帰りの高速バスの中から、28日の月が見えた。明後日は満月である。

兵庫芸術文化センター管弦楽団のメンバーが、かなり入れ替わっていた。「第26回名曲コンサート」を聴いた。

三ツ橋敬子の指揮を一度は見たいと思っていた。一言で言えば、情熱的な指揮だった。細い体が、後ろ向きになって踊っている。


シャブリエ:狂詩曲「スペイン」

ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
 第1楽章 アレグロ・コン・スピリート
 第2楽章 アダージォ
 第3楽章 アレグロ・ジェンティーレ

これは、朴葵姫のギター演奏曲だった。CDも売れていたようだが、サイン会もあったけれど、私はそこまでの余裕はなかった。東京音大で学んだが、3歳からギターを始めている。

ここで休憩となるが、アンコールでは私の想像通り「アルハンブラの想い出」だった。弓の代わりに指で弾くのだが、こんな広い満員の大ホールで聴くギターの音もいいものだ。

ビゼー:組曲「カルメン」より
 前奏曲
 ハバネラ
 アルカラの竜騎兵
 ジプシーの踊り
 闘牛士の歌
 間奏曲
 夜想曲
 アラゴネーズ
 闘牛士

ジプシーの踊り、アラゴネーズ、闘牛士は、指揮者の情熱を感じながら聴く事が出来た。あの小柄な体から、パッションが迸る。最後は、

ラヴェル:ボレロ

フルートから始まるソロを、一つ一つ大事に聴く。バスーンとトロンボーンは、特に聴き応えがある。ボレロはいつでもそうだ。チェロが弦を弾いている。コントラバスの弓での短い小節が、何度か続く。その懸命さに打たれる。

クライマックスで銅鑼が響く。大音量で終わる。何故だか感動して、涙が滲んだ。

いつでもそうだが、感動すると無性にオカリナで吹いてみたくなるのだ。

バスを降りて歩く短い距離の空には、もうじきまん丸に膨れ上がる月が、太陽の光を反射して皓々と輝いていた。周りの空も一際明るく、まるで自分自ら光を放っているかのように。

帰ると、練習の中に2曲が入っていた。「アルハンブラの想い出」と「ボレロ」だった。ギターとオーケストラとは余りにも遠い距離があるが、滑ったり転んだりしながら、どう聴いても滑らかではない音と共に、シルバーのオカリナが音だけは大きく、いつもの部屋を裂く。