「茨城にオカリーナの森を作ったのですが、そこもここみたいに森なんです。昨日夜、星が綺麗でした。オカリーナの森も綺麗で、星を見ながら突っ立っていると、こうして生きている事が、凄い事だなと思います」
最後の宗次郎さんのコンサートになった時、彼はしみじみとそう言い切った。こんな素敵な心の持ち主が編み出す言葉と音は、まるで阿弥陀の世界を目指す者のようだった。
今日(8日)は、山崎文化会館で「森の国オカリナフェスティバル2012」があったのだ。
どちらかと言えば朴訥な宗次郎さんは、以前より随分話が上手い。それが必ず次に演奏する曲に繋がる話なのだった。
「オカリーナの森から」と「古~いにしえみち~道」のCDで聴く曲の中から吹いた。ゆったり目の曲が多いが、「森に還る」「観音」「炎」は聴き応えがある。
「古~いにしえみち~道」は今日のピアノの伴奏者がアレンジしたもので、「オカリーナの森から」はギターの伴奏者と共に作ったものだと言った。
宗次郎のオカリナはあの陶器の中で、息が張り詰めたり縮んだりしながら、ぐるぐる回っているのが分かる。音も、ぶれなく強く飛ぶ。何て言ったらいいか、これが宗次郎の音なのだと感じられる。彼はオカリナで自分を追い求め、自分を完成させようとしている。
私にして見れば、生真面目に生きる事は出来ないとしても、彼の求める道は、自分も求めなければならないものだと感じる。求道の精神を見る思いがした。
オカリナが上手いとかそうでないとかは、二の次でいい。そこから人間を見出し、人間を創り、人間を極める事を忘れさえしなければいいのだと思った。オカリナ演奏の元祖宗次郎が、カリスマと言える所以であろう。
10時30分からフェスティバルは始まった。
ロビーには、オカリナ関係の出店が沢山ある。試奏も思うが侭で、高価なファエンツァさえも、吹きまくっている。始まる前に最初に会った人が、ブロ友のhirokoさんだった。ご主人と一緒だったが、初めてお会いした。次回から、ブログを見るのが楽しみだ。知って見るのと知らないで見るのとでは、大違いだからである。サックスも吹けてオカリナも上手なhirokoさんに、これで私のオカリナの不味さがばれる。けれど、会えて良かった。元気そうで良かった。
5番目の演奏が南幸さんで、いつも彼はパフォーマンスで楽しませてくれる。私の出番が10番目だから、もうリハーサルに行かなければならない。彼の「コンドルは飛んでいく」「埴生の宿」「見上げてごらん夜の星を」を聴いてからリハーサル室に急いだ。スタッフが迎えに走って来た。
私の時間は5分もなかったので、2曲だけ慌てて吹いて次に進んだ。
並んで順番を待っていると、宗次郎さんが控え室から顔を出した。私は彼に近づいて、少しだけ話した。
「神戸の文化ホールでお世話になった○○です」
「ああ、あれはいつでしたかね」
「2000年にいらっしゃったのが最初で、フェスティバルは2001年から始まり、その時もゲストで出演されています」
「何を演奏されますか」
「『悲しい酒』と『春の海』と『グラナダ』です」
「レパートリーが多いですね」
「そのオカリナはどこのですか」
「大沢さんの3連オカリナです」
舞台袖に行く事になりそこを離れたが、宗次郎さんは私を覚えて下さっていた。演奏前だったが、それだけで仄々としたものを感じた。カリスマが地上に降りて、人間として話してくれたようだった。
無伴奏で、大沢トリプルオカリナで3曲演奏した。「グラナダ」では、いつも間違っている所が何とか無事に素通りしたと思ったら、肝心の大切な1小節が違ったメロディーになった。慌てて2小節目を取り繕った。何とか指が止まる事もなかったが、全く悔しい出来事である。「グラナダ」をそんなに沢山の人が知っていないだろう分だけ、私は誤魔化した事になる。
終わると宗次郎さんがまた顔を出して、
「上手くなりましたね。随分練習していますね」
と12年前の私の演奏を知っていてか、そんな事を言った。
「えつ?」
不満足な演奏を思っていた矢先の宗次郎さんの言葉に驚いた。
「3連をやり出したからかなあ」
などと彼は言っている。
「音域が広く、単管では即座に持ち替えられない時にこの3連を使いますが、単管は種類も沢山ある分、音も豊かですね」
3連は幾つか持っているが、それでも3月には亜音のオカリナを購入しているのだ。
宗次郎さんの顔が穏やかで、しかも声を掛けて貰えた事に少なからず衝撃を受けながら、次々出番を待っている人の間を抜けて外へ出る。
その椅子に座る列の中にツッキーさんがいた。「オカリナ屋ぽぽら~れ」と言う4人のグループで演奏する。宗次郎さんの演奏の為に指定席になっているホールの席に戻って、14番目のその演奏を聴いた。「埴生の宿」と「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。結成して十余年とあったが、流石である。音が綺麗に揃いハモり、十分に聴き応えがあった。
販売のロビーでは、ブロ友のふんずさんに会った。向こうから声を掛けてくれた。そりゃそうだろう。私は全く顔を知らなかったのだから。また一人、姿を知った。180センチにもなる好男子だった。かなり話したように思う。内容を書くと、また長くなるので省略するが、本当に会えて嬉しかった。来年は是非、演奏で参加して貰いたいものである。
私の次11番目の三宅良美さんの演奏は、待ち合いの廊下でちょっとだけ聞こえた。「水心」と「フィランディア讃歌~やすかれわがこころよ~」の2曲がエントリーされていた。それが、ペンダントのように首から下げていた、トランプを半分に切ったよりも小さなオカリナだった。いい音に驚いた。
オカリナに取り付かれて岡山に移り住み、そこに工房を作ったTさん夫婦に会った。随分前から面識はあるが、奥様とは本当に久し振りの事だった。ゆっくり工房を訪ね、四方山話に花を咲かせたいと思っている。また出かける楽しみが出来た。
テレマンのスタッフが私の所に、一人の女性を連れて来た。そして紹介した。
「とっても感動しました」
「えっ?」
私にしてみたら、そんな事を言われるような演奏が出来ているとは、思っても見なかったからだ。
「私は仙台から来ました。仙台から来た甲斐がありました。凄く感動して・・」
「そうなんですか」
「どんな楽器ですか」
「トリプルのオオサワオカリナです」
と言って、カバンから出して見せた。
「重いですか」
そう言って、手に取って見ていた。
「楽譜は何を使っておられますか」
この人は、恐らく上手い人なんだろうと思う。或いは、ピアノなどを特にやって来た人ではなかろうかと思った。自分でもこれらの曲を吹いてみたいのではないだろうか。
「『悲しい酒』は自分で勝手に吹いているだけで、『春の海』はフルートの楽譜。『グラナダ』は歌の楽譜を見て吹きました」
と言った。何だかDVDを送ってくれるそうだが、皆目見当が付かない。本人の凄い演奏だったりして。
Mさんのソロを聴いた。白磁の3連オオサワオカリナで、「ヴァイオリン・ソナタ第5番『春』より抜粋」と「ケ・セラ・セラ」だったが、とても去年からオカリナを吹くようになった人には見えない。上手い。凄い。
何より華があった。衣装が綺麗だし、特に左指の動きが美しい。指も演出しなければ、と教わった気がした。暗譜が素晴らしい。絵になると思った。
岡山のTさん夫婦が昼食にだろう、外に出て行く時に、奥さんが私を見ながら腕で大きな丸を作って出て行った。
私は、演奏を聴いたり、ロビーに出たりした。遊悠笛さんが、「悲しい酒」が良かったと言った。彼は、演歌好きなのである。その証拠に、35番目に「五番街のマリー」と「与作」を吹く。
彼は私にデジカメを渡し、幾らでも自分の演奏風景を撮って欲しいと言った。15ショット位は写したかな。彼は、大阪府警察コミュニティープラザで聴いたより、俄然上手くなっていた。会場からどよめきが起きた位だから。
4時半過ぎから始まった宗次郎さんのコンサート。それは5時半頃に終わった。
それから誰かに会うかなと思って、玄関の辺りにいた。するとブロ友のそらの陽さんが話し掛けて来た。出演していたのに聴きそびれた。結成して9年になるそのグループは、15人で参加していた。丁度弁当を食べている時だったと思う。
そして、私の演奏が良かったと言ってくれた。嬉しいのだけれど、間違いだけが脳裏を巡る。
一緒に練習した3人に挨拶して帰ろうと思ったが、やっと2人に会えた。
車に乗ろうとしていると声を掛けられた。夫婦である。1月の初めのオカリナ会で、阪急六甲駅の前にある中華料理屋店で出会った人だった。これも、良かったと言ってくれた。暫し立ち話をして、そのまま車を走らせた。
いいと言って貰えると嬉しいものだが、自分で失敗した所が鮮明に分かるだけに、それだったら失敗しなければ良かったのに、と思うばかりだった。
失敗は成功の元だとは誰が言ったのか分からないが、失敗続きの成功とはどんな成功なのか私には予測が付かない。
それよりも、色々な人と出会えた事が何よりだった。また、宗次郎さんと急速に親しくなったような気がして、これも大きな収穫だった。
桜は、まだ開いていない。私も、内心忸怩たるものがある。
最後の宗次郎さんのコンサートになった時、彼はしみじみとそう言い切った。こんな素敵な心の持ち主が編み出す言葉と音は、まるで阿弥陀の世界を目指す者のようだった。
今日(8日)は、山崎文化会館で「森の国オカリナフェスティバル2012」があったのだ。
どちらかと言えば朴訥な宗次郎さんは、以前より随分話が上手い。それが必ず次に演奏する曲に繋がる話なのだった。
「オカリーナの森から」と「古~いにしえみち~道」のCDで聴く曲の中から吹いた。ゆったり目の曲が多いが、「森に還る」「観音」「炎」は聴き応えがある。
「古~いにしえみち~道」は今日のピアノの伴奏者がアレンジしたもので、「オカリーナの森から」はギターの伴奏者と共に作ったものだと言った。
宗次郎のオカリナはあの陶器の中で、息が張り詰めたり縮んだりしながら、ぐるぐる回っているのが分かる。音も、ぶれなく強く飛ぶ。何て言ったらいいか、これが宗次郎の音なのだと感じられる。彼はオカリナで自分を追い求め、自分を完成させようとしている。
私にして見れば、生真面目に生きる事は出来ないとしても、彼の求める道は、自分も求めなければならないものだと感じる。求道の精神を見る思いがした。
オカリナが上手いとかそうでないとかは、二の次でいい。そこから人間を見出し、人間を創り、人間を極める事を忘れさえしなければいいのだと思った。オカリナ演奏の元祖宗次郎が、カリスマと言える所以であろう。
10時30分からフェスティバルは始まった。
ロビーには、オカリナ関係の出店が沢山ある。試奏も思うが侭で、高価なファエンツァさえも、吹きまくっている。始まる前に最初に会った人が、ブロ友のhirokoさんだった。ご主人と一緒だったが、初めてお会いした。次回から、ブログを見るのが楽しみだ。知って見るのと知らないで見るのとでは、大違いだからである。サックスも吹けてオカリナも上手なhirokoさんに、これで私のオカリナの不味さがばれる。けれど、会えて良かった。元気そうで良かった。
5番目の演奏が南幸さんで、いつも彼はパフォーマンスで楽しませてくれる。私の出番が10番目だから、もうリハーサルに行かなければならない。彼の「コンドルは飛んでいく」「埴生の宿」「見上げてごらん夜の星を」を聴いてからリハーサル室に急いだ。スタッフが迎えに走って来た。
私の時間は5分もなかったので、2曲だけ慌てて吹いて次に進んだ。
並んで順番を待っていると、宗次郎さんが控え室から顔を出した。私は彼に近づいて、少しだけ話した。
「神戸の文化ホールでお世話になった○○です」
「ああ、あれはいつでしたかね」
「2000年にいらっしゃったのが最初で、フェスティバルは2001年から始まり、その時もゲストで出演されています」
「何を演奏されますか」
「『悲しい酒』と『春の海』と『グラナダ』です」
「レパートリーが多いですね」
「そのオカリナはどこのですか」
「大沢さんの3連オカリナです」
舞台袖に行く事になりそこを離れたが、宗次郎さんは私を覚えて下さっていた。演奏前だったが、それだけで仄々としたものを感じた。カリスマが地上に降りて、人間として話してくれたようだった。
無伴奏で、大沢トリプルオカリナで3曲演奏した。「グラナダ」では、いつも間違っている所が何とか無事に素通りしたと思ったら、肝心の大切な1小節が違ったメロディーになった。慌てて2小節目を取り繕った。何とか指が止まる事もなかったが、全く悔しい出来事である。「グラナダ」をそんなに沢山の人が知っていないだろう分だけ、私は誤魔化した事になる。
終わると宗次郎さんがまた顔を出して、
「上手くなりましたね。随分練習していますね」
と12年前の私の演奏を知っていてか、そんな事を言った。
「えつ?」
不満足な演奏を思っていた矢先の宗次郎さんの言葉に驚いた。
「3連をやり出したからかなあ」
などと彼は言っている。
「音域が広く、単管では即座に持ち替えられない時にこの3連を使いますが、単管は種類も沢山ある分、音も豊かですね」
3連は幾つか持っているが、それでも3月には亜音のオカリナを購入しているのだ。
宗次郎さんの顔が穏やかで、しかも声を掛けて貰えた事に少なからず衝撃を受けながら、次々出番を待っている人の間を抜けて外へ出る。
その椅子に座る列の中にツッキーさんがいた。「オカリナ屋ぽぽら~れ」と言う4人のグループで演奏する。宗次郎さんの演奏の為に指定席になっているホールの席に戻って、14番目のその演奏を聴いた。「埴生の宿」と「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。結成して十余年とあったが、流石である。音が綺麗に揃いハモり、十分に聴き応えがあった。
販売のロビーでは、ブロ友のふんずさんに会った。向こうから声を掛けてくれた。そりゃそうだろう。私は全く顔を知らなかったのだから。また一人、姿を知った。180センチにもなる好男子だった。かなり話したように思う。内容を書くと、また長くなるので省略するが、本当に会えて嬉しかった。来年は是非、演奏で参加して貰いたいものである。
私の次11番目の三宅良美さんの演奏は、待ち合いの廊下でちょっとだけ聞こえた。「水心」と「フィランディア讃歌~やすかれわがこころよ~」の2曲がエントリーされていた。それが、ペンダントのように首から下げていた、トランプを半分に切ったよりも小さなオカリナだった。いい音に驚いた。
オカリナに取り付かれて岡山に移り住み、そこに工房を作ったTさん夫婦に会った。随分前から面識はあるが、奥様とは本当に久し振りの事だった。ゆっくり工房を訪ね、四方山話に花を咲かせたいと思っている。また出かける楽しみが出来た。
テレマンのスタッフが私の所に、一人の女性を連れて来た。そして紹介した。
「とっても感動しました」
「えっ?」
私にしてみたら、そんな事を言われるような演奏が出来ているとは、思っても見なかったからだ。
「私は仙台から来ました。仙台から来た甲斐がありました。凄く感動して・・」
「そうなんですか」
「どんな楽器ですか」
「トリプルのオオサワオカリナです」
と言って、カバンから出して見せた。
「重いですか」
そう言って、手に取って見ていた。
「楽譜は何を使っておられますか」
この人は、恐らく上手い人なんだろうと思う。或いは、ピアノなどを特にやって来た人ではなかろうかと思った。自分でもこれらの曲を吹いてみたいのではないだろうか。
「『悲しい酒』は自分で勝手に吹いているだけで、『春の海』はフルートの楽譜。『グラナダ』は歌の楽譜を見て吹きました」
と言った。何だかDVDを送ってくれるそうだが、皆目見当が付かない。本人の凄い演奏だったりして。
Mさんのソロを聴いた。白磁の3連オオサワオカリナで、「ヴァイオリン・ソナタ第5番『春』より抜粋」と「ケ・セラ・セラ」だったが、とても去年からオカリナを吹くようになった人には見えない。上手い。凄い。
何より華があった。衣装が綺麗だし、特に左指の動きが美しい。指も演出しなければ、と教わった気がした。暗譜が素晴らしい。絵になると思った。
岡山のTさん夫婦が昼食にだろう、外に出て行く時に、奥さんが私を見ながら腕で大きな丸を作って出て行った。
私は、演奏を聴いたり、ロビーに出たりした。遊悠笛さんが、「悲しい酒」が良かったと言った。彼は、演歌好きなのである。その証拠に、35番目に「五番街のマリー」と「与作」を吹く。
彼は私にデジカメを渡し、幾らでも自分の演奏風景を撮って欲しいと言った。15ショット位は写したかな。彼は、大阪府警察コミュニティープラザで聴いたより、俄然上手くなっていた。会場からどよめきが起きた位だから。
4時半過ぎから始まった宗次郎さんのコンサート。それは5時半頃に終わった。
それから誰かに会うかなと思って、玄関の辺りにいた。するとブロ友のそらの陽さんが話し掛けて来た。出演していたのに聴きそびれた。結成して9年になるそのグループは、15人で参加していた。丁度弁当を食べている時だったと思う。
そして、私の演奏が良かったと言ってくれた。嬉しいのだけれど、間違いだけが脳裏を巡る。
一緒に練習した3人に挨拶して帰ろうと思ったが、やっと2人に会えた。
車に乗ろうとしていると声を掛けられた。夫婦である。1月の初めのオカリナ会で、阪急六甲駅の前にある中華料理屋店で出会った人だった。これも、良かったと言ってくれた。暫し立ち話をして、そのまま車を走らせた。
いいと言って貰えると嬉しいものだが、自分で失敗した所が鮮明に分かるだけに、それだったら失敗しなければ良かったのに、と思うばかりだった。
失敗は成功の元だとは誰が言ったのか分からないが、失敗続きの成功とはどんな成功なのか私には予測が付かない。
それよりも、色々な人と出会えた事が何よりだった。また、宗次郎さんと急速に親しくなったような気がして、これも大きな収穫だった。
桜は、まだ開いていない。私も、内心忸怩たるものがある。