私の目には歪な金星が一際美しく、だが月はその側にはいない。2月26日の朔から7日目の月が、3月4日の福島の空の金星から随分離れた所に、まだ三日月然としてに在った。


三日月の下に在ると、それは涙のように美しいが、そうそういつもその情景が見られる訳ではない。

そんな事を思っていたら、天体の好きな人の為に、今年見られる状況をほんの少し・・。

 3月29日(水) 水星と火星の接近(西没後西の空)

 4月10日(月) 月と木星の大接近

 8月21日(月) 皆既日食

11月13日(月) 金星と木星の大接近

12月13日(水) 双子座流星群


支離滅裂なブログになりそうだ。さっき帰って来たが、22時15分頃だった。月はまだまだ半月にもなっていないがそれでも流石に皓々としていて、折角のオリオン座も感動の数歩手前だった。おまけに、たった1つの街灯の為に、その明るさも値打ちを失っている。

「北秋田」や「越後桜」はもうとっくに無く、今は「白鶴 大吟醸」がグラス1杯残っているだけだ。並々とグラスに注ぐと、零れる手前で瓶は空になった。明日はまた何を買い求めようか。

私をカネテツが待っていた。すぐに板から外し、包丁で切った。8切れになった蒲鉾を中皿に乗せ、小皿には醤油とワサビを入れた。あてはその他カボチャの煮付けと丸い豆腐。これに鰹節を乗せて醤油をかけると、蕩けるような味になる。「100%北海道産大豆、オホーツクにがり使用」とあるが、製造者は「男前豆腐店株式会社」と書いてある。京都府南丹市八木町までは分かるが、4つパックされていて2つ食べた分、それから先は文字が分からない。

もうないのか、日本酒。後は芋焼酎があるだけだ。それにしても、今頃になって嫌いだった日本酒がこんなに美味いと思えるようになるとは。因みに、濃い味の秋田や新潟のこれらの酒とは違って、これは醤油で言えば薄口の部類だ。あっさりしていてフルーティーだが、好みから言えば、ちょっと甘い気がする。


兎に角、大阪で新快速を降りると、環状線に乗ろうとして1・2番線内回りの方に急いだ。もう普通電車が出発寸前だった。飛び乗ろうとしたが、「女性専用」だった。慌てて左に走り、次の車両に乗り込もうとした所でドアが閉まり始めた。すぐに足を入れて再び開こうとしたが、以前のように開いてくれない。危機感を覚えて足を引いた。勝ち誇ったように動く電車と「女性専用」に振り回されたのには閉口した。

すぐに凄く並んでいる後ろに並んだ。暫くすると派手な電車が来た。ユニバーサル スタジオ ジャパンと書いてある。私の前を「女性専用」車が過ぎ、次の車が止まってほっとした。殆どの列が崩れずにそのままだ。余り誰も乗る気配がない。心配になって聞いた。

「これは、福島に止まりますか」

「はい」

とホームにいる職員は言った。以前は、大阪の次の福島を通り越して、幾つも先の駅に止まった電車があった。そんな事があると、また戻らないといけない。私は列から外れ、その電車に乗った。電車から壁を見ると、これぞと言わんばかりに目の前に「Momiji Manju」と書いた広告がある。その上を見ると長ったらしい英語が書いてある。何でそれも英語なのか。それを読んでいる内に電車が動き出した。

腹癒せに読んだのは、こんな文だった。

A sweet bun filled with smooth bean paste in the shape of a maple leaf.

これで合っているかどうか分からないが、最後は動いてから読めた部分だ。集中力だけでも付いていたらいいのだが。


ザ・シンフォニーホールでのコンンサートは19時からだ。終わるのは多分21時頃だと計算出来た。ホール寄りの店で、カツ丼とビールを注文した。帰りに飲んだり食べたりしようものなら、三ノ宮からの高速バスに乗れないばかりか、垂水駅まで電車で行ったとしても、歩いて帰るとなると、1時間以上歩かなければならないのだ。タクシーは絶対勿体ない。

前置きがこんなに長くなった。酒も効いて来た。


「あら? ようこ!」なんて言ったら叱られるだろう。だが、そう読めてしまう。多分子供の頃など、そんな風に言われていたのではと思った。

「想い出がいっぱい 珠玉のシネマ名曲 SELECTION Vol.3」

荒庸子チェロ・リサイタル2017が行われたのだ。

ピアノは山田武彦。東京藝術大学大学院修了、パリ国立高等音楽院ピアノ伴奏科首席卒。現在洗足学園音楽大学教授である。荒庸子は同じ大学の准教授だ。

オカリナ演奏にも参考になる曲を演奏する。薄いブルーの衣裳を着けて出て来た。ピアノとチェロの融合が素晴らしかった。チェロは概して優しく柔らかい音を奏でた。1階と2階のステージから真後ろの席が一杯だった。2階の両サイドは入れていないのか、誰もいなかった。

映画音楽が好きだそうで、オードリー・ヘップバーンは特に好きなんだそうだ。それでかどうか分からないが、最初は「ムーン・リバー」から始まった。


『ティファニーで朝食を』より ムーン・リバー:マンシーニ

『ライムライト』より エターナリー:チャップリン

『モダン・タイムス』より スマイル:チャップリン

『エデンの東』より テーマ曲:ローゼンマン

『ニュー・シネマ・パラダイス』より 愛のテーマ:モリコーネ

『海の上のピアニスト』より 愛を奏でて:モリコーネ

『優しい時間』より 明日:ギャニオン

    休憩

G線上のアリア:バッハ

シチリアーノ:パラディス

無言歌op.109:メンデルスゾーン

歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より ”間奏曲”:マスカーニ

ヴォカリーズop.34-14:ラフマニノフ

白鳥:サン=サーンス

ハンガリー狂詩曲op.68:ポッパー

ユー・レイズ・ミー・アップ:ラヴランド

〈アンコール〉 リベルタンゴ:ピアソラ


荒庸子は楽しそうに演奏している。ピアノ伴奏がまた素晴らしい。チェロの音はこのホールにやや弱い音で響いた。今年でこのホールは3回目らしい。正確なチェロの音は心地よく響いた。今度は、小ホールのような所とか、もっと狭い部屋で聴いてみたい。チェロ本来の音がお腹を擦るだろう。

休憩の後はピンクの衣裳だ。

「もうすぐ桜の季節が来るので、その色に合わせました」

「モーツァルトも天才ですがメンデルスゾーンも天才です。モーツァルトは華やかな天才、メンデルスゾーンは知的な天才です」

映画音楽ならまだまだ一杯聴きたい曲がある。「ひまわり」「慕情」「太陽がいっぱい」「シェルブールの雨傘」「ロミオとジュリエット」等々。

後半はクラシックが中心だったが、「白鳥」はチェロにはなくてはならない曲だろう。これは五臓六腑に染み込んだ。「ハンガリー狂詩曲」のテクニックには、皆惜しみない拍手を送った。そしてすぐにラストの曲「ユー・レイズ・ミー・アップ」になる。15曲はまるで立体のCDを聴くようだった。アンコールは、「リベルタンゴ」。オカリナに合う曲、私が吹きたい曲も数曲採取出来た。

崎元蘭奈さんの姿が浮かんだ。悠介と出来るだけ早い時期に、3人で遊んでみたい。荒庸子さんのチェロの駒の下方、アジャスターに近い弦の低音の方の2本は巫女さんの袴のような緋色の糸が巻いてあり、高音の方の2本はモスグリーンの糸が巻いてあるのが、双眼鏡から覗けた。とても印象的で、綺麗に見えた。

その右手の薬指に、小さなダイヤが並んだ指輪が光っていた。双眼鏡は、1階でも曖昧な近さ遠さなら、必需品である。

チェロの音の魅力に、改めてその虜になった。