路上ライブの次の日(23日)は、コープの卓球大会である。明石から須磨辺りまでのグループが参加する。非常にアバウトだが、AからFグループまでに分けられ、それぞれが5チームだったり6チームだったりする。つまり、30チーム以上が参加している事になる筈だ。
私達はFグループで、6チームのリーグ戦だ。1チームはダブルス3組でそれで戦うが、リーグの場合のみ、2組目で勝ち負けが決まっても、3試合目もやる。全員が楽しめる為だ。ここで5試合出来るのである。
9時に間に合うようにバスに乗ったが、もう数人のいつもの顔触れがあった。日曜日だと言うのにバスは満員になった。或る女性がハンカチで額を拭っていた。それを見た途端、急に暑さを感じて来た。意識とは面白いもので、本当に人いきれでムッとする程の体感が襲った。
垂水東口で降り、暫く歩くと垂水体育館はある。9時から開くと思っていたが、もう開いて、卓球の参加受け付けをしていた。
広いようで狭い2階の体育館には、12台の卓球台を置く事で精一杯のようだった。後は1階の体育室を使った。ここには4台が並べられていた。私達は2階で試合をした。
もうその場でペアを決めた。私だけが男(男子は1チームに2人まで出られる)だが、私のペアになる人はKaさんと言い、最後まで固定した。
昼過ぎまで掛かったが、リーグ内での5試合で、私達ペアは4勝1敗だった。チームとしては3勝2敗となり、リーグ内では3位か4位だろうなどと話し合っていた。
それが決定すると、1位グループから6位グループに分かれてのトーナメント戦となる。各グループの優勝から3位までが表彰される事になり、少ない賞金と参加賞を貰う。
私達のリーグには、毎年1位グループで優勝しているRと言うチームがいる。私達は1位通過は元より、2敗しているので2位通過も難しい。よしんば通過しても、入賞は無理と言うものだ。過去が立派に証明している。
1階で昼食を摂るように指示されていて、降りると満席だった。入口のソファーかベンチの中間位の長椅子2脚に6人が座り、私は朝買って置いたカルビ弁当を食べた。全面白米に肉片が覆い、それはそれは美味く、食べ応えがあった。セブンイレブンのそれは、もう1度買って来て、家で温めて食べてみたい気がする程だ。
前日にTVで観ていた新発売のおにぎりを2種類買って食べる積もりだったが、私には何だか躊躇するものがあり、その下に並んでいたカルビ弁当が私に声を掛けて来た。可愛い声だったので、それに決まった。カルビ弁当はたった1つしかなかったのだ。
食べ終わって再開の1時半になる前に2階に上がった。何位グループか見た。目を疑った。2敗しているのに2位グループに入っていた。後で聞くと、細かく点数が記録されており、その合計が3位になったチームと1点差だったとの事だった。
下位のグループに入る程優勝は狙えると思うが、2位になるなんて珍しくもまた遣り甲斐も出て来ると言うものだ。
これは2位グループ6チームのトーナメント戦だから、2つ勝っても負けてもそこで終わりとなる。
シードと言えば聞こえはいいが、ただ形はそのようになっていて、1回戦に勝てば準優勝は確定する。シードならではの恩恵かもしれない。
因縁の嫌なチームがいて、厳密にはその中の1人の女性だが、それを思い出してしまった。そのチームと当たったのである。それだけなら良かったが、去年嫌な気にさせられたその女性のペアと私達のペアが、1番手でぶつかった。こんなマイナーナ感情など書きたくもないが、ここまで思い出されてしまっては心穏やかではなかった。
主審は相互にじゃんけんで決めるが、1回戦の主審は向こうのチームから出ていた。最初は何とも感じていなかったのに、私の相棒のサービスのトスが短いと言って注意して来たのだ。決まりでは、トスは16センチ以上掌から上げなくてはならない。これは投げ上げサーブでもしない事には、守れている人はほんの一握りである。
相棒も、上がっているのにと不審顔だった。それに止まらず私のサービスの時にも注意した。しかも、私の傍まで寄って来て。普段、サービスの事にはとても注意しながら練習しているから、こんな指摘を受けるなどあるとは思っていなかった。自分では上げているのだ。他のグループでは、そんな指摘などしていない様子で、和気藹々と試合を進めている。私は気分が悪くなった。
これは国体などの試合なのだろうか。親睦の精神がなくて何の参加だろうと思った。各所で行われているコープの卓球教室が一堂に会して知り合ういい機会なのである。執拗に注意する事が必要なのだろうか。目の錯覚だってあるのだ。
挙句の果てはそのグループの責任者にその事を訴え、その人にも注意をさせた。どんな考えを持っているのだろうか。
相手チームからも、「自分達も上がっていないから」との声が聞こえた。それでも気持ちは納まらない。そんな精神的ダメージを与えて自分のチームを有利に進める積もりなのか。滅多な事で注意はしないのだが、高飛車に言って来る。手に握ったり、全く上げないでサービスする人には注意しなければならないと思う。私の球がそこまで上がっていなかったのだろうか。
「上がっていないと、サービスが有利になります」
なんて事まで言われた。私の横切り回転や下切り回転には通用する人には威力を持つ。もしそれが取れないから言われていたとしたら、それは心外だ。
この主審をしている女性も、自分は卓球の申し子だみたいな態度を取っている。それが、今戦っている女性も去年そうだった。ごちゃごちゃ私が主審をしていた時に難癖を付けていた。その女性と当たっているのだ。その時はその女性は執拗ににやにや笑っている。私もそんな気持ちを引き摺っては駄目だと思い、態度を変える事にした。それも何処かに残っているから、そうすぐには上手く行かなかった。
冷静だったら勝てている相手だったが、
「強いから私達が負けるわ」
などと口走りながら試合を続ける。その笑っている顔が、皮肉な顔に見えた。最後の私のサービスを跳ね返されて万事窮すだった。その時、同じサービスを2度続けたが、2つ目は変えれば取れなかった事は99パーセント間違いではなかったと思うが、気持ちの余裕のなさから同じサービスをしてしまった。
どちらにしても、あいての所為にしてはいけないのである。そう言う精神面でも勝っていなければならないが、余り見た事のないサービスの注意のされ方には恐れ入るばかりだった。中立の審判員なら分かるけれど、相手側から出ている主審が、自分のチームに同じ注意をする訳がない。
今回は、因縁の対決となってしまった。私は負ける訳には行かない。昨日のアルコールもまだ十分に引いてはいず、体はだるかった。だが、一球一魂で戦った。楽しくも何ともない。だが、そんなに苦労もなく勝ってほっとしていた。挨拶をして後ろの壁際に戻った。
よっこらしょと座った時だった。試合をした相手が2人こちらに来て、握手を求めた。
「試合が終わったら握手するでしょう」
と言いながら。私はもうすんなりとは立てなくてそのまま手を出して応じた。その捨て台詞が凄かった。
「この人は、立ちもしないで握手をした」
と。
終わった時。たまにその場で握手をする事はあったが、こんな所まで態々握手をしに来る相手を見た事がない。しかも、相手は負けているのだ。負け惜しみを言いに来ただけかもしれないと思った。お互いに健闘を称え合う握手とは、到底思えなかった。
主審の事さえなかったら、こうまで書かなかったし、そんな事はもう忘れさえしていた。それを思い出したからだったが、そんな主審に注意されたのだったら、勝つ事しかないのではなかったか。親睦とは程遠い、私には信じられない光景だった。
私達のチームは私達のペアが勝っただけで、全体では1対2で負けた。勝ったらスカッとしただろうが、負けた事には拘ってはいない。そんマイナス思考を引っ提げて来年も参加するのはご免である。
リーグでの最強の相手は全部3対0で、1位グループに名を連ねていた。私達のグループも2敗したが、3番手で出た私は、その力を知りたかった。スカートと短パンを穿いた、自信に満ちた女性のペアだった。1セット目はきつかったがジュースに持ち込み、勝ちを拾った。2セット目は相手が警戒し出した。チャンスだったが、私の積極性が発揮されなかった。1、2本は、自分でも驚くほどの低い球のスマッシュが決まったけれど。結局1対2で負けた。アルコール負けか。
この時の得点が3位と1点差で2位になったのではないかと、チームの者達が言っていた。点数ではなく、このジュースは貴重な体験だった。因みに私達ペアは全部で7回試合をした事になるが、Rには負けたけれど6勝1敗の結果となった。
1時半からトーナメントの試合で2回戦からの出場だが、残念ながら敗退した。これで帰るのだと思った矢先、3位決定戦があると言われた。それには皆の力で勝つ事が出来、3位になれた。因みに私達ペアは全部で7回試合をした事になるが、Rには負けたけれど6勝1敗の結果だった。
2位グループの中での3位は快挙だと思うが、それでも自分も強くなったと思える所がある。日曜日に1回だけの練習だが、それでも自分なりに課題を儲けて練習した積もりだったから。化石でも進化するんだなと、妙な事に感心する自分に感心した。