鞄に小さくて軽いいつもの傘を入れて置こうと思った瞬間の空は、眩く青かった。

阪急西宮北口で降りるのだが、夙川辺りの桜がもう3部位に咲いていた。

芸文センターでの2時からのコンサートは、及川浩治(ピアノ)、石田泰尚(ヴァイオリン)、辻本玲(チェロ)の男組トリオだった。"Bee"と名付けていた。

錚々たるメンバーで、その演奏はまたまた素晴らしかった。そうとしか、私には言いようが見付からない。想像して頂けたらと思うばかりだ。


プログラム

ピアソラ:アディオス・ノニーノ

ピアソラ:リベルタンゴ

フォーレ:エレジーop.24(チェロ&ピアノ)

プッチーニ:誰も寝てはならぬ(ヴァイオリン&ピアノ)

リスト:愛の夢 第3番 変イ長調(ピアノ ・ソロ)

メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調op.49より大楽章

休憩

ヘンデル(ハルヴォルセン編曲):パッサカリア(ヴァイオリン&チェロ)

ラフマニノフ:ヴォカリーズop.34-14

リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調op.70-1「ゴースト」
          第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ
          第2楽章 ラルゴ・アッサイ・エ・デスプレッシーヴォ
          第3楽章 プレスト

アンコール

ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番

ピアソラ:リベルタンゴ

最後のリベルタンゴは、最初のより激しく、その編曲は随分違っていた。こんな楽しみ方、アンコールの出し方もあるのだと思った。私なら、同じものを2度演奏していただろう。

もう、かれこれ随分の演奏家の曲を聴く。それがどうしたと言われそうだが、聴き始めた頃と比べると楽しさが分かって来たような気がする。時には上手いとか上手くないとか感じる事もあるようになった。私は音楽を知らなかったから、こうして少しずつ勉強の積もりで出掛けていた。

この大ホールの4階迄、満員だ。またまた素晴らしいものを聴き、その風は心地よく胸の中を過ぎて行った。

帰りには勿論の事「王将」に入って行った。瓶ビール(大)と枝豆、餃子1人前、酢豚で、税込み1,100円だった。演奏の時間が終わったのは4時10分頃で、その頃でも「王将」は満員に近かった。

満員で、満腹で、満足だった。

頬にぽつりと雨の1滴が触れた。雨か? だがすぐに止み、傘を買うなんてしなかった。

すると、三宮では結構な雨だ。走るようにして横断歩道を渡り、バス停へと急いだ。前に女性が1人いるだけだった。10分も待てばバスの来る時間だ。軈て、人が並びだし、結構な長さになった。上は覆ってあり、直接雨に当たる事はないが、寒い。バスが中々来ない。

軈て発車時刻を5分も過ぎてからやって来た。全員が乗ると略満員で、すぐに出発した。

家に近いバス停に着くと、星が1つ目に入った。暗いけれど晴れているのだ。雨の滴さえ、あれは遠い夢だったのかと思われた。