「オカリナフェスティバルin神戸」はオカリナのお祭りである。今年は17回目を迎えた。

抽選で出場が決まり、原則としてプロアマを問わないが、プロは矢張りゲストとして呼ばれる誉があると思われるので、6分に制限されたエントリーは見た事がない。

8月26日(土)に始まり27日(日)に終わった2日間に、夏に燃えた人は多かっただろう。高校野球が燃えて終わり、怒涛のような蝉の声が消え、オカリナフェスティバルで私の夏は閉じた。これからは、もう秋だ。コオロギも鳴き出した。秋は紅葉で燃えるだろう。

8時半にスタッフは神戸文化ホールに集合する。2日分のプログラムの書かれた冊子と記念品の入った数を袋毎に確認して、段ボール箱に順番に並べて置く。それから、それぞれの仕事の場所に着く。この会議室は、受付に変わる。

皆黒っぽい服装で、リハーサル室の係、音出し部屋に誘導する係、また出場を待つ所に誘導する係など、それぞれの場所に分かれる。9時から受付が始まる。11時から、初めの挨拶が終わり、愈々開演となる。

夕方の6時前に57組の演奏が終わると、ゲストの40分位の演奏が開始される。そんな状態が2日間行われるのだ。

お祭りだと言ったが、上手い人が必ず出演する事もなく、誰でも抽選に依ってエントリー出来る仕組みだ。高みを目指そうと思うなら、コンクールがある。本格的な文化ホール(中)で演奏出来る事が多くの人達の魅力を誘う。

今年は176組が応募し、60組が落選した。大体毎年、こんな感じである。

長丁場の演奏が延々と続き、初めから終わりまで聴き続ける人もいれば出場するとなると人数が多い組などはリハーサルだけでは時間が短いのか、外の公園で練習するグループもある。オカリナや楽譜や伴奏入りのCDを販売するブースが5つもあり、そこに群がる人達も多い。

そんなこんなで最初の方は入場者が少ない。上手い人が最初の方に当たると、ほんの一握りの人にしか聴いて貰えないのでそれは残念な事だろう。

3時頃から人は多くなり、満員になった時もかつてはあったが、最近では8割以上の入りとなる。ゲストが目当てと言う事もあるが、4時以降の出場者は大いに気を良く出来る。ただ、ステージ上と観覧席との一体感があり、音響もずば抜けていて気持ちがいいのは時間に関係はない。

26日のゲストは「NIGHTオカリナアンサンブル」で、女性7人が黄色はなかったが、それぞれの美しいドレスを着てアンサンブルを行った。グループで演奏する人達には、目から鱗の参考になったと思う。感動させられた。

ナイトオカリナと言えば大塚楽器だが、そこには数十名のオカリナ楽団員がいて、そこから選抜された者で結成されたのがこのアンサンブルなのである。2014年には韓国ホンソン国際オカリナコンクール7重奏部門でグランプリ(大賞)を受賞している。だから常任指揮者(田島篤)もいる。

指揮者は付いて来ていたが、今回は指揮はしなかった。7人は、指揮なしで十分にその任をこなしていた。大塚楽器の専属になるが、今回社長も来ていた。

7時を回ったが、懇親会を始めた。まだ着替えが済んでいないと見え、ゲストが集まって来ない。かと言って時間の制約もあり、開催した。すると間もなく食堂兼喫茶、2階にある「紫陽花」に入って来た。今年はゲストの7人と2人、また翌日のゲストであるミルトさんを入れるとそれだけで人数が10人だ。

今回の入りは多分70人位になっただろうか。懇親会のこの食堂が満員となった。

8時30分には終わる話になっている。会費は安く設定してあるのでビールは浴びる程は出ない。また、食事はバイキングだから並んで早い者勝ちみたいなものだ。ただ、ゲストと触れ合うと言っても、皆が立ち上がってゲストの側に行って話すなど出来ない相談で、このままだとだらだらとただ時間が過ぎるだけである。

私はそう言う面白くない状況を想像して、演奏を聴きながら、もう終わりになろうとしている頃、プログラムの冊子に質問を12問考えて書き込んだ。暗い上にシャープペンシルの薄い芯。字が良く見えない。殴り書きで勘を頼りに書いた。

実際懇親会の時に見ても酷い字だった。だが、それが功を奏し、思わぬ盛り上がりを見せた。私もその一人ひとりが答えた後にアドリブで、適当な事を言った。それも楽しく聞いて貰えたようで、会場の皆の顔が笑顔に満ちていた。

あのような場所ではたったこれだけの事で盛り上がるのだから、誰かが質問してくれるだろうなどと甘く考えると折角の1時間半が台無しになる。ひいては、次の懇親会に人が集まらなくなるだろう。

関東方面で演奏活動をしているNIGHTオカリナアンサンブルは、関西は初めてだったようだ。こちらの方々もいい人だとつくづく思った。

ミルトさんには本人が発明したオカリナの弱音装置の、画期的な結果を齎す「ふけるん」の説明をして貰ったり、2、3話して貰いたい事を振って見たが、全部に真摯に答えて頂いた。こうして間近で会って話すと、その人柄が伝わって来る。とても性格のいい人だと感じた。

もう1度聴きたい位のアンサンブルだった事は間違いない。こうして明日へと続いた。

次の日も同じ時間に出掛けたが、もう私の仕事も演奏もない。全くのフリーとなった。Tシャツで行けたのが嬉しい。会う人毎にロビーで話したりした。ホールは冷房が効き過ぎて寒いので、外に出て日に当たったりした。またあちこちうろうろした。

最初は少ないが、増え方の状況は2日間大差がない。愈々ミルトさんの演奏の時間が来た。ギターとコントラバスが加わって、彼独特な世界が繰り広げられた。エフェクターを駆使する、今までにないオカリナの音を確立している。

斬新だからではない。会場の皆は、その演奏に驚きもし酔い痴れもした。6時頃から、アンコールを含めて6時45分まで行われたが、もっと聴きたいジャズ的な演奏だった。ギターとコントラバスの演奏は、その素晴らしさを見せつけられる事にもなった。

本人は一番苦手なのはクラシックだと面白く話したが、アンコールはジャズをアレンジした「モルダウ」を演奏した。私も吹きたい曲だったので、とても不思議な気がした。私はジャズ風には吹けないけれど。

後は自然解散だ。文化ホールの係の人に挨拶をして、ホールを出た。

初日は態々来てくれていた卓球の仲間と言うか同僚だった事のあるN君のメールが入っていた。シマさんも夫婦で来て私の演奏も聴いてくれたが、用事の為途中で帰った。4ケ月も入院していたNa君は知り合いから言われて私の演奏と彼女の演奏を聴いてくれた。ゲストの演奏が終わると、ロビーでこのNa君と、Ki君O君の4人が出会った。少し話して別れた。私は懇親会に出なければならなかったから。

幾つか上手いなと思う演奏がある。それは大いに参考になる。私は随分オカリナに精神を張り詰めさせて来たが、やっぱり凄い人達は五万といる事に思い当たった。つまり、そんなに私はオカリナが上手い訳ではないと悟った。それで、初心に帰って私の出来る事を出来るだけやって見ようと思ったのだ。但し、矢張りしょげないでチャレンジだけはして行こうと・・。歳を眺めると先が限られているから、知れてはいるが。

ゲストのミルトさんには刺激を受けたと言うよりも、もう私には出来ない別物のモンスターだと感じないでは居れなかった。1度森の国オカリナフェスティバルで以前聴いたが、それとは又違った演奏を聴いた。

ミルトさんが中々ロビーに出て来ないので、私は帰りの集団の中に混じって、文化ホールを離れた。

来年の1年を見据えながら、今年の熱いオカリナの日々があっと言う間に終わったのだった。

「オカリナどないやねん」

「ぼちぼちでんな」