バスが停留所に停まると、傘を差さなかったら歩けない降り方になっていた。
夕方とは言え、もう7時過ぎのこの街は暗かった。水溜りに足が浸かったりした。そうしながら家に着いた。
三ノ宮のニューミュンヘンで飲んで、店を出る頃には喉も乾いていた。セブンイレブンでオランジーナを買って三宮のバス停に並び、一気に飲んだ。ニューミュンヘンにはシマさん夫婦とそらの陽さんが集い、4人で、3人は大ジョッキを注文した。あては何かは聞く方がアブノーマルだろう。デカい唐揚げが定番だ。ミックスピザも頼んだ。
2時からの「 Shuko & Satoko Duo Concert 子供の憧憬」を聴きに来ていたのだ。
御影にある三響楽器の3階にある会場は40人近く入るキャパであるが、全部埋まったので満員である。
紗の入った素敵な衣装で鷲見周子さんは出場した。大学が後輩だと言う宮本智子さんとのピアノの連弾と2台のコラボである。
鵜川真理子さんは、ナレーションを担当した。力強い、澄んだ声が存在感を示していた。
プログラムは、
最初が、ビゼーの子供のあそびから「舞踏会」
連弾 G.フォーレ(1845~1924 フランス)作曲「ドリー組曲」
1 子守唄
2 ミ・ア・ウー
3 ドリーの庭
4 子ねこのワルツ
5 優しさ
6 スペインの舞曲
連弾 M.ラヴェル(1875~1937 フランス)〉作曲「マ・メール・ロワ」
1 眠れる美女のパヴァーヌ
2 おやゆび小僧
3 パゴダの女王 レドロネット
4 美女と野獣の対話
5 妖精の花園
二台 三善 晃(1933~2013 日本)作曲「唱歌の四季」
1 朧月夜
2 茶摘み
3 紅葉
4 雪
5 夕焼小焼
アンコールが、ビゼーの子供のあそびから「小さなだんなさま 小さなおくさま(おままごと)」
ピアノのこんな近くでの演奏。それは美しく、しかし音量と迫力があった。それもそうだろう、今迄に聞いた事もないピアノの音だったからだ。
連弾の素敵さを感じると共に、音のクリアさと強さを頭に刻む事になる。日本にも6か所にしかないと言う35年位前に設立された会社のピアノ、FAZIOLI。初めて聞く名前だった。
パオロ・ファツィオリは1944年、6人兄弟の末っ子としてローマに生まれた。1981年にFazioli.s.r.l.社を設立した。1982年には、月2、3台の製造になる。
今F308は一番長いグランドピアノである。ウラジミール・アシュケナージ、アルド・チッコリーニ、マルタ・アルゲリッチなど著名アーティストが使用している。2011年には、チャイコフスキー国際コンクールで公式ピアノとして採用された。
そんな短い歴史の中で、このFAZIOLIは、ピアノ界を駆け上り、君臨している。
連弾フォーレも、連弾ラヴェルも、二台の三善晃も、それはそれは素敵な曲だ。「唱歌の四季」の編曲には思わず快哉を叫んだ程だ。やっぱり癖が出て、この主旋律をオカリナで吹けたら、と思ってしまった。そんな事は不純な事なのだろう。
焼酎は2杯目となり、冷蔵庫に茄子の味噌炒めがあったばかりに、日本と中国の男子バレーを観ながら飲んだ。0-3で惜しくも敗れた。これは残念である。実力差が大きかった訳ではないからだ。
あの会場を去る時、受付をしていたSさんがいた。
「何処へ行くかを聞くのは野暮かな」
と言った。
「ニューミュンヘンに」
「えー、残念。2部があるから」
行けると思っていたが、これは残念だった。S.Sさんのお母様がいて、握手の手を差し出して下さった。来月のバーベキューにはまたお会い出来るのだろう。
良き1日が過ぎた。と言って、午前中は卓球をして、早退し、シャワーを浴び、そうして出掛けたコンサートだった。いい半日を過ごしたのである。