頭は重いのに、目が開いたのが4時頃。もう完全に年寄りの仲間だ。あんまりばたばたも出来ず、うつらうつらしていた。いつもながらの5時45分を知らせる携帯の目覚まし音が鳴った。ぱっと音を止めた。向こうにはKさんが寝ているからである。
ゆっくり起き上がって布団を畳み、支度を整えると散歩に出掛けた。朝の田んぼや花、母屋の前のシーサーを見たり、甘味処すだちの風流なすだれや吊られた飾りの大きな6つのポンポンを見たりしてから、海の方へ向かった。
琵琶の実が生っている。茄子や胡瓜の苗が植わっている。南瓜の蔓が地面に敷かれた黒いビニールの上を這っている。まだ先まで余裕はあるが、その蔓の先端は、先をじっと見つめながら手を伸ばしている。船屋集会所を過ぎ、運動場のような広場を通り・・。そこには5羽のツバメが地面に止まったり、低く飛んだりしていた。
今治造船西条工場に行ってみた。船が見える。中に入って見ようと思ったが、「関係者以外立ち入り禁止」とあったので、そこまでで止めた。「災害に強いまちづくり応援協定」が結ばれているようだ。大きなクレーンが殊更に目に入る。
30分位歩いて戻ると、母屋から引き戸を開けてシマさんが出て来た。私はもう一度散歩をする事になった。甘味処すだちを右に曲がって私は散歩して来た。今度は左に曲がって歩く事になった。シマさんが、「それなら反対に行こう」と言ってくれたからだった。
少しじめじめした川の畔を歩く。靴に土や草が張り付く。三つ葉のクローバが群生し、そこをジャンプしたものがいた。蛙だった。広場の真上に雲雀が鳴きながら昇って行く。
ちょっと遠かったが、古墳ではないかとのシマさんの思いから、その近くまで行ってみる事にした。何か表示があるかも知れないからだった。だが、表示など何処にもなく、こんもりしてこじんまりした杜に過ぎなかった。道路に面した所には、雑草が取り巻いていた。
革靴が汚れるのが嫌で、川の反対側に回り、車の通り道に出て、そこを歩いた。甘味処すだちがすぐそこになった時、正面に土蔵が見える。だが、どうみても中は改造され、そこに部屋があり、人が住んでいるように思えた。明かりが漏れていたからである。
朝食を、母屋の台所で頂いた。とっても気が休まる。番頭さん、すだちさん、Kさん、シマさん夫婦、それに私。6人で食べる朝食は、実に美味いものだった。
すだちさんと同姓同名の人がいて、郵便事情に困る話。海苔の養殖の話。そこで養殖している海苔を、番頭さんが炙った。手付きがいいし、事実とても美味しい黒い色の海苔だった。
ご飯が美味く、その上炊き立てだから更に美味しい。それに卵焼き。鮭の切り身。蕗の佃煮。沢庵。シナ竹の吸い物。綺麗に盛られた茄子やブロッコリーやトマトのサラダ。こんな豪華な朝食、とんと味わった事がない。夕食でも十分なものだと思った。
終わるとお店の方で、Kさんのチェロを聴かせて貰った。特に低音は心に染み渡る。チェロの無伴奏曲や遠き山に日は落ちて、要望して白鳥や鳥のうたも弾いて貰った。こんな至近距離で、こんなに大きな音の出るチェロが聴けたのは幸せだった。触らせて貰って音を出してみた。生まれて初めての体験だった。いい思い出が出来た。勿論、シマさんも私も、即興でチェロとのアンサンブルをした。
暫くして番頭さんとすだちさんが入って来て、昨日お礼に聴かせて頂ける筈だった3人のコラボを聴かせて貰った。番頭さんはギター。すだちさんはオカリナと、とても立派な鍵盤ハーモニカ。
愛の賛歌など数曲を聴く事が出来た。何と素敵な朝だった事だろう。
10時が過ぎていただろうか。甘味処すだちは、今日も臨時休業。6人で今治のギャラリー遊さんのお店に行く事になった。番頭さんの知人のTさんが経営されている。突撃ライブで、行って演奏するのだとか。人事だと思っていたら、シマさんと私が演奏するのだと言う。
その前に、綺麗に飾られている、夕べも懇親会に参加して下さった和紙の人形作家野村文枝さんの作られた人形を見せて貰った。神戸や大阪に住んで、神戸では教室で指導もされていたとか。
「和紙を遊ぶ~江戸からヨーロッパへたいむとりっぷ~野村文枝和紙の世界」
和紙でここまで表現出来るのかと思う程の力作であるが、通常のコップ位の高さのものは今でも作れても、少し大きなものはもう出来ないそうだ。これらの展示作品は、前に作られたものが飾られている。数えてはいないが、50点以上はあると思う。
野村さんとお友達も来られて、ここで数曲を演奏した。私はすだちさんともコラボをさせて貰った。2度もこんな機会を頂いて感謝だ。
石鎚山が見える小高い丘のギャラリー遊さんの店も、手作り感たっぷりの素敵なお店だった。開店日が木曜日から土曜日と言うのが面白い。
もう2時にもなった。6人で記念写真を撮って、ここでお別れとなった。
前後するが、煮詰めた金柑も美味しかった。すべて悉く、すだちさんの作られたものはとても美味かった。自由な創作性に富んでいるからだ。許されるものなら、いつかもう一度行ってみたい。演奏はもういいとして、今度は食べに。番頭さんの手付きも印象に残っている。海苔を炙る手付きが玄人はだしだったのである。
みかんの花が咲いていた。西条と今治の景色と空気を思い切り吸い込んで、車に乗った。親切で優しくて、心の広く豊かな番頭さんとすだちさん。だからこそ、素敵な人たちが次から次へと集まって繋がって行くのだ。
化粧室、つまりトイレのクリーム色の壁はコテの跡が波のように残され、美しい文様を描いている。それは化粧室を出ても続いている憎い程の仕様である。
お土産を頂いた。ボランティアだったのに・・。小振りな小松銘菓よし乃餅の何と美味しい事。また、高価な清見タンゴール(温州みかんとアメリカのトロピタオレンジの交配種)の箱に入ったもの。これは流石に美味しかった。それに、大きなボトル2本の弘法水まで。
愛と真心と絆に支えられて過ごした一宿一飯の旅は、もう忘れられぬものとなった。
・ ・そして、ここは、心を飾る必要のない場所です。等身大のあなたとわたしが出会う場所。素のまんまのあなたとわたし。ここは、素の人達が集まる場所・・だから、すだちです。
樹木の酢橘も
成長の巣立ちも
心溶け合う素達も
みんな すだち
のんびり ゆったり おだやかに・・・
甘味処 すだち
こんな風な甘味処すだちの由来が、洗面所の横に書いてあった。全文ここに写そうと思ったが、デジカメで撮った文字がぼやけていて、ここまでがやっとだった。
番頭さん、すだちさん、そして皆さんとの素敵な出会いに、心からの底から感謝したいと思います。お疲れが出ませんように。本当に、ありがとうございました。
ゆっくり起き上がって布団を畳み、支度を整えると散歩に出掛けた。朝の田んぼや花、母屋の前のシーサーを見たり、甘味処すだちの風流なすだれや吊られた飾りの大きな6つのポンポンを見たりしてから、海の方へ向かった。
琵琶の実が生っている。茄子や胡瓜の苗が植わっている。南瓜の蔓が地面に敷かれた黒いビニールの上を這っている。まだ先まで余裕はあるが、その蔓の先端は、先をじっと見つめながら手を伸ばしている。船屋集会所を過ぎ、運動場のような広場を通り・・。そこには5羽のツバメが地面に止まったり、低く飛んだりしていた。
今治造船西条工場に行ってみた。船が見える。中に入って見ようと思ったが、「関係者以外立ち入り禁止」とあったので、そこまでで止めた。「災害に強いまちづくり応援協定」が結ばれているようだ。大きなクレーンが殊更に目に入る。
30分位歩いて戻ると、母屋から引き戸を開けてシマさんが出て来た。私はもう一度散歩をする事になった。甘味処すだちを右に曲がって私は散歩して来た。今度は左に曲がって歩く事になった。シマさんが、「それなら反対に行こう」と言ってくれたからだった。
少しじめじめした川の畔を歩く。靴に土や草が張り付く。三つ葉のクローバが群生し、そこをジャンプしたものがいた。蛙だった。広場の真上に雲雀が鳴きながら昇って行く。
ちょっと遠かったが、古墳ではないかとのシマさんの思いから、その近くまで行ってみる事にした。何か表示があるかも知れないからだった。だが、表示など何処にもなく、こんもりしてこじんまりした杜に過ぎなかった。道路に面した所には、雑草が取り巻いていた。
革靴が汚れるのが嫌で、川の反対側に回り、車の通り道に出て、そこを歩いた。甘味処すだちがすぐそこになった時、正面に土蔵が見える。だが、どうみても中は改造され、そこに部屋があり、人が住んでいるように思えた。明かりが漏れていたからである。
朝食を、母屋の台所で頂いた。とっても気が休まる。番頭さん、すだちさん、Kさん、シマさん夫婦、それに私。6人で食べる朝食は、実に美味いものだった。
すだちさんと同姓同名の人がいて、郵便事情に困る話。海苔の養殖の話。そこで養殖している海苔を、番頭さんが炙った。手付きがいいし、事実とても美味しい黒い色の海苔だった。
ご飯が美味く、その上炊き立てだから更に美味しい。それに卵焼き。鮭の切り身。蕗の佃煮。沢庵。シナ竹の吸い物。綺麗に盛られた茄子やブロッコリーやトマトのサラダ。こんな豪華な朝食、とんと味わった事がない。夕食でも十分なものだと思った。
終わるとお店の方で、Kさんのチェロを聴かせて貰った。特に低音は心に染み渡る。チェロの無伴奏曲や遠き山に日は落ちて、要望して白鳥や鳥のうたも弾いて貰った。こんな至近距離で、こんなに大きな音の出るチェロが聴けたのは幸せだった。触らせて貰って音を出してみた。生まれて初めての体験だった。いい思い出が出来た。勿論、シマさんも私も、即興でチェロとのアンサンブルをした。
暫くして番頭さんとすだちさんが入って来て、昨日お礼に聴かせて頂ける筈だった3人のコラボを聴かせて貰った。番頭さんはギター。すだちさんはオカリナと、とても立派な鍵盤ハーモニカ。
愛の賛歌など数曲を聴く事が出来た。何と素敵な朝だった事だろう。
10時が過ぎていただろうか。甘味処すだちは、今日も臨時休業。6人で今治のギャラリー遊さんのお店に行く事になった。番頭さんの知人のTさんが経営されている。突撃ライブで、行って演奏するのだとか。人事だと思っていたら、シマさんと私が演奏するのだと言う。
その前に、綺麗に飾られている、夕べも懇親会に参加して下さった和紙の人形作家野村文枝さんの作られた人形を見せて貰った。神戸や大阪に住んで、神戸では教室で指導もされていたとか。
「和紙を遊ぶ~江戸からヨーロッパへたいむとりっぷ~野村文枝和紙の世界」
和紙でここまで表現出来るのかと思う程の力作であるが、通常のコップ位の高さのものは今でも作れても、少し大きなものはもう出来ないそうだ。これらの展示作品は、前に作られたものが飾られている。数えてはいないが、50点以上はあると思う。
野村さんとお友達も来られて、ここで数曲を演奏した。私はすだちさんともコラボをさせて貰った。2度もこんな機会を頂いて感謝だ。
石鎚山が見える小高い丘のギャラリー遊さんの店も、手作り感たっぷりの素敵なお店だった。開店日が木曜日から土曜日と言うのが面白い。
もう2時にもなった。6人で記念写真を撮って、ここでお別れとなった。
前後するが、煮詰めた金柑も美味しかった。すべて悉く、すだちさんの作られたものはとても美味かった。自由な創作性に富んでいるからだ。許されるものなら、いつかもう一度行ってみたい。演奏はもういいとして、今度は食べに。番頭さんの手付きも印象に残っている。海苔を炙る手付きが玄人はだしだったのである。
みかんの花が咲いていた。西条と今治の景色と空気を思い切り吸い込んで、車に乗った。親切で優しくて、心の広く豊かな番頭さんとすだちさん。だからこそ、素敵な人たちが次から次へと集まって繋がって行くのだ。
化粧室、つまりトイレのクリーム色の壁はコテの跡が波のように残され、美しい文様を描いている。それは化粧室を出ても続いている憎い程の仕様である。
お土産を頂いた。ボランティアだったのに・・。小振りな小松銘菓よし乃餅の何と美味しい事。また、高価な清見タンゴール(温州みかんとアメリカのトロピタオレンジの交配種)の箱に入ったもの。これは流石に美味しかった。それに、大きなボトル2本の弘法水まで。
愛と真心と絆に支えられて過ごした一宿一飯の旅は、もう忘れられぬものとなった。
・ ・そして、ここは、心を飾る必要のない場所です。等身大のあなたとわたしが出会う場所。素のまんまのあなたとわたし。ここは、素の人達が集まる場所・・だから、すだちです。
樹木の酢橘も
成長の巣立ちも
心溶け合う素達も
みんな すだち
のんびり ゆったり おだやかに・・・
甘味処 すだち
こんな風な甘味処すだちの由来が、洗面所の横に書いてあった。全文ここに写そうと思ったが、デジカメで撮った文字がぼやけていて、ここまでがやっとだった。
番頭さん、すだちさん、そして皆さんとの素敵な出会いに、心からの底から感謝したいと思います。お疲れが出ませんように。本当に、ありがとうございました。