パンとコーヒーの店に入って、通りがすぐそこに見えるカウンターみたいな席に座った。環状線福島駅に沿って、吉野家から何軒か先の店の前になる。10時頃だっただろうか。
モーニングサービスの4種類からトーストセットを選んだ。飲み物はコーヒーを、もう1つはヨーグルトを選んだ。
水のない巨大な水槽を覗いているようだ。すぐ目の前を、どれもそんなに違わない魚が行き交っている。自分と同じ種類なのに、ただ見るだけで、話す事も目を合わす事すらない。言葉を交わす同族など、一握の砂に過ぎないのだ。これは矛盾だろうか、皮肉だろうか、定めだろうかと思ったりする。
通りの真正面に「とり焼 一本松」の看板が大きく迫り、九州地鶏(産地直送)と書いてある。右に目が行くとそこは「薬屋」と「肉の店」。更に「餃子の王将」「銘家焼肉 豚美」と続く。おお、まだ豚とは縁が切れていない。「きんのぶた」が即座に思い出されて来る。それにしても豚が美しいとは。
店で言えば丁度2階位の所にオレンジ色の電車が止まった。正面から左に、スパゲティー、チャーハン、オムライス、ハンバーグなど同じ皿に盛られた偽造品が10皿陳列され、上の方にはパフェやコーヒー、ジュース等が並んだ。店の中から観音開きにして陳列するよになっているのが丸分かりで、クリーム掛かった白色をしていた。もう少し、皿とか、並べ方とか、背景の飾りの工夫だとかをしないのかと考えていると、シルバーのボディーに窓の下をブルーのラインが引かれた電車が止まった。
色んな思いに耽っていると、また電車が止まった。これは4両だったと思う。目が離せなくなった。黄、青、赤、緑色のそれぞれの車両に性格の違う絵が、華やかと言うかけばけばしいと言うか、そんな感じで描かれている。最近のキャラクターだったり古代人だったりした。
あんな所に電車が止まるんだと思った。がその時、そこに15、6個の提灯が2段にぶら下がっているのに気付いた。「山内牧場」「炭焼き」「鹿児島」と書いた提灯だ。そこは「山内農場 黒さつま鶏」と言う名の店だった。今頃気付くなんて思考が鈍くなったものだ。そんな所に電車が通る訳がない。店のガラスに、高架が写っていたのだ。
10時20分を過ぎた。この店を出て、ザ・シンフォニーホールへと向かった。またここでコーヒーを飲んだ。家で飲む1杯19円のよりは美味いし、第一雰囲気がある。
11時から演奏が始まった。
実は、小林美樹ヴァイオリン・リサイタルを聴きに来ていたのだ。初めて見る姿だが、とても可愛い新進気鋭のヴァイオリニストだ。2011年10月、5年に1度ポーランドで行われる第14回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで第2位となり、一躍注目を集めた若手だ。2013年には東京で本格的なリサイタル・デビューを飾っている。
真っ赤なドレスが一際目を引いた。小林美樹。株なら買いだ。
小森谷裕子のピアノは素晴らしく、2人の感性がよく似ていたと思う。言い方を換えれば、息がぴったりだったと言う事だ。
クライスラー:前奏曲とアレグロ
凄い超絶技巧を凝らした、素晴らしい曲だった。演奏も然り。曲の冒頭6小節は「ミ・シ・ミ・シ」と言う音型で弾かれると言うので、ヴァイオリニスト同士では「ミ・シ・ミ・シ」と言って、曲名になっている程だそうだ。
ヴィターリ:シャコンヌ
これはよく聴いた曲だ。ヴィターリはバッハと同じバロック時代の作曲家だが、19世紀にダーヴィトと言うヴァイオリニストが編曲したものらしい。ひょっとして、ヴィターリのものではないかも知れないと言う事だった。そう言われれば、バロックの感じがしない。
ブロッホ:ニーグン
ニーグンとは、ヘブライ語で即興と言う意味だそうだ。感情的に自由に弾く事が求められているが、自由に弾き過ぎるとピアノと合わない。怒りと苦悩を表しているようだと言うが、私は好きになれない曲だ。
ワーグナー:ロマンツァ
日本では購入出来ない楽譜だそうだ。楽譜を探すのにとても苦労をしたと言う。なので、弾く人もいず、日本でこの曲を聴けるのは今日だけだと言った。貴重な曲を聴いたものだ。それは、穏やかな流れの曲だった。
クライスラー:ウィーン風小行進曲
クライスラーは、彼女が4年間留学していたオーストリアのウイーン生まれだ。クライスラーの曲はテンポ通りに弾くとっても恰好悪くなるので、自分で緩急を考えて弾くそうだ。するとピアノと合わない事があるので、ピアニストとの感性が合った時はとても嬉しいと言う。中々素晴らしい演奏だった。
ウィリアムズ:シンドラーのリスト
杉原千畝と同じく、ユダヤ人の命を救った人として有名だそうだ。彼女は言う。こう言う曲を弾き続ける事を大切にしたいと。ウィリアムズは古くは「タワーリングインフェルノ」「インディジョーンズ」「ET」を作曲し、最近では「ハリーポッター」などの映画音楽の作曲者だ。
マスネ:タイスの瞑想曲
マスネはオペラで知られた作曲家で、タイスの瞑想曲は約5分のオペラの間奏曲だ。タイスが娼婦をやめて信仰の道に入る事を受け入れるまでの葛藤を描写した曲だ。私も好きでオカリナで吹くので、何だかヴァイオリンの音が甘美に響き、唯一ちょっとだけ寝入ってしまった曲である。
ヴィエニャフスキ:スケルツォ・タランテラ
2011年のヴィエニャフスキ国際コンクールの第2次予選で、彼女が弾いた想い出の曲だと言う。スケルッオとはイタリア語でおどけたと言う意味で、タランティラとは速いテンポのナポリ舞曲の事だそうだ。タランチュラとも関係があるそうで、噛まれたら毒が抜けるまで踊り続けなければならないと言う説話が由来となってもいる。その由来通り、最後の方になると指がとても痛くなるそうで、毒蜘蛛に噛まれても弾き続けなければと、耐えて弾いてもいると言う。これも凄い超絶の素敵な曲である。
モンティ:チャールダーシュ
チャールダーシュと言うのは、ハンガリー語で「酒場」と言う意味だそうだ。酔っ払っている様子を、速くなったり遅くなったりする所で表現しているなと思う、と彼女は言っている。今はピアノとヴァイオリンの曲として知られているが、元々はマンドリンの為に書かれたと言うのが新しい知識となった。オカリナで何度練習しても上手くならない。
アンコールは、
エルガー:愛の挨拶 だった。
比較的短いコンサートではあったが、その後2階の休憩広場で、小林美樹を囲んで歓談する時間が設えられていた。私は予約していなかったので、そこは辞した。が、私の瞼の裏には、赤いドレスの同じ流れ星が何度も横切った。ヴァイオリンは素敵な音色を醸し出す。
また新星のファンになりそうだ。私の気が多いのか、それともヴァイオリンの音に魅せられるのか。兎も角、印象に強く残った事は否めない。
帰りはどうしたかって? ここでブログを終えたら、短い! と言ってブーイングが起こりそうだ。ははっ、そんな事有り得ない。
が、ちょっと付け加えるだけでテイストが違う。と思う。
次の駅大阪まで戻り、新阪急ホテルに行った。2月4日だったかに「よ~いドン」で紹介していた料理が気になっていたので、そこの地下2階の「パブ・ラウンジ ビーツ Beats」に行ってみた。テレビを観てやって来た人が何組か並んでいた。そこで一押しのTVで紹介された「焼きドライカレー」を食べた。小エビ、マッシュルーム、ハムが入っていて、上にやや固まった卵が乗っていた。
カレーのルーをかけて味わう。TVで美味いと言っていたから言う訳ではないが、いいお味だった。そして、やや固めの卵をスプーンで壊して食べると、その味も一段と美味しく感じられる。正確な値段は忘れたが、千六百幾らかだった。夜来れば、飲みながら他のものが食べられると思うのだが、大阪でそこまで遅くいる理由がない。ピアノが置いてあったから、きっとジャズでも聴きながら時が過ごせるだろう。悠介(ベーシスト)と行ってみたいような所だ。
ラッキョウ、福神漬け、乾燥ニンニク、パイナップル、柴漬けとキュウリのピクルス6品も置かれていた。後は美味しいコーヒーで、今日は外で本格的なコーヒーを3杯飲んだ事になる。
コーヒーの中から、赤い流星がさっと飛び出して流れて行ったのは、私にしか分からなかったと思う。頬を過ぎる風が冷たさを伴っているなんて、大阪の街も気取っている。
モーニングサービスの4種類からトーストセットを選んだ。飲み物はコーヒーを、もう1つはヨーグルトを選んだ。
水のない巨大な水槽を覗いているようだ。すぐ目の前を、どれもそんなに違わない魚が行き交っている。自分と同じ種類なのに、ただ見るだけで、話す事も目を合わす事すらない。言葉を交わす同族など、一握の砂に過ぎないのだ。これは矛盾だろうか、皮肉だろうか、定めだろうかと思ったりする。
通りの真正面に「とり焼 一本松」の看板が大きく迫り、九州地鶏(産地直送)と書いてある。右に目が行くとそこは「薬屋」と「肉の店」。更に「餃子の王将」「銘家焼肉 豚美」と続く。おお、まだ豚とは縁が切れていない。「きんのぶた」が即座に思い出されて来る。それにしても豚が美しいとは。
店で言えば丁度2階位の所にオレンジ色の電車が止まった。正面から左に、スパゲティー、チャーハン、オムライス、ハンバーグなど同じ皿に盛られた偽造品が10皿陳列され、上の方にはパフェやコーヒー、ジュース等が並んだ。店の中から観音開きにして陳列するよになっているのが丸分かりで、クリーム掛かった白色をしていた。もう少し、皿とか、並べ方とか、背景の飾りの工夫だとかをしないのかと考えていると、シルバーのボディーに窓の下をブルーのラインが引かれた電車が止まった。
色んな思いに耽っていると、また電車が止まった。これは4両だったと思う。目が離せなくなった。黄、青、赤、緑色のそれぞれの車両に性格の違う絵が、華やかと言うかけばけばしいと言うか、そんな感じで描かれている。最近のキャラクターだったり古代人だったりした。
あんな所に電車が止まるんだと思った。がその時、そこに15、6個の提灯が2段にぶら下がっているのに気付いた。「山内牧場」「炭焼き」「鹿児島」と書いた提灯だ。そこは「山内農場 黒さつま鶏」と言う名の店だった。今頃気付くなんて思考が鈍くなったものだ。そんな所に電車が通る訳がない。店のガラスに、高架が写っていたのだ。
10時20分を過ぎた。この店を出て、ザ・シンフォニーホールへと向かった。またここでコーヒーを飲んだ。家で飲む1杯19円のよりは美味いし、第一雰囲気がある。
11時から演奏が始まった。
実は、小林美樹ヴァイオリン・リサイタルを聴きに来ていたのだ。初めて見る姿だが、とても可愛い新進気鋭のヴァイオリニストだ。2011年10月、5年に1度ポーランドで行われる第14回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで第2位となり、一躍注目を集めた若手だ。2013年には東京で本格的なリサイタル・デビューを飾っている。
真っ赤なドレスが一際目を引いた。小林美樹。株なら買いだ。
小森谷裕子のピアノは素晴らしく、2人の感性がよく似ていたと思う。言い方を換えれば、息がぴったりだったと言う事だ。
クライスラー:前奏曲とアレグロ
凄い超絶技巧を凝らした、素晴らしい曲だった。演奏も然り。曲の冒頭6小節は「ミ・シ・ミ・シ」と言う音型で弾かれると言うので、ヴァイオリニスト同士では「ミ・シ・ミ・シ」と言って、曲名になっている程だそうだ。
ヴィターリ:シャコンヌ
これはよく聴いた曲だ。ヴィターリはバッハと同じバロック時代の作曲家だが、19世紀にダーヴィトと言うヴァイオリニストが編曲したものらしい。ひょっとして、ヴィターリのものではないかも知れないと言う事だった。そう言われれば、バロックの感じがしない。
ブロッホ:ニーグン
ニーグンとは、ヘブライ語で即興と言う意味だそうだ。感情的に自由に弾く事が求められているが、自由に弾き過ぎるとピアノと合わない。怒りと苦悩を表しているようだと言うが、私は好きになれない曲だ。
ワーグナー:ロマンツァ
日本では購入出来ない楽譜だそうだ。楽譜を探すのにとても苦労をしたと言う。なので、弾く人もいず、日本でこの曲を聴けるのは今日だけだと言った。貴重な曲を聴いたものだ。それは、穏やかな流れの曲だった。
クライスラー:ウィーン風小行進曲
クライスラーは、彼女が4年間留学していたオーストリアのウイーン生まれだ。クライスラーの曲はテンポ通りに弾くとっても恰好悪くなるので、自分で緩急を考えて弾くそうだ。するとピアノと合わない事があるので、ピアニストとの感性が合った時はとても嬉しいと言う。中々素晴らしい演奏だった。
ウィリアムズ:シンドラーのリスト
杉原千畝と同じく、ユダヤ人の命を救った人として有名だそうだ。彼女は言う。こう言う曲を弾き続ける事を大切にしたいと。ウィリアムズは古くは「タワーリングインフェルノ」「インディジョーンズ」「ET」を作曲し、最近では「ハリーポッター」などの映画音楽の作曲者だ。
マスネ:タイスの瞑想曲
マスネはオペラで知られた作曲家で、タイスの瞑想曲は約5分のオペラの間奏曲だ。タイスが娼婦をやめて信仰の道に入る事を受け入れるまでの葛藤を描写した曲だ。私も好きでオカリナで吹くので、何だかヴァイオリンの音が甘美に響き、唯一ちょっとだけ寝入ってしまった曲である。
ヴィエニャフスキ:スケルツォ・タランテラ
2011年のヴィエニャフスキ国際コンクールの第2次予選で、彼女が弾いた想い出の曲だと言う。スケルッオとはイタリア語でおどけたと言う意味で、タランティラとは速いテンポのナポリ舞曲の事だそうだ。タランチュラとも関係があるそうで、噛まれたら毒が抜けるまで踊り続けなければならないと言う説話が由来となってもいる。その由来通り、最後の方になると指がとても痛くなるそうで、毒蜘蛛に噛まれても弾き続けなければと、耐えて弾いてもいると言う。これも凄い超絶の素敵な曲である。
モンティ:チャールダーシュ
チャールダーシュと言うのは、ハンガリー語で「酒場」と言う意味だそうだ。酔っ払っている様子を、速くなったり遅くなったりする所で表現しているなと思う、と彼女は言っている。今はピアノとヴァイオリンの曲として知られているが、元々はマンドリンの為に書かれたと言うのが新しい知識となった。オカリナで何度練習しても上手くならない。
アンコールは、
エルガー:愛の挨拶 だった。
比較的短いコンサートではあったが、その後2階の休憩広場で、小林美樹を囲んで歓談する時間が設えられていた。私は予約していなかったので、そこは辞した。が、私の瞼の裏には、赤いドレスの同じ流れ星が何度も横切った。ヴァイオリンは素敵な音色を醸し出す。
また新星のファンになりそうだ。私の気が多いのか、それともヴァイオリンの音に魅せられるのか。兎も角、印象に強く残った事は否めない。
帰りはどうしたかって? ここでブログを終えたら、短い! と言ってブーイングが起こりそうだ。ははっ、そんな事有り得ない。
が、ちょっと付け加えるだけでテイストが違う。と思う。
次の駅大阪まで戻り、新阪急ホテルに行った。2月4日だったかに「よ~いドン」で紹介していた料理が気になっていたので、そこの地下2階の「パブ・ラウンジ ビーツ Beats」に行ってみた。テレビを観てやって来た人が何組か並んでいた。そこで一押しのTVで紹介された「焼きドライカレー」を食べた。小エビ、マッシュルーム、ハムが入っていて、上にやや固まった卵が乗っていた。
カレーのルーをかけて味わう。TVで美味いと言っていたから言う訳ではないが、いいお味だった。そして、やや固めの卵をスプーンで壊して食べると、その味も一段と美味しく感じられる。正確な値段は忘れたが、千六百幾らかだった。夜来れば、飲みながら他のものが食べられると思うのだが、大阪でそこまで遅くいる理由がない。ピアノが置いてあったから、きっとジャズでも聴きながら時が過ごせるだろう。悠介(ベーシスト)と行ってみたいような所だ。
ラッキョウ、福神漬け、乾燥ニンニク、パイナップル、柴漬けとキュウリのピクルス6品も置かれていた。後は美味しいコーヒーで、今日は外で本格的なコーヒーを3杯飲んだ事になる。
コーヒーの中から、赤い流星がさっと飛び出して流れて行ったのは、私にしか分からなかったと思う。頬を過ぎる風が冷たさを伴っているなんて、大阪の街も気取っている。