6月25日(月)

“ねんど”コンサートに行って来た。小山京子(オカリナ)、吉塚光雄(オカリナ)、齋藤浩(ギター)。

19時開演だが、18時30分前には列が出来ていた。神戸芸術センターシューマンホールで。余り多くは入れないが、いい演奏環境ではある。

1部40分。休憩10分。2部40分。演奏曲の一部だが、芭蕉布、トランペット吹きの休日、リンゴ追分、コンドルは飛んで行く、アリオーソ、タイプライター、リベルタンゴ、いのちの歌・・。

全部ヨシツカオカリナである。それはそうだ、吉塚さんが作っているのだから。

もう15年程前になるだろうか。不思議と言えば不思議な縁で、ヨシツカオカリナの事を聞き、SC、SG、SF、MCの4本をすぐに注文した。黄土色、赤、青、黄土色を基調としたマーブルのオカリナが届いた。感激で、持って寝た程である。

アケタのオカリナからヨシツカのオカリナに代わり、20本は買っただろうか。優しい、暖かな音色だ。

現在は数種類のオカリナを使用しているが、基本はヨシツカオカリナである。曲によって、決められた出番を持つ愛すべきオカリナなのだ。

使い始めた頃、東京に吉塚さんを訪ねた楽しい思い出がある。このオカリナも、今では2年位待たないと手に入らないらしい。

小山さんは、兎に角タンギングが上手い。吉塚さんが吹く音は、ぶれなくて安定している。

タイプライターをネット上で買ったと言って、演出を交えて演奏した。吉塚さんは黒縁の伊達眼鏡を掛け、事務員になってタイプラーターのキーを叩き、チンとベルを鳴らした。終わると、さっと紙を引き抜いた所が面白かった。このタイプライターも、500円だったそうである。

やっぱり速いパッセージには気を取られる。最後には、「トルコ行進曲」を吹いた。私より音程が正しく、豊かに吹いていた。他人の演奏には、学ぶ所もある。あと、森下知子さんの「トルコ行進曲」も、指のタッチも上手く滑らかで正確である。大沢さんの弟子の弓場さつきさんが得意だと言う「トルコ行進曲」も聴いてみたい。

そんなに構えなくても、ある程度なら吹ける曲ではあるが、音楽とは無縁だった単なるオカリナ吹きの私に、最初は吹けるだろうかと思ったものだ。或る楽譜を見て、ぎこちなく移調してから練習した。私の中では、それ専門のオカリナは矢張り、ヨシツカオカリナのSCなのだ。

まだ未完成の「トルコ行進曲」を吹く時は、同じものが5本ある中の赤色のSCに決めている。SCとは、ソプラノCではなくスモールCの略である。最初のMはミドル、Lはバスではなくラージと言う。そのLCの更に下のFも東京に行った時に注文したものだが、この出番は、私のオリジナル「夜明け」の冒頭、フクロウの鳴き声の時に使うだけだ。

何故ソプラノCを使うかと言うと、最高音がファまでしか出ないオカリナにあって、全開放にして右手の小指と薬指の穴、つまり下から2つの穴を塞ぐとソまで出せるからである。「トルコ行進曲」は、最後辺りで、何度かこのソの音が必要なのだ。

私が「浜辺の歌」を吹く時に使ったSCがあるが、それも或る小学校と新長田のピフレホールで吹いただけだった。私が吹き口に紙を入れて掃除をしている時、とんでもない事が起きて、音が変になってしまった。そのショックで1年は絶望の淵にあった。同じSC5本の中で、ずば抜けて豊かな音を響かせていたからである。

それから8年間、捨てるに捨てられず、ずっと引き出しに入ったままだった。今回、吉塚さんに見せようと思った。帰り際、その事を言って、そのオカリナを見せた。

「元のようにはならないかも知れませんが、預かります」

と言った。「ああ、また蘇るのだ」、そう思った。これは、幻のオカリナと私は命名している。

この“ねんど”は今、西日本ツアー2012で回っている。

6月23日(土)高槻市総合市民交流センター 13:30~
6月24日(日)貝塚コスモスシアター 14:00~
6月25日(月)神戸芸術センター 19:00~
6月26日(火)倉敷物語館 18:30~
6月27日(水)岡山シンフォニーホール 14:00~
6月30日(土)萬翠荘(愛媛) 14:00~
7月 1日(日)日本福音ルーテル大分教会 15:00~

「東京に来られた時は、連絡して下さい」

懐かしい、穏やかで柔らかい、まるで吉塚さんのような優しい音を、久し振りに聴いた。