時は夏。昨日(4日)の事である。
午後4時を過ぎていて少し慌てていた。高速バスに乗り遅れないようにと。
部屋からカーテン越しに、曇ったなと感じた空を見上げた。さっきまでは青空があったが、それはもう灰色の雲に覆われ出していた。すぐに雨に変わり、傘が要ると思った。折り畳みにするか、常用の傘にするか思案した。風もあるらしく、木の枝も葉も揺れている。
引き戸を開けると結構雨は激しく、常用の傘でも長めのものを選んだ。小さいものでは用は果たせないと思ったからだ。雷の音さえ聞いた。
バスに乗っても、雨脚は衰えなかった。外気は暑く汗が滲む程だったが、車内のクーラーを体に向けて冷を楽しんだ。家からバス停までの間が激しくて、歩道にはもう水溜りが出来ていた。経験上、スニーカーに水が入らないように気を付けた。
事故の為にその区間だけ渋滞していたバスも、やっとワイパーと共に軽快に動き始めた。勿論普段の時間内には着かなかった。雨は何処にもなく、すっかり止んでいた。これも台風5号の影響だったのだろうか。
出発は出たとこ勝負のようだったが、新快速が三宮駅を出る時間の2分前にプラットホームに着けた。次を待てば、汗は確実に吹き出す事を思えば、何とラッキーな事だったろう。座れなくても、乗れた事の方の天秤が大きく傾いた。
ザ・シンフォニーホールでコーヒーを飲もうと思ったが、苺パフェが美味そうでそれにした。上着を脱いで、3つのオカリナが染めてあるTシャツになった。やっぱり今日も暑いのである。
開演は7時からだ。村治奏一のギターが聴きたかった。姉は勿論村治佳織。4歳違いだ。
全部彼が演奏すると思っていたが、大阪交響楽団と一緒で、彼のソロがあったり楽団と一緒に演奏したり楽団だけが演奏するプログラムだった。
指揮者は23歳の、小柄な太田弦。フリーアナウンサーの早田和泰が司会する所までは知らなかった。大阪交響楽団は1980年に創立。2016年4月からは外山雄三がミュージック・アドバイザーに就任し、寺岡清高が常任指揮者となっている。
ルビーラ:映画『禁じられた遊び』より「愛のロマンス」
タレガ:「アルハンブラの思い出」
アルベニス:『スペイン組曲』第5番「アストゥリアス」
この3曲は無伴奏で、シンフォニーホールに響き渡った。ギターを爪弾く男がたった一人、ステージの中央にスポットライトを浴びて奏でている、その上手さ。聴き入るとはこの事だ。
「アストゥリアス」は技巧超絶に弾く。最初の2曲はアルペジオだが、それがまた正確で、これも別の意味で超絶技巧だと改めて思わせて貰った。
マーラー:交響曲第5番より「アダージェスト」
これは楽団と一緒に演奏した。楽団は全部ストリングスで、これも心地よい響きを齎した。ハープがあったりパイプオルガンがあったりチェンバロがあったりした曲も1曲ずつあった。
次は楽団だけ出の演奏だ。
マイヤーズ:映画『ディア・ハンター』より「カヴァティーナ」
ファリア:歌劇『はかなき人生』よりスペイン舞曲第1番
マーラーの後でアンコールがあり彼は、
アントニオ・カルロス・ジョビン:映画『黒いオルフェ』より「フェリシダージ」
を熱演した。ギターを弾く為に生まれて来た、或る意味約束された人だと思った。そんな人は沢山いるが、私は全くそんな世界に生まれてはいなかった。今も模索しているのだから。これは私の知識ではなく単に調べてみた事柄だが、英語単語に「手探りする」と言う意味で”grope”がある。副詞では”gropingly”となり「暗中模索して」となる。正に、私の今を表している言葉だと思った。
さて休憩20分の後。
ロッシーニ:弦楽のためのソナタ第1番ト長調
マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲
は、オーケストラだけで。
ヴィヴァルディ:リュート協奏曲ニ長調RV.93
これは共演だったが、素晴らしかった。本来はリュートで演奏だが、今回はギターでの共演となった。こちらの方が魅力的に思えた。やっぱり、ギターの申し子は感動させてくれる。
最後は楽団だけ。
モンティ:チャルダーシュ
オカリナでの参考になると思うと、楽しく聴けた。オカリナでは私には難曲だと思う。
アンコールは、
ララ:グラナダ
で、これはオカリナでも楽しく吹ける曲だ。熱の入った演奏だったが、最後の辺りがちょっと違った感じに受け取られた。それはそれ、終わって見ればとても素晴らしい2時間だった。
大規模な編成ではないが、「ライト・シンフォニックコンサート~大人の贅沢~」は聴き応えがあった。「35th ANIVERSARY since1982」、記念の年。「僕も35歳です」と言って拍手を貰っていた。
外は雨も無く、店の灯りやネオンで夜の感じがしなかった。三宮から最終は10時30分。これを逃すと家まで歩いて1時間10分は掛かる。それは苦しい。だが、9時過ぎに終わっているのでそれには間に合う余裕がある。
しかしだ、生ビールも飲めない。野菜のスムージーを飲んで、環状線福島駅から電車に乗った。次の大阪駅で新快速に乗り換え、三宮には余裕の到着。寧ろ待つ時間が長く感じられた、10時22分発の高速バスに乗った。
生ビールはどうしたかって? 飲まずにはおられない。帰ると風呂に入り、黒にんにく3粒をあてに、芋焼酎をグラスにグイーっと空けた。何だか体に力がなく、ブログを書く意欲が失せていた。気力を失うと、こんな結末になるのかと思ったが、芋焼酎だけは喉を伝ったのが不思議な位だ。
今、台風5号は奄美が大変だ。奄美地方、種子島・屋久島地方には厳重警戒が発令されている。雨が酷く「50年に1度の記録的大雨」だそうだ。もう、普段の8月の雨が、既に降ってしまっているそうだ。シマさんの故郷徳之島を含む奄美大島は、台風が来ると避けて通らない事が殆どだ。島の人達の思いは如何ばかりだろう。
長く居続けている5号は、まだこれからどのような進路を取るか分からない。昨日の瞬間的な大雨は、まだこれからの予兆だったのか。被害は最小に、列島を縦断する事なく、真っ直ぐ空高く昇って消えて欲しい。
災難は自然的でも人的でも、余りにも規模が大きくなって攻めて来る。考えや心の大きなすれ違いが、ここまで大きな地球の崩壊を齎す事態になろうとしている。人の心が1つになる事がどれだけ難しい事かを感じる日々だ。それぞれの国の有り様をみると一律な言葉で言い表す事が出来ない。
だが、エゴを捨て、優しい心を持ち、皆が心を開き合う事がなければ、美しい国、美しい自然、美しい地球は、ただの夢でしかなかった事にならないだろうか。
明日は広島に原爆が投下された日。すぐ後に長崎が。一瞬にして訳の分からない内に消えた人々。阿鼻叫喚の中で亡くなった人々。肉体と心の痛みに耐えながら生きて来た人々。そんな事態はあってはならないと、はっきり分かった72年間。
世界中が分かり合える時が、一体いつ、本当に来るのだろうか。平和こそ、全人類のオアシスなのだ。