コートが暑い。しかも、部厚い生地だ。今日は寒くはなかったのだ。
三宮には3つの用事で出かけた。財布が空になりかけていたので、貯まってもいない銀行へ、その僅かスズメの涙の全額を引き出しに。余程引き締めないと、CD所の騒ぎではない。
次に録音スタジオに行った。男が3人、入り口で屯していた。何? と言う風な顔をしたと思ったので、
「Tさんいますか」
と聞いた。
「今日は休みなんですか」
「いや、止めたんです」
驚いたのなんの。女性の主任エンジニアだったが、もう5年にもなるだろうか。2曲だけ録音して、マスタリングして貰った事がある。とてもいい人で、CDを作る時は是非ここでと決めていたから、衝撃的だった。
「今は、この人が全部中心になってやっています」
と、若い男が年配の男の方を向いて言った。
「ちょっと相談したいので」
と言うと、中に通された。
ものの一つ二つ質問していると、1時から録音があると言う。約束の人がすぐに現れたので、また来ると言って、早々にその場を離れた。
基本は、1日かけて録音して、後マスタリングをするのである。だが、問題が2つ生じた。一つは、12曲連続で録音する体力がない事。また、ピアノのS.Sさんはレッスンが控えているので、精々3時間しか時間が取れない。兎に角この3時間で6曲録音して、別の日にまた6曲録音する事になる。こちらとしてはそれが一番いいと思っている。
まずこれを承諾して貰う事と、マスタリングは1曲について1万円だと言った事に、ひえ~っ! 考えればそれが相場かもしれないが、複雑な複数の楽器や曲の演奏ならまだしも、単純なオカリナの事だから、これを今度交渉して、値引きをして貰わないといけない。
ああ、ここまでは考えていなかった。だが、このスタジオは近い方だし、1回の経験だとしても慣れているし、何とかここで考えてみようと思う。
そして最後は、ジュンク堂へ行った。「ラジオ深夜便」(定価350円)の1月号を求めに。私の家の近くの本屋さんには、2月号は勿論あったが、もう1月号はなかった。ジュンク堂にはあるのではないかと、一縷の望みを繋いでいた。
テキストなどのコーナーを見ると、矢張り2月号しかない。聞いてみる前に、ぱらぱらっと2月号を捲ってみた。オーマイゴッド! こんな時に言う言葉ではない気がするが、何と、求めているものが、この2月号の中にあったのだ。
ラジオの深夜便で聴いて、感動した歌だった。絶対オカリナでも吹きたいと思った。この歌手が歌っていたから尚更の事だ。。
それは、「あなたの忘れ物」(作詞・作曲:沖正夫 編曲:小野リサ、ヤマカミヒトミ 歌:小野リサ)と言う曲である。ちゃんと楽譜も載っている。とても吹きたい曲だ。何だか周りがパッと明るくなった気がした。
歌詞はこんな歌詞である。
あなたの忘れ物
あなたの残した忘れ物
今でも大事にしまってあるわ
わたしの胸に残る思い出
あなたと過ごした月日もみんな
大事に大事にしまってあるわ
もうこれ以上愛せないくらい
あなたを愛し愛されたから
もう何も欲しいものはない
あなたが全てだから
逢えなくなって今でもずっと
忘れた日など一日もない
息つく暇さえないくらい
日々の暮らしに追われていても
心に映るあなたの姿
いつもあなたの歩く速度(はやさ)に
追いつけないで駆け出したこと
みんなが集まるパーティでさえ
わたしの視線の先には
あなたしかいなかった
わがままで自分勝手ですぐに気が変わり
意地悪でもっと優しいひとがいっぱいいるのに
わたしには分かっていたの
世界で一番優しいひとだと
あなたはエンジェル
天に帰った今でも
わたしをきっと見ていてくれる
たくさんたくさん思い出残し
忘れ物をしていった
愛という名の形見の品を
大事に大事にしまっておくわ
しまっておくわ
たったこの1枚の、切り取り線入りの、薄卵色の楽譜欲しさに、私は2月号の「ラジオ深夜便」を買った。そのたった1枚が、350円なんか比べ物にならない程の価値を持っている事を、私はしっかりと認識している積もりだ。
小野リサは、レコーディングを振り返りながらこう言った。
「作詞作曲の沖先生が、東日本大震災のあと、なにより詞を大事にしてこの曲を作られていたんです。込められたメッセージが届くように、沖先生の言葉そのものになった気持ちで歌いました」
夜11時20分から翌朝5時まである「ラジオ深夜便」。どこで歌うのか確認していなかったが、また耳元にラジオを点けっ放しで寝床に入ろう。今夜は誰がアンカーだろう。
大体1時の終わり頃2時前か、12時の終わり頃1時前に深夜便の歌はある。どちらかは本に書いてある。それに、歌は2つあるので、必ず小野リサの歌とは限らない。もう一つは森山良子の歌う「想いの届く日」(作曲:カルロス・ガルデル 作詞・歌:森山良子)と言う曲だ。
殆ど2時からは「ロマンチックコンサート」、3時からは「にっぽんの歌こころの歌」があり、4時からは「明日へのことば」がある。
ずっと起きていて聴いていたい。でも、そんな事したら、寝不足で体が持たない。掛けっ放しだから、しっかり聴いている時と、夢見心地で耳に音が触っている時がある。疲れている時は、やっぱり眠っている。
悩ましい「ラジオ深夜便」ではある。
三宮には3つの用事で出かけた。財布が空になりかけていたので、貯まってもいない銀行へ、その僅かスズメの涙の全額を引き出しに。余程引き締めないと、CD所の騒ぎではない。
次に録音スタジオに行った。男が3人、入り口で屯していた。何? と言う風な顔をしたと思ったので、
「Tさんいますか」
と聞いた。
「今日は休みなんですか」
「いや、止めたんです」
驚いたのなんの。女性の主任エンジニアだったが、もう5年にもなるだろうか。2曲だけ録音して、マスタリングして貰った事がある。とてもいい人で、CDを作る時は是非ここでと決めていたから、衝撃的だった。
「今は、この人が全部中心になってやっています」
と、若い男が年配の男の方を向いて言った。
「ちょっと相談したいので」
と言うと、中に通された。
ものの一つ二つ質問していると、1時から録音があると言う。約束の人がすぐに現れたので、また来ると言って、早々にその場を離れた。
基本は、1日かけて録音して、後マスタリングをするのである。だが、問題が2つ生じた。一つは、12曲連続で録音する体力がない事。また、ピアノのS.Sさんはレッスンが控えているので、精々3時間しか時間が取れない。兎に角この3時間で6曲録音して、別の日にまた6曲録音する事になる。こちらとしてはそれが一番いいと思っている。
まずこれを承諾して貰う事と、マスタリングは1曲について1万円だと言った事に、ひえ~っ! 考えればそれが相場かもしれないが、複雑な複数の楽器や曲の演奏ならまだしも、単純なオカリナの事だから、これを今度交渉して、値引きをして貰わないといけない。
ああ、ここまでは考えていなかった。だが、このスタジオは近い方だし、1回の経験だとしても慣れているし、何とかここで考えてみようと思う。
そして最後は、ジュンク堂へ行った。「ラジオ深夜便」(定価350円)の1月号を求めに。私の家の近くの本屋さんには、2月号は勿論あったが、もう1月号はなかった。ジュンク堂にはあるのではないかと、一縷の望みを繋いでいた。
テキストなどのコーナーを見ると、矢張り2月号しかない。聞いてみる前に、ぱらぱらっと2月号を捲ってみた。オーマイゴッド! こんな時に言う言葉ではない気がするが、何と、求めているものが、この2月号の中にあったのだ。
ラジオの深夜便で聴いて、感動した歌だった。絶対オカリナでも吹きたいと思った。この歌手が歌っていたから尚更の事だ。。
それは、「あなたの忘れ物」(作詞・作曲:沖正夫 編曲:小野リサ、ヤマカミヒトミ 歌:小野リサ)と言う曲である。ちゃんと楽譜も載っている。とても吹きたい曲だ。何だか周りがパッと明るくなった気がした。
歌詞はこんな歌詞である。
あなたの忘れ物
あなたの残した忘れ物
今でも大事にしまってあるわ
わたしの胸に残る思い出
あなたと過ごした月日もみんな
大事に大事にしまってあるわ
もうこれ以上愛せないくらい
あなたを愛し愛されたから
もう何も欲しいものはない
あなたが全てだから
逢えなくなって今でもずっと
忘れた日など一日もない
息つく暇さえないくらい
日々の暮らしに追われていても
心に映るあなたの姿
いつもあなたの歩く速度(はやさ)に
追いつけないで駆け出したこと
みんなが集まるパーティでさえ
わたしの視線の先には
あなたしかいなかった
わがままで自分勝手ですぐに気が変わり
意地悪でもっと優しいひとがいっぱいいるのに
わたしには分かっていたの
世界で一番優しいひとだと
あなたはエンジェル
天に帰った今でも
わたしをきっと見ていてくれる
たくさんたくさん思い出残し
忘れ物をしていった
愛という名の形見の品を
大事に大事にしまっておくわ
しまっておくわ
たったこの1枚の、切り取り線入りの、薄卵色の楽譜欲しさに、私は2月号の「ラジオ深夜便」を買った。そのたった1枚が、350円なんか比べ物にならない程の価値を持っている事を、私はしっかりと認識している積もりだ。
小野リサは、レコーディングを振り返りながらこう言った。
「作詞作曲の沖先生が、東日本大震災のあと、なにより詞を大事にしてこの曲を作られていたんです。込められたメッセージが届くように、沖先生の言葉そのものになった気持ちで歌いました」
夜11時20分から翌朝5時まである「ラジオ深夜便」。どこで歌うのか確認していなかったが、また耳元にラジオを点けっ放しで寝床に入ろう。今夜は誰がアンカーだろう。
大体1時の終わり頃2時前か、12時の終わり頃1時前に深夜便の歌はある。どちらかは本に書いてある。それに、歌は2つあるので、必ず小野リサの歌とは限らない。もう一つは森山良子の歌う「想いの届く日」(作曲:カルロス・ガルデル 作詞・歌:森山良子)と言う曲だ。
殆ど2時からは「ロマンチックコンサート」、3時からは「にっぽんの歌こころの歌」があり、4時からは「明日へのことば」がある。
ずっと起きていて聴いていたい。でも、そんな事したら、寝不足で体が持たない。掛けっ放しだから、しっかり聴いている時と、夢見心地で耳に音が触っている時がある。疲れている時は、やっぱり眠っている。
悩ましい「ラジオ深夜便」ではある。