4月9日、大阪はフェスティバルホール。1時からは「春昼」、5時からは「春宵」と題して、デビュー45周年記念スペシャルコンサートが行われる。もう2時を過ぎているが、私は5時からのコンサートを聴く事にしている。


11日まではまだ阪神デパートで、福岡・熊本・鹿児島の物産展が開催されている。私は気に入ってしまって、何かの序でにもう1度来たいと考えていた。今日は、絶好のタイミングだった。

2時半頃にデパートの8階に上がった。日曜日とあって、流石の人の流れではある。先ず博多純情らーめん「ShinShin」に並んだ。時間が時間なだけに、7、8人並んでいたがすぐに在り付けた。チャーシューの沢山入っているラーメンにした。コクはあるが、嫌味な程こってりしているのでもなく、麺は素麺のように超細いもので、珍しい位の博多ラーメンを食べる事が出来た。

この前は日本酒の飲み比べをしたので、今回はビール4種の飲み比べをする事にした。「ブルーマスター創業15周年大感謝祭!」と銘打っている。

ブルーマスターのブルーはBLUEではなくBREW、つまり醸造すると言う意味である。カタカナだけではよく分からない事がある。

1.プレミアムアイスブルーマスター
2.かぼす&ハニー
3.ヒーリングタイム
4.あまおうノーブルスイート

地ビールそのものの味であったり、かぼすが入っていて甘かったり、苦くてコクがあったり、甘くてコクがあったりしていた。アイスビールに就いては、0度より低い温度で熟成させて香りと甘味を封じ込めている。美肌や美白を謳っているはと麦が原材料の為、酒税法上ビールと表記出来ないので発泡酒となるが、麦芽比率は99%以上なので税率はビールと同じそうだ。

あては無しだ。岩塩を持って来ていたら良かったが、つい忘れてしまっていた。美味しく飲み終えた後、行列の出来ていた「完熟あまおうの生いちごパラダイス」で、ソフトクリームに苺がスライスして乗せてあるのを買って食べた。とても量は少ない苺だったが、太陽のいちごと書かれているだけあって、美味~いいちごだった。

熊本の豚肉コロッケがこの前美味かったので、5個買った。160円は高いとは思うが、中のジャガイモが忘れられない程美味かったのである。他に、ぶらぶら歩き、大宰府えとやの「梅の実ひじき」を買った。ご飯に塗して食べるのが楽しみだ。振り掛け感覚で食べたいと思う。


時間はまだあるが、兎に角フェステイバルホールの近くまでは行って置く必要がある。5時からの開演に間に合わなかったら何の意味もないからだ。近くには朝日新聞社があって、ガラスケースの中に新聞が貼られ、誰でもその日の新聞が読めるようになっている。

さらに近くのカフェで、コーヒーを飲んだ。やっぱり家で飲んでいる1杯20円位のものとは味が違う。嬉しいのは、外出をした時には望めば美味いコーヒーが飲める事だ。

私の歳前後の人達が、エスカレーターに乗って上って行く。私もその集団に混じって、上って行った。チケットを見せた途端に、

「ずっと上まで上がって下さい」

と言われた。またそれ以上ない高さの、3階の最後尾から2つ前の席となっている。急勾配のステージを臨む事になる。

石川さゆりの生の姿。また生の演奏で歌う姿を観たかった。彼女の歌唱力は大いに認めている所である。それが、もうじき実現する。私はオカリナで「津軽海峡・冬景色」と「天城越え」を吹いている。石川さゆりの表現力を吸収して、少しでもその気持ちをオカリナに乗せてみたい事もあった。今、それが実現しようとしている。

辺りは真っ暗になった。暗黒の世界が暫く続いた。三味の音がして、緞帳が上がった。三味の伴奏者はいなかった。音が変わり、いきなり「津軽海峡・冬景色」が歌われた。金襴緞子に近い感じの着物姿で歌っている。小さくてよく見えないが、そこは双眼鏡のお出ましだ。

かなりの傾斜で見下ろしているので、流石に顎のホクロは見えなかった。別に観たいとも思っていなくて、そこで石川さゆりが確かに歌っていると思っただけでわくわくした。知らない曲も結構あって、それがまた楽しかった。前半1時間の中頃で、着替えをして出て来た。今度は、紺色のドレスに灰色のショール姿だった。ドレスは珍しい。

歌も、ずっと演歌を聴いていた訳ではない。

「吉岡治先生の奥様が、『もう新しい曲が出来る訳ではないのよ。自分で作ったり、これからは違った分野の曲にも挑戦しなきゃあね』と仰って、演歌以外の曲を歌う事でも自分を広げています」

と言って、演歌らしからぬ曲も歌ったりした。今は、脱皮も考えているのではないだろうか。

「それでは今から15分間休憩です」

と大きな声で彼女が言ったと思ったら、緞帳が下りて行き、また江戸時代の人々の姿で賑わっていた。

再び真っ暗になると、また三味の音がして、暫くして幕が開いた。知っている曲も幾つかある。「夫婦善哉」「滝の白糸」など。

着物に着かえていた。照明はふんだんに変わる。帯締めが2本留められていて、上が黄色、真ん中が黄緑色だった。それがとても鮮やかな線となって目に刺さる。

石川さゆりは演奏者を紹介する。向かって左の集団は、エレキベースとドラムスとエレキギターだった。右の集団は、ピアノとキーボード、サックスや篠笛、ヴァイオリン、チェロで、総勢7人の集団だった。よくこれだけで、歌える伴奏が出来るものだと感心していた。

前方ではファンクラブの人達が列を為してお土産を渡していた。色や大きさは変わるが、同じ様な紙袋に入ったものが殆どだった。

「これは何ですか」

「551の蓬莱ね」

30人近くステージの前に並んでいたのではないだろうか。受け取っては握手をしていた。

「私は、これを楽しみにしていたので」

「ちょっとしか入ってない? ・・・本当だ」

と言って笑わせてくれる。

「これは?」

「ちょっとしたもん!」

結構長い時間だったが、殆どがファンクラブの法被を着ていた。彼女の歌は小説から来ているようなのもあって、その中身を彼女が録音で映像を見せながら朗読している間に、最後の衣裳替えをしていた。帯留めはオレンジ色だったが、それは大胆にも斜めに留めてあった。

ここまで結構な音量で響いて来るが、1階の左右の前列辺りの人達はどうなんだろう。大きなスピーカーが左右にあるが、耳を劈く程の音ではないだろうか。そんな音だったら、中々慣れるまでは行かないと思う。必ずしも高価な席の前がいいとは言えないのではないかと他人事ながら心配になる。

後半も15分の休憩とプレゼントの受け取り15分とすれば、7時半に終わったが、結局実質歌っている時間は1時間となる。全部で2時間の熱唱だった事になるが、同じステージをやった後だから、喉の負担も大変ではなかったかと思う。

最後の前は「風の盆恋歌」で、これはとても美しい歌だった。最後の最後はこれしかない。「天城越え」だ。「津軽海峡・冬景色」で始まり「天城越え」で終わるなんて、憎い演出をしたと思う。そうして、緞帳が下りた。だが、アンコールの拍手は鳴り止まなかった。

緞帳が再び上がり、石川さゆりはもう歌い始めている。それは、何となく奄美の唄の調子が何カ所もあった。タイトルは確認していない。それに、今迄にそんな歌を歌っているのを聴いた事がない。私は、ユーチューブで聴いてみた。しっかり聴いていなかったので、文句もよく覚えていない。曲も頭に入っていない。なので、他にまだそんな唄があるのかどうかも分からない。

けれど、その歌ではなかったとしても、司会者の語る口調を載せ、歌詞を一通り書き抜いて置こうと思う。10年程前に作られた唄だが、シマさんは知っていただろうか。


「奄美大島の民謡朝花節が、好きだった人との思い出の唄。この唄を支えに生きる女の心が描かれています。石川さゆり、朝花」

                           
     朝花
          作詞・作曲 樋口了一

夏は過ぎ 胸に残る唄ひとつ
あのひとと 唄った 唄がひとつ
悲しく 悲しく 響いた時
優しく 優しく 包まれた時
あの朝花の 調べに寄り添い
ハイハイ ハ~レイ ヨイサヨイ と
生きて 生きてきました

子は育ち やがて子の親となり
この唄を 集い 唄うのだろう
楽しい 楽しい 時に唄え
苦しい 苦しい 時こそ唄え
あの朝花の 調べに寄り添い
ハイハイ ハ~レイ ヨイサヨイ と
あなたを 想い
あの朝花の 調べに抱かれて
ハイハイ ハ~レイ ヨイサヨイ と
生きて 生きてゆきます


石川さゆりさんは、みんなにお土産をくれていた。それは、「 Happy Egg ~きっと見つかる四つ葉のクローバーセット~」と言う、卵が1個入ったパック。両手で包んでやっと隠れるかどうかのもの。本物の卵ではなく、卵の形をした多孔質セラミックだ。

その頭を叩いて破り、中に土が入っているので底に染み出すまで水を掛ける。土全体が湿ったら芥子の種のような23個程入った種の半分を蒔く。それから霧吹きで腐らないように水を与えると言う作業を2、3ケ月続けなければならない。残りの種は、失敗した時ように残して置くものなのである。

上手く行ったら鉢に植え替えればいいので、そこまで行ったら楽しいだろう。小さな卵1個だが、何千人の手に渡った事だろう。そうして皆、石川さゆりの45周年記念を思い出しながら、四つ葉のクローバーが頭を覗かせるのを楽しみにして待つだろう。

こんな形のお土産を貰えたコンサート、今日の今日まで初めての事だった。