王子公園駅からはそらの陽さんと、まだ暑い日差しの坂を上って行った。

Sさん宅で10月12日の為の練習をする事になっている。10時前に着いた。S.Sさんの午後からのレッスンで、2時頃を目途に、有効に時間を使おうと言ってくれたのはSさんだった。それもそうだ。早速、アンサンブルの曲を合わせたり、コラボの曲を吹いたりする者もいた。

シマさんが時間を間違えたとかで、11時過ぎてから奥さんと来たが、それから彼も三線で加わる曲の練習をした。

アンサンブルのメンバーが全員参加した訳ではなく、遠方の者もいて、当日の本番となる。

12時前になると、SさんとS.Sさんは慌ただしく動き始めた。お昼を用意してくれていたのだ。Sさんがカレーを作っていた。S.Sさんのサラダもある。その間、オカリナママさんと一緒に来ていたHさんが、持参した食べ物を並べ始めた。煎餅や小さく切ったパンの上に赤みの魚を乗せていた。他に、瓶詰めの大豆などを混ぜたピクルスのようなものを出してくれた。

「癖があるから、口に合わないかも知れない」

とHさんは言ったが、サラダに乗せて食べると絶品である。

オカリナママさんの持って来たワインで乾杯だ。

北イタリアの「ロマーニャ」は一度飲んでみたかったワインで、微炭酸だと説明していた。ブドリオ村の近くのワインで、初めてオカリナを作った菓子職人ドナーティを身近に感じたかった。シュワッと口の中で弾けた。皆に好評の逸品である。

カレーは店を開いても遜色のないものだった。美味いと心から思い、ほんのちょっとお代わりをした。辛口のルーだと言ったが、肉が柔らかく、ニンジンやジャガイモが程よく溶けた。後で感じる辛さが堪らない。サラダには、レモンのたれをかけて食べた。

昨日はカツオのたたきをたれを付けて食べるのは止めて、レモン汁と塩を振って食べてみた。ミョウガと青紫蘇と長ネギを細かく切ったものをその上に乗せた。輪切りにしてフライパンできつね色になったニンニクも乗せた。そんな訳で、サラダには躊躇なくレモン汁を選んだ。

昼が終わると、個人が演奏する予定になっている曲を、S.Sさんに伴奏して貰って吹いた。

飲んで演奏すると歯車が少しずつ狂って来る。そらの陽さんは、美しいビブラートをかけながら、卒のない演奏をした。

私は、S.Sさんに3曲の伴奏をお願いしている。今日初めて合わせる曲もあるし、いつも伴奏をして貰っているわけでもないので、伴奏なしで演奏していると独りよがりの演奏になる。案の定だった。曲名はまだ差し控えるが、3拍子の曲を自分では四分音符を2つ単位で2拍子のように吹く吹き方をしていた。だから、当たり前の事だがピアノと合わなかった。理屈は成り立つけれど、頭を3拍子に切り替えて吹く事が、これからの大きな課題となった。

もう1曲は、皆聴いているのでどう仕様もないが、ピアノとは勿論の事、リズムが取れない。飲んだ所為にする積もりは全くないが、これだけリズムが外れると、落ち込む事を超えて呆然としてしまう。

シマさんは、

「曲を替える?」

と聞いて来たが、私には更々その気はない。間違っても合わなくても、これらの曲に挑むのが挑戦である。あと40日程あると言うのか、それしかないと言うのか。改善される保証は何処にもない。音楽音痴は全く情けない。が、前進あるのみである。歩いて進めなければ這ってでも進め。それが人生じゃないのかなあ。

10月12日までに私の大切な演奏チャンスが2つある。「弥生の森お月見コンサート」と「オーディション」だ。何の因果でオーディションなんて・・。こんな調子では、受かるものも受からない。受かる筈がない。いつかブログの記事がこんなタイトルで貼り付けられるだろう。「落ちたオーディション」。

家に着くと孫達が来ていた。さっき娘が、買い物の為に店に連れて行ってくれと言った。

「飲んでるよ」

と言うと、あっさり踵を返した。



でも、とても有意義な練習会だった。何故なら、私の下手糞なオカリナを、皆が聴かない振りをしながら聴いてくれていたからだ。それに一番良かったのは、ピアノ伴奏をしてくれたS.Sさんのピアノがとても明瞭で素晴らしく、私の欠点を指摘して貰えた事。またSさんも付き添いで、2人ががりの指導が入った事。

いつも大勢で押しかけて、楽しい飲食の会で集まれる事を嬉しく思っている。あれだけ待っていた今日が、こんなに呆気なく幕引きとなろうとは。それだけ待ち遠しかったのだろう。皆そう思っているに違いない。

第何幕まで続くか分からないが、この会は様々な意味合いを含め、とても貴重である。今日は第1幕第4場が終わった所だろうか。

また、お世話になりました、Sさん、S.Sさん。


出演者

伊吹夏彦さん・・摩耶春子さん・・お母様・・シマ唄やろうさん・・奥さん・・そらの陽さん・・オカリナママさん・・Hさん
・・オカリナの詩・・チェリーちゃん