元町駅を北に上がった。割烹「あさの」に着いたのは11時35分頃だった。Tさんが先に来ていた。昨年の旅の係の1人だった。

3,000円の入った白い封筒をくれた。これだけ返金をしてくれたのだ。喜んでいると、

「ここの会費ももう貰っているから」

と言う。どういう事だろう。つまり、返金は各自に8,000円戻る事になったと言う。流石名幹事だと思った。3,000円戻るだけで幸せな気持ちになるのに、今回の宴会費5000円が只と言う訳だ。前代未聞とはこの事である。

古稀の仲間が、今日は14人集まった。2人は病気で来られないと言う。古稀を過ぎると、何かがある。他人事ではない。仲間でも、もう逝ってしまった者もいるのだから。

美味しい料理が出て来る。少ない盛り付けが故に、味わって食べられる。フグの切り身もあった。

鍋は、クエ鍋だ。結構お腹は張る。1人ずつ近況を話し、今年の係が旅行先と日時を決める。方向は決まったので、今度の6月に詳細が分かる。この歳になると、こんな集まりがまた楽しい。孤独が薄らぐのだ。

2時30分にお開きとなり、皆コーヒーを飲みに行った。1杯19円のものとは違い、こんなに旨いのかと思わせるものだった。

明日、注文していたお酒を取りに、和田岬のSさんの店に行く積もりにしていた。だが、考えて見ると、今日でも行けるのではないか。シマさんと相談して、5時に行けるようにした。5時から店が開くと思っていたからだ。

コーヒーを飲んでから皆と解散した。孫に買ってやりたいものがあった。シマさんはシマさんで、欲しいものがある。先ず、100均の店に行った。どちらの希望のものもなかった。仕方がないので東急ハンズに行く。

私の入用なものは、或る時にはあるが今はないとの事だった。シマさんのものはあるにはあるが、どれも大き過ぎた。近くのドンキホーテにあるかも知れず、そこに行った。

矢張りなかった。私は、辛ラーメンを買った。

海岸線に乗って、和田岬へと向かった。5時に開くと思っていたから、5時に着いた。だが、店の扉のガラスには、開店4時半とあった。当然の事ながら、店の中は明かりが点っていた。

「お酒を取りに来たよ」

と言って、すぐ帰ろうと思った。

「飲まずに帰るの」

と、店主Sさんに言われた。1杯だけ飲んで行く事にした。話はある点に注がれ、その話が延々と続いた。お客も増え、そろそろ行く事にした。

荷物はまた増えたが、一番重い。この酒は、「鳳鳴たれくち今朝しぼり」と言う純米吟醸だ。アルコールは17度以上18度未満である。年に1度しか造らない酒で、数にも制限があり、滅多に飲めないものだと言う。720mlだが、2,000円弱だ。珍しいので、シマさんを引き込んで、買う事にしたのだ。

鳳鳴酒造と言い、丹波篠山の酒と言う。

こんなに買い物をしたが、今日は全然金銭の放出は感じていない。旅行の返金が8,000円あったからに他ならない。こんなに気分のいい事もない。こちらで最初に出していたお金が戻っただけなのに、もう忘れていただけに感動さえ感じた。

帰るとこの酒を少しだけ飲んだ。濃厚で美味い。白雪でもない。女城主でもない。これは鳳鳴たれくち今朝しぼりだ。それぞれに味が違う。そして、それぞれが旨いのだ。この酒は、もう少し経つと味が変わると言う。明日ちょっと飲んで、暫く置いておきたい。するとピリピリとすると言うが、それはその時飲んで見なければ分からない。

酒は吞め呑め呑むならば、日ノ本一のこの槍を・・。

武士の気持ちが分かる訳もないが、酒を飲みたい気持ちはとてもよくわかる。ああ、私は暫くこの酒がある。もっと嬉しい事に、お酒ぼんぼんがある。今日も2個食べる事にしている。うふっ、今から、コーヒーと一緒に食べよう。たらーっと口中酒だらけになる感じが堪らない。

ぼんぼん、ぼんぼん、酒ぼんぼん。イエイ!