高速バスの涼風の丸い吹き出口を開いた。さっと冷たい風が両腕に止まり、次第に冷えて行った。

ひろこさんからのメールが何度も入り、一番後ろに乗っている私は、その度に返事をしていた。段々気分が悪くなり、メールを止めて目を閉じた。

軈て三宮に着くと、ちょっとした用事を済ませ、コーヒーを飲んだ。文化ホールでのひろこさんのリハーサルが終わると2時頃から遅い昼食を取る事にしていたので、コーヒーを飲んでいるのが丁度お昼の時間だった。ケーキも一緒に注文した。

12時40分頃から、アンサンブルのリハーサルをずっと聴いて、ひろこさんのソロとなった。安心して聴けた。2曲とも、メリハリのあるリズム感のある曲だった。

ひろこさんの旦那さん。伊吹夏彦さん。シマさん。そして私が聴いていた。他に幾つかの団体が聴いているだけで、中ホールはがらんとしている。明日はここが略満員になる。

どちらもCDの伴奏で、1曲目はシングルオカリナ、2曲目はトリプルオカリナだった。トリプルの後半の高音が、力強く響いた。昔サックスの女王だった所為か、度胸は満点だった。少なくとも私の目にはそう映った。

5人で、もっこすへ行った。神戸では有名な、ラーメン屋さんである。全員、チャーシュー麺を頼んだ。いつものようにチャーシューの多さに圧倒され、勿論細麺は何処にあるのか分からない。それは本当に美味かった。皆が異口同音に言うのだから間違いない。

大丸の東に面した所にミュンヘンはあり、6時半からひろこさんの前夜祭を始める事にしていた。オカリナママさんとそらの陽さんは7時頃になると言っていた。それまでには時間があるので、この5人で明石海峡大橋を見学する事にした。「橋のプロムナード」は、シルバーエイジは半額になる。免許証は忘れたが、生年月日が分かるものがあればいいと言うので、それが書き込んであるカードを見せた。大人120円が60円になった。えらい安いなと思った。

「私は戦争の終わる前に生まれていますからね」

と言うと笑いながら、気持ち良く対応してくれた。

「半額にしてくれたから、この十円は綺麗なのにしますね」

とか何とか言いながら入場券を受け取って後ろを向くと、若い女性が笑っていた。急に列が出来ていた。さっさと払って事を済ませれば良かったと思った。変な爺さんだと思いながら、対応を見ていたのに違いない。

橋の一部から瀬戸内海を眺めているようだった。ちょっとだけガラスの上を歩くようになっているが、真下に距離を置いて海が見える。高所恐怖症の者は震え出すに違いない。私は高所はそんなに怖くないが、それでも真ん中に渡された木の上やガラスの端を歩いたりした。距離にして5メートル位だろうか。

中国人が多かったが、図体のデカい男もその上を踏むのを躊躇っていた。大きな船が、橋の真下を潜る様もよく分かる。広告が目に入った。夏の期間が120円になっていた。普段は250円とあったから凄い儲けではないが、それで安かったのだと思った。シルバーの半額も、60円は余りにも安かった。

孫文の記念館の傍まで行った。中国か台湾の人達がとても多かった。小雨がちらついていた。丸いオブジェをひろこさん夫婦が覗くのを、彼女のカメラに収めた。すると、中国人たちがそれの真似を始めた。

jR舞子駅から神戸駅まで戻った。ひろこさん達の荷物をロッカーから出すと、神戸駅近くのホテルに付いて行った。彼女達がチェックインをするのを待った。シマさんは、奥さんを連れに三宮に行った。

それでも時間があるので、大丸の、つまりデパ地下へ降りて行った。そこは食品売り場である。お土産になるようなものを探していたが、これと言ったものがなかったようだ。

外に出るとシマさん達と出会った。いよいよミュンヘンへと入って行った。黒ビールと唐揚げが定番と考えていたが、今日29日は肉の日で、ステーキが1,000円ばかりだった。それも注文の対象となった。

8人の席はなかった。それだけここを訪れる客は多い。4人ずつならありそうだったが、満員状態だ。だが、喫煙席でもよかったらと、8人座れる席を用意してくれた。

黒ビール大ジョッキ。唐揚げとステーキを3人分ずつ頼んだ。結構なボリュームだった。後からサラダも注文したが、お腹は満腹だった。ひろこさんに指摘されたお腹が膨らんでいるのが分かった。ここが踏ん張り所である。明日から、本気でダイエットをしたいと思った。今まで痩せた事をいい事に、結構構わず飲んだり食べたりしていた。3年前のあの痩せる為の苦しい生活を失ってしまっていた。

6人で乾杯。40分経った頃そらの陽さんが来た。間もなくオカリナママさんも来た。これで今日のフルメンバーとなった。10月12日の1時から生田会館の大ホールで行う事になっている、第2回目気まぐれ音楽集団「YOSOMI好きなヤツ」コンサートの話をした。楽器はオカリナに限られてはいない。それぞれが、工夫を凝らした演奏となる。

楽しく愉快な集いは9時過ぎに終わったが、明日から2日間愈々オカリナフェスティバルである。宴会を続ける訳には行かない。私は、垂水からのバスに間に合わせなければ、明日が思いやられる。

シマさんは奥さんが余りよく歩けない為、タクシーで帰った。後皆元町駅まで歩き、それぞれ東に西に分かれて電車に乗った。伊吹夏彦さんとオカリナママさんは東へ。ひろこさん夫婦は西へ次の神戸駅で降りた。そらの陽さんと私は内容は忘れたが、何やら話しながら更に西へと向かった。私は垂水駅で降り、幸いに最終バスに間に合った。

そらの陽さんは、それから更に遠い姫路まで帰って行った。

明日のひろこさんの演奏を、聴衆の中で見届けたい。ツッキーさんや南幸さんの演奏もある。私は、今回落選だ。