22日の日曜日は、4時を少し回っていただろうか。神戸大丸前のスクランブルの信号で止まっていたTさんのビニール傘が、朝顔のように煽られ、忽ちにして壊れてしまった。
「こんなに風があったら、あっと言う間に朝顔のようになってしまうね」
と、それは私達が話しながら歩き出した瞬間だった。私のビニール傘は、そうなる寸前で畳まれた。それでも、1本だけ骨がやや曲がっていた。雨はさほどでもなかったが、突風が煽るように吼えた。初めから差さなくても良かったが、突風は想定外だった。
TさんT妻さんと3人で、私のお気に入りの店に入った。ミュンヘンと言えば、ビールと空揚げである。3階の奥まった席に座ると、Tさん達はアルコールは駄目だと言った。うーむ、どうしよう、と思っていると、どうぞ飲んで下さいと言う。私は飲む雰囲気が好きなだけで、強くはない。でも、飲まずにはいられない。
ミュンヘンでは、大抵黒ビールを飲む。理由は簡単だ。兎に角旨いのである。私は大ジョッキ、2人はジュースを注文した。
とまあ、こんな風に書いて行くと、またダラダラした文章になる。これでもその兆しは十分だが、喋った内容は書かないとしても、楽しかった事だけは伝えておきたい。
以前Tさんが、この日に食事をしながら話さないかと言っていたのである。私は喜んで意思表明をしていた。
殆どオカリナに就いての話だった。空揚げもピザも巻きずしも、注文したものが皆旨い。黒ビールは、今度は中ジョッキを追加した。
さて、楽しい様子は次の1行で丸分かりである。
店を出たのが10時前だったのである。館内放送が閉店を告げたそのタイミングだった。
Tさんには演奏家のHさんを紹介して貰ったが、お母さんが宝塚で韓国料理の店をやっていると言う話聞きながら、三宮まで歩いた。行ってみたいと即座に思った。密かにチャンスの到来を待っている。
車で来ている2人とは、三宮で別れた。私は高速バスに乗った。
お昼の12時からと1時からの2回、ヤマハの店頭ステージで深瀬欽吾さんのオカリナ演奏があり、私は12時から聴いた。上手い人である。オカリナの宣伝も兼ねているのだろう。30分で終わるその演奏の後も、数人の人の質問に答えていた。すると次の2回目の時間になり、彼は休む間もなかった。
どちらも、2時からの大沢聡さんのコンサートの宣伝が入っていた。私も、昨日の講座を受けた3階のサロンで、彼の演奏を聴きに来ていたのだ。
講座ではテーブルが置かれていたので20人程の人数だったが、今日この日は椅子が並べられ、60人は十分に入っていた。後ろには販売スペースが確保されていたが、椅子は確実に塞がっていた。すし詰めの満員である。
オカリナ:大沢聡。ピアノ:伊藤昌司。コントラバス:名古路一也のトリオだ。今回は、ジャズを中心とした構成で、大沢さんのテクニックは元より、3人のそれは目を瞠るものがあった。ジャズは本当に自由で楽しい。
大沢さんと比較できるオカリニストは他にいないだろう。誰とでもセッションが出来、そのジャンルも悉く広い。大沢さんのアドリブは、真骨頂だと思われる程の凄いテクニックだ。
私にここまで出来たら。せめて今20代だったら。笑い事だけれど、どれも私には澱みに浮かぶ泡沫である。大沢聡。それはオカリナ界のサラブレッドなのである。
2歳で音楽を求めてキャバレー通いをしていた。2歳から、音楽一家の彼は、父親や母親の演奏を聴き、音楽の世界に浸っていたのだ。ここからして違うのだから、彼がサラブレッドなら私はチソクブラックでいい。て言うか、年金暮らしになってから動き出したのだから、全く牛歩なのだ。指に関しては、もう速くは動かない。
今回は曲をメモしたりしないで、最後まで聴く事に専念した。大沢聡とジャズの世界を、オカリナを通して堪能したかったからだ。あまりの遠い存在に、口から胆嚢が出そうだ。今頃分かってもどうしようもない事だが、プロとはそう言うものなのだ。
オカリナでプロだと言える人はほんの数人しかいないと、私は思う。自称プロだと言っている人。教えているからプロだと思っている人。それぞれ様々だが、実力のないプロ程みすぼらしいものはない。
世界に通用するプロオカリナ奏者、大沢聡さんの今後の活躍が期待される所以である。彼には停滞と言う言葉がないのだろうか。目に見えて確実に前進している。それも、大きな魅力であろう。
オカリナ人生がこんなに人を魅了するものだとは。人生を楽しもうとよく言われる。オカリナを楽しんで、楽しんで、楽しみ尽くせたら、それもまた良かったと言える人生に違いない。
「こんなに風があったら、あっと言う間に朝顔のようになってしまうね」
と、それは私達が話しながら歩き出した瞬間だった。私のビニール傘は、そうなる寸前で畳まれた。それでも、1本だけ骨がやや曲がっていた。雨はさほどでもなかったが、突風が煽るように吼えた。初めから差さなくても良かったが、突風は想定外だった。
TさんT妻さんと3人で、私のお気に入りの店に入った。ミュンヘンと言えば、ビールと空揚げである。3階の奥まった席に座ると、Tさん達はアルコールは駄目だと言った。うーむ、どうしよう、と思っていると、どうぞ飲んで下さいと言う。私は飲む雰囲気が好きなだけで、強くはない。でも、飲まずにはいられない。
ミュンヘンでは、大抵黒ビールを飲む。理由は簡単だ。兎に角旨いのである。私は大ジョッキ、2人はジュースを注文した。
とまあ、こんな風に書いて行くと、またダラダラした文章になる。これでもその兆しは十分だが、喋った内容は書かないとしても、楽しかった事だけは伝えておきたい。
以前Tさんが、この日に食事をしながら話さないかと言っていたのである。私は喜んで意思表明をしていた。
殆どオカリナに就いての話だった。空揚げもピザも巻きずしも、注文したものが皆旨い。黒ビールは、今度は中ジョッキを追加した。
さて、楽しい様子は次の1行で丸分かりである。
店を出たのが10時前だったのである。館内放送が閉店を告げたそのタイミングだった。
Tさんには演奏家のHさんを紹介して貰ったが、お母さんが宝塚で韓国料理の店をやっていると言う話聞きながら、三宮まで歩いた。行ってみたいと即座に思った。密かにチャンスの到来を待っている。
車で来ている2人とは、三宮で別れた。私は高速バスに乗った。
お昼の12時からと1時からの2回、ヤマハの店頭ステージで深瀬欽吾さんのオカリナ演奏があり、私は12時から聴いた。上手い人である。オカリナの宣伝も兼ねているのだろう。30分で終わるその演奏の後も、数人の人の質問に答えていた。すると次の2回目の時間になり、彼は休む間もなかった。
どちらも、2時からの大沢聡さんのコンサートの宣伝が入っていた。私も、昨日の講座を受けた3階のサロンで、彼の演奏を聴きに来ていたのだ。
講座ではテーブルが置かれていたので20人程の人数だったが、今日この日は椅子が並べられ、60人は十分に入っていた。後ろには販売スペースが確保されていたが、椅子は確実に塞がっていた。すし詰めの満員である。
オカリナ:大沢聡。ピアノ:伊藤昌司。コントラバス:名古路一也のトリオだ。今回は、ジャズを中心とした構成で、大沢さんのテクニックは元より、3人のそれは目を瞠るものがあった。ジャズは本当に自由で楽しい。
大沢さんと比較できるオカリニストは他にいないだろう。誰とでもセッションが出来、そのジャンルも悉く広い。大沢さんのアドリブは、真骨頂だと思われる程の凄いテクニックだ。
私にここまで出来たら。せめて今20代だったら。笑い事だけれど、どれも私には澱みに浮かぶ泡沫である。大沢聡。それはオカリナ界のサラブレッドなのである。
2歳で音楽を求めてキャバレー通いをしていた。2歳から、音楽一家の彼は、父親や母親の演奏を聴き、音楽の世界に浸っていたのだ。ここからして違うのだから、彼がサラブレッドなら私はチソクブラックでいい。て言うか、年金暮らしになってから動き出したのだから、全く牛歩なのだ。指に関しては、もう速くは動かない。
今回は曲をメモしたりしないで、最後まで聴く事に専念した。大沢聡とジャズの世界を、オカリナを通して堪能したかったからだ。あまりの遠い存在に、口から胆嚢が出そうだ。今頃分かってもどうしようもない事だが、プロとはそう言うものなのだ。
オカリナでプロだと言える人はほんの数人しかいないと、私は思う。自称プロだと言っている人。教えているからプロだと思っている人。それぞれ様々だが、実力のないプロ程みすぼらしいものはない。
世界に通用するプロオカリナ奏者、大沢聡さんの今後の活躍が期待される所以である。彼には停滞と言う言葉がないのだろうか。目に見えて確実に前進している。それも、大きな魅力であろう。
オカリナ人生がこんなに人を魅了するものだとは。人生を楽しもうとよく言われる。オカリナを楽しんで、楽しんで、楽しみ尽くせたら、それもまた良かったと言える人生に違いない。