黒猫宅急便から小型の包みを受け取って、部屋の時計を見ると11時13分だった。だから、受け取ったのは12分だったのではないかと思う。

ドキドキしながら開けると、新聞紙で固められた中に桐の箱があった。もどかしくもその蓋を取ると、益子の土で焼かれたオカリナ、アルトC管が顔を覗かせた。昨日送ると連絡があったから、今日の午前中に届くだろうとじっと待機していたのだ。

上箱の裏には「益子白土オカリナ洋介」と毛筆で書かれ、落款が押されてあった。夏頃から1本頂きたいとお願いをしていたのだ。何故か?


Ranの名でユーチューブに幾つも投稿している若い女性を知らないだろうか。多分オカリナを吹いている人ならきっと知っていると思うのだ。いつも宗次郎さん推薦のTNGで吹いている女性。去年位から、綺麗な音を出す人だと感心しながら聴いていた。

その中原蘭さんの為に作られたオカリナを販売する記事をたまたま目にした。途中経過は割愛するが、それで注文する事にした。

蘭さんは息が強いらしく、「蘭forte」がモデルとなって販売される。蘭シリーズは今の所ACだけで、3種類しかない。息の弱い人用(natural12,000円)。普通位の息の人用(midium14,000円)。強い息の人用(16,000円)だ。

私は蘭forteにしたが、恐れる程の息圧が必要でもなく、これで良かったと思っている。思った程強くもない。

板垣洋介さんと言う方が作っておられるが、販売はこの秋口からだから、ずっと長い間作り続けている人でもない。中原蘭さんの教室の生徒さんであるらしい。そこで蘭さんと出会い、彼女の為に、彼女の注文を聞いて作り上げたと言う。来年は、2人のデュオを組んで、演奏活動もされると言う事も聞いた。

蘭さんのモデル。益子焼のオカリナ。それだけで触手が動くには十分だった。

黒か褐色のオカリナだと思っていたが、私に送られて来たものは焦げ茶色をベースに、右手の部分から背中にかけて、渋い橙色が2センチほどの段差のある帯状になっている。こんな色合いのものは持っていないので、とっても気に入った。

さて音だ。段々に吹きあがって、高音のレ・ミ・ファ辺りになると強い息を入れなければならない。それはどのACのオカリナでも大同小異で当たり前の事なのだが、forteとなると胸に引き寄せないといけない部類に属する。それはそれで表現が豊かに出来ると考えて良いだろう。

亜音のややくぐもった音とは違うし、澄んでいるけれどTNGの澄んだ音とも違っている。つまり、それらと違っていて良かったのだ。ではどんなオカリナかと言うと、女性作家の真っ白な庵オカリナに近い。違いは、庵は弱い息を吹き入れる必要があり(私は強い息が入れられるように少し弄ったが)、forteはやや強い息を必要とする所だろうか。

オカリナを選ぶ時、音がどんなに美しかろうが私は自分の指の位置が今までのオカリナと似ている事を重視する。持ち替えて吹いた時、穴が確実に押さえられなくて音が狂ってしまう事の方が恐ろしいからだ。

AC管「蘭forte」はこれから吹き込んで行きたいオカリナだと思っている。「ヒロミチ」のような音とは質を異にするが、気になる向きは検索してみても損はないと思う。

「土音オカリナ」と入力したり、「板垣洋一オカリナ」で入力したりすると、私が説明するまでもなく、或る程度の情報を得る事が出来るだろう。「土音」は「ひじおと」と読む。

蘭シリーズでなければ、AC管だけでなく、SC管からAC管まである筈だ。AG管からBC管までは特注になると思う。

昨日「Ocarina vol.19」が発売になったが、巻頭3ページに渡って、「ZOOM IN 中原蘭」の記事で、彼女の事が載っている。この事は、つい2、3日前に知り、三宮のヤマハに買いに行った。

板垣さんは、「自分に合ったオカリナを探すのではなく、そのオカリナに自分を合わせなければ良く鳴ってくれない」と言うような事を何処かに書いていた。意味の深い、味わいのある言葉である。

「蘭」と刻印のあるオカリナ。私のforuteには「0124」の数字も刻まれている。このオカリナはゆったりした曲に合いそうだ。初めて吹いてみたのが「いのちの歌」だった。

徐々に満足して行く自分がいる。素敵なオカリナになって行く予感がある。


このオカリナではないけれど、今欲しいオカリナが3つある。どれ1つ取っても、今年中には買えそうもない。その方が、いつまでも希望があっていいのかも知れない。しかも、あれこれしている内に、必要がなくなったり諦めたりするオカリナも出て来るだろうから。