オカリナを練習していて、そろそろ朝の10時も回った。私のオカリナにジャズの範疇はないが、それでもジャズ風のテクニックは少しでも習得したかった。けれど、それがメインになる事はない。ジャズなんて演奏した事もない。オカリナは素朴な演奏をするものだと思っていたから。

童謡や唱歌にはピッタリだ。だが、最近はクラシックやジャズや、超絶技巧的な演奏が一部で流行っている。複数管オカリナが出回って、その3オクターブも出る音階の魅力に憑りつかれた所為もある。流行とも言えるだろうが、まったく3連オカリナを無視は出来ない。

それで、ジャズ的な演奏の練習をしていたのだ。

12時から、同期会があり、元町の北に上がり、西に少し歩いた所にその割烹はある。14人位で一杯の部屋があり、そこはその部屋しかなく予約を入れて会食をする。誰にも遠慮する事もなく、我が家のような雰囲気で楽しむ事が出来る。

何度か使っているが、気持ちの籠った、美味しい料理が出される。いつか、私もこの割烹を使う事があるだろうか。

全員で14人が集まった。乾杯から一人ひとりの近況報告など、皆結構長く話す。私は、一番初めになった。だが、極短く話すように心掛けた。私は、話せば長い人だからである。

今日のメインは、秋に出掛ける旅行の話だ。場所を決めないと係が計画出来ない。私は以前、松山を希望していた。行った事がなかったからだが、夏目漱石の「坊ちゃん」で有名だから、是非行きたいと思っていた。結局はここに決まった。しかし、去年までは自家用車数台で出掛けていたが、今回は歳の事を慮ってか、高速バスなどを利用して行く事になった。

乾杯の後、皆楽しんで飲んだり食べたり話したりした。あっと言う間の2時間だったが、女性4人は今回は話があると言うので、男性10人ばかり、或る館の1階カフェで、コーヒーを飲んだ。

外に出ると、右左に分かれたが、結局3人はまた飲み直す事になった。ビール、芋焼酎を飲んではいたが、やっぱりもう少し飲みたい者もいた。シマさんは、11月19日13時からに予定されている「YOSOMI好きなヤツコンサート」の会場使用料を払いに行くと言った。それを引き留めて、彼と私とT君の3人は、三宮に近い阪急西口の狭い路地にある餃子を食べに行った。

泡盛はストレートで注文した。30度ある。餃子は一人前ずつの注文だ。味噌ダレに浸けて食べるのが私は好きだ。元町の「ひょうたん」に行きたかったが、違う店がいいと言うので入ったこの店が、また「ひょうたん」だった。関連のある店で、これは美味かった。また1つ、いい店を見付けたと思った。

T君は言う。オカリナもそうだが、何処かで演奏するには、日本の良さを出さねばならない、と。つまり、技巧的に走る事など更々ないと言ったのだった。

彼はまた、高価な接続のコードを買ったと言った。また聴きに来てとも言った。是非ともまた行きたい。聴きたいCDを持って行って聴いてみたい。彼こそ、3,000万円を超えるオーディオセットを備えているのである。勿論シマさんと1度お邪魔した事があった。私のCDが、あそこまでの迫力で聴けたなんて感激だった。

彼は無類の餃子を作り慣れていて、この店の餃子より自分の作る餃子が美味いと言った。私は「シーッ」と言ったが、それでも何度か当たり構わず言うのだから、これも是非味わってみたいものだと思った。

店を出ると3人はそれぞれの道に分かれた。空は少し曇って来ている。

家に着くと、庭の紫陽花を見に行った。鉢植えにしたまま数年を経ているので、あのふんわりした紫陽花ではない。小さくなって、これが紫陽花かと思ったが、路地植えにしなければと、先日庭の木の横を掘った。だが、根が張っていて、とても掘り切れなく、埋め戻したのだった。

この紫陽花こそ、島根県で改良された、「万華鏡」だった。私のCDの最初の曲が「万華鏡」で、とても親近感を覚える名前である。普通の紫陽花とは違い、まるでカレイドスコープを覗いているような花だ。青色のものでも随分高価だが、ピンク色になるともっと値が張る。

万華鏡はその美しさを伝えてくれる。私は、万華鏡こそ未来の素晴らしさを、そこに覗かせてくれるものだと思っている。良き、希望に満ちた世界が、その筒の中から覗ける事が、最良の幸せに繋がっている。「万華鏡」は、そんな紫陽花であり、そんなオリジナル曲でもある。

仲間と集える一瞬を、私は嬉しく思った。