一昨日は私がサンタさんになって、子供達にプレゼントを渡す役をしたのに、今日(22日)は、私が3日早いクリスマスのプレゼントを貰った。

テレマン室内オーケストラの指揮者延原武春は、アンコールの為に用意した曲を演奏した。周りが暗くなり、37人の一番後ろに2列に並んでいるテレマン室内合唱団の胸の周りに、緑や紫の灯りが点った。手前には、オレンジ色の大き目の灯りが揺れている。指揮者が手に持った指揮の為の灯りだった。

「きよしこの夜」が管弦楽と合唱で流れた。きっとこの曲が流れると私は予測していた。英語で、そして日本語で。

美しい旋律。美しい言葉。特に英語が素晴らしい。この曲は私の涙腺を脆くした。世界で最も美しい曲の一つだと、私は自負して止まない。夏でもオカリナで吹く事がある。周りにはちょっと遠慮がちに、心の中では胸を張って。

会場に、明かりが戻った。指揮者は、頭にサンタクロースの帽子を被っていた。そうして、私も、会場の聴衆も、3日早いクリスマスの贈り物を受け取ったのだ。

「第九deクリスマス」。ザ・シンフォニーホールで2時からの演奏は、結局4時50分に終わった。私は2階の一番後ろの席。でもそれは、真ん中だった。

【第一部】30回記念・100人の第九
ベートーヴェン:交響曲第九番二短調「合唱付」op.125
[ソプラノ]六車智香 [アルト]中村勢津子 [テノール]松原友 [バス]篠部信宏

合唱は男子17人、女子23人。楽団は42人(後から6人が加わる)。凄い声の勢いが、第4楽章になると、会場中を埋め尽くすほどに響く。ドイツ語だけれど、参考に岡田吉生訳で、その意味を載せよう。必要でなければ、飛ばして読んで頂ければ有り難い。


おお 友よ、もうこんな音は要らない!
もっと楽しい歌を歌おう
もっと喜びにあふれた歌を!

喜びよ、神のような鮮やかなきらめき、
楽園の娘よ、
情熱にあふれて
私たちは聖域を踏む!
あなたの不思議な力は再び、
世の習いが分け隔てた全てを結び合わせる。
全ての人々は兄弟となる、
優しき羽に抱かれて。

いつまでも変ることのない友情を
勝ち得たもの、
誠実な妻を得たものは、
誰でも歓びの歌に入ろう!
そうだ、少なくとも一つの魂を
自分のものと呼べる人は!
そしてそれができぬ人は全て
涙して友達の輪から去りなさい。

すべての生き物は喜びを
自然の乳房から飲む。
正しい者も正しくない者もすべて
同じ様にバラの径を進む。
自然は口づけとぶどうの実と、
最期まで信頼し得る友を与える。
虫でさえ満ち足りる、
そして、天使は神の前に在る!

喜びながら、天体のように行け
壮大な大空を通って、
兄弟たちよ、自分たちの道を駆けて行け、
勝利に向う英雄のように。

抱き合え、多くの人々よ!
この口づけは全ての世界のものだ!
兄弟たちよ! 星空の上には
愛する神が必ずいる。
ひれ伏しているが、多くの人々よ?
創造主を感じとれるか、世界よ?
星空の上に神を捜し求めなさい!
星の彼方に神は必ず住んでいるのだ。


【第2部】テレマンのクリスマス
J.S.バッハ:カンタータ第147番より第1曲合唱

ここからは、ABCアナウンサーの古川昌希が司会をする。

延原「あんた、緊張してるだろう」

古川「はい」

延原「大阪出身だろ? 関西弁で話したら」

古川「いや、一応アナウンサーですから」

声は確かにいい。だが新人のように、波がない。詩の朗読は短調で速く、うねりが欲しいと思った。いずれ研磨されて、素晴らしいアナウンサーへと育って行くに違いないが、最初は、誰でもが通る道なのだ。

《「第九」30回記念・延さん’s Favorite Piece》が、オーケストラを縮小して始まった。25人の編成となる。

ベートーヴェン:交響曲第1番より第2楽章

テレマン:弦楽4声部のための協奏曲(3つの舞曲)より第1楽章

ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲op.3-11より第1楽章
[ヴァイオリン]浅井咲乃 三谷彩佳 [チェロ]曽田健

モーツァルト:ディヴェルティメント第17番より第3楽章“メヌエット”

サラサーテ:ツイゴイネルワイゼン
[ヴァイオリン]浅井咲乃

ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
[フルート]森本英希

ラフマニノフ:ヴォカリーズ
[カウンターテナー]五十嵐正嗣

J.S.バッハ:カンタータ第147番より“主よ、人の望みの喜びよ”

クリスマス・キャロル:もろびとこぞりて、神の御子は今宵しも


1時間10分の「第九」は素晴らしかった。昔は興味がなかったのに。今はとても素敵だ。ベートーヴェンは、やっぱり最高だ。

後の1時間20分の「第2部」も良かった。だが、矢張り「第1部」を聴いた後なので、物足りない気がする部分もあった。1部と2部が逆だったらどうだっただろうか。


大阪から快速に乗って三宮まで戻った。そこから北野坂を上って行き、この前テレビで観ていた店を探して行った。お好み焼きとそば飯の店だ。

ならば新長田に行けばいいのにとお思いか? それもそうだ。新長田には7~80軒のお好み屋さんがある。全部制覇しようと試みた時があったが、結局7、8軒で開拓するのを止めた。その中に、気に入った店が3、4軒はあったからだ。

態々数少ない三宮の店に行く事もないのにと、誰もが思うだろう。所が、その店はそば飯に、国産牛がステーキのように切られ乗せられて出て来るのだ。そんなそば飯は食べた事がない。ものは試しだった。値段は1,300円。

恐ろしい程の量のそば飯に、肉が乗っていた。わさびが、刺身のように盛られている。それを肉に乗せて食べた。う、美味い! ビールの味が冴え渡る。まるで交響曲だ。

おかみさんをちょっと褒めてみた。余りに人懐こい、感じのいいおかみさんだったから。

すると、焼酎を1杯ご馳走してくれた。それもロックでね。

「大地」と言う芋焼酎だった。これは杉良太郎さんがプロデュースした酒で、1升瓶が3,600円だと言った。焼酎にしたら高いと思うけれど、家に持って帰ってちびちび正月辺りから飲みたいものだと思った。

「ちょびっと安くならんかね?」

「誰にも売った事がないんよ。それも、3,600円で仕入れているし」

そうか。だったら3,600円で売って貰えたら、原価で買うようなものだ。

「それなら、まけてくれとは言えないね」

密かに、次に来る時に買って帰る事に決めた。もし、売ってくれればね。でも、どうして街中を1升瓶を提げて歩けると言うのだ。それには、ちょっとした度胸が要る。

鉄板で焼いた赤穂の牡蠣とキムチをあてに飲んだが、いやー、全く、こんな美味いそば飯の店があるとは。杉良太郎さんは、新神戸に着いたら、必ず寄ると話していた。

おかみさんが、この前も2日連続で来てくれたと言った。奥様は言わずと知れた演歌歌手伍代夏子さんだ。べらぼうに綺麗だと言った。