯した。楽譜を追っていたがいつしか集中力も落ち、最後にふっと楽譜を追っていない自分に気付いた。無茶苦茶な最後になった。「終わり悪ければ全て悪し」。そんな教訓を得た演奏だった。何と悲惨な結果になった事か。ああ無情。
夢☆チャンス
イン・ザ・ムード
川の流れのように
ラ・クンパルシータ
ホラ・スタッカート
We are the world
※ 最後に相応しいアンサンブルだった。ライブハウスで演奏しているかのような、素晴らしい集団。オカリナはオカリナママさんが1回吹いただけ。後は3人の女性がピアニカ。中々上手で、手も両方を使って演奏するなど圧巻である。ウクレレに替わる者もいる。男性の1人はギター。もう1人はパーカッションで、これが崩れると全体も崩れる。それは心地よく響いていた。ラテン系には欠かす事が出来ない。この集団も、益々実力を高めて行く事だろう。
後半の司会はそらの陽さんだった。こうして終わり、最後に私とシマさんが前に出て来るように言われた。きっと花束を用意しているなと思った。朝から、もしそうだったら、今度はそれを、司会をしてくれたオカリナママさんとそらの陽さんに上げようと考えていた。案の定、筋書き通りで、貰った花束を2人に渡した。
これでお開きとなったが、4時30分前に終わった。椅子などの後片付けを演奏した者で終え、それはあっと言う間に終わった。5時まで借りてはいるが35分には全てが片付いた。後は、昼食べたラッセホールに行き、懇親会、別名反省会をした。これがないと何の為の演奏会だったのかと思う。予定通りの45分に着き、地下1階の会場に入った。テーブルは2つ。17人が2つに分かれた。
シマさんが挨拶をして、Sさんが乾杯の音頭を取った。最初のビールが胃に染みた。飲み放題だったが、そんなに飲めるものでもない。瓶ビールを暫く飲んだ後、私は赤ワインにした。
2つのそれぞれのテーブルでは、賑やかに話は弾み、くるくる回しながら並べられた大きい皿から小皿に取っては口に入れた。
暫くするとひろこさんがオカリナやリコーダーを持って出て吹き始めると、ギターや鼻笛が出て来て演奏に入った。コケロミンを操るものもいた。何度も見てはいるが、やっぱり楽しいものだ。
音楽は、聴いていても楽しい。思い思いに暫く演奏が続いた。演奏会には出なかった人が3人いた。その中で、Ki君は前に出て、歌を歌った。ギターに合わせたり、アカペラで歌ったりした。彼は度胸がある。そして物怖じしない所は参考にしなければと思った。
一頻り音楽の楽しい時が中断した。私は前に出て、下らないかも知れない事を喋った。そんな空間を感じたので。
てんぷるさんもチャーチさんも、この「気まぐれ音楽集団」にすぐに溶け込み、その順応能力の高さに目を瞠った。てんぷるさんのレポーターのような聞きっぷりにも感心させられた。
もう1つのテーブルに座っている「夢☆チャンス」のピアニカの1人に、何か喋って貰おうと矛先を向けると、すぐ前に出て話し出した。なっちゃんとグループの人達は呼んでいる。彼女はとても要領よく話しをする。
自分は夏子だと言った。三島由紀夫の「夏子の冒険」の夏子だと言った時、私は吃驚した。私も随分昔にその小説を読んでいたからだ。小説の冒頭と文末に、
(或る朝、夏子が朝食の食卓で、「あたくし修道院へ入る」と言い出した時には一家は呆気にとられてしばらく箸を休め、)「味噌汁の椀から立つ湯気ばかりが静寂のなかを香煙のように歩みのぼった。」
(「夏子、やっぱり修道院へ入る」三人は呆気にとられて、匙を置いた。)「三つのコーヒー茶碗から立つ湯気ばかりが、この神秘的な沈黙のなかを、香煙のように歩みのぼった・・。」
との対比した文がある。
私は、そこからも小説作法と言うか文章作法を学んだと思っている。何だか作法の形式のようでもあったから、読んだのが随分前の事だとしても、忘れられずに頭の隅に張り付いている。この場で、その長編小説を思い出すなんて考えもしなかった。
最後にシマさんが話す事になって、彼は今自分が纏めて本にしようとしている徳之島のシマ唄の事を話し出した。検証しないといけないとかの言葉が出ると、皆は学説のようにその話を真剣に聞いた。
最後に、オカリナママさんに締めをして貰った。
来年の実施日が決まった。2018年11月25日(日)が押さえられた。それに向かって、それぞれがまた次の為に選曲し、練習をするだろう。私も、今度は1曲少なくしても話す事を取り入れないとなと、反省した。まるでCDのように演奏だけするのでは、聴く者が面白く感じないと思えたからだ。
Ki君とJR元町駅から電車に乗った。どうやら快速に乗ってしまったらしい。彼は新長田駅で地下鉄に乗る筈だった。だが須磨駅まで行ってしまう。私はそのまま垂水駅まで行って、そこからはバスで帰る。Ki君はもう一度新長田に戻り、そこから地下鉄で名谷駅に行く事になる。
シマさんには会場の確保から案内、プログラムの作成までお世話になっている。長かった11月19日が過ぎ、テーブルの上には或る人達から送られて来ていた2つの、色の違った720ミリリットル瓶の純米大吟醸「玉乃光」が置かれている。それと8時間前まで躍動していた出演者と曲名の印刷されたプログラムが、既に思い出となったまま、物凄い勢いで過去に流されて行った。