寒い、冷たい。信号に捕まり、26分間のジョギングだった。精彩を失った団栗が、幾つも転がっていた。
もう十数年も前から、春節祭に行こうと思っていた。思うだけで大抵不履行で、昨日(24日)の朝日新聞の神戸欄の予定を見なければ、また不履行だったに違いない。訴えられないだけまだましか。
元町商店街の、横にそれた所にある南京町では、23日から2012春節祭が始まっていた。中国では、旧暦の正月が祝われる。23日が元旦なのである。
23日から29日まで、南京町ではそれに合わせて盛大に祝う。私は、今日(25日)行く事に決めた。18時からの雑技、19時からの獅子舞や龍舞を見ようと思った。
午後5時40分前には、南京町の広場にいた。
先ず、大正4年(1915年)に開かれ、「ぶたまん」と言う名前の発祥の店でもある「老祥記」に入った。掌を小さく丸めて収まる位のぶたまんは、1個90円もする。だが、ここでは3個以上でなければ買う事が出来ない。
「ここで食べますか、持って帰りますか」
勿論、ここで食べる積もりだ。私に取って一貫楼や551の蓬莱は定番で、老祥記はそんなに美味いと言う印象はなかった。だが、今は違う。一噛みすると、肉汁が零れ出す。美味い。隣りに座っている女性が言った。
「持ち帰り10個ね」
それも有りだ。だが、私は又の日に、それを実行するよう脳裏に刷り込んだ。
「いつが休みですか。何時から何時までやってますか」
「月曜が休みです。10時から6時30分までですが、売り切れ次第閉店します」
そう、おばちゃんが言った。いつもよく並んでいるが、比較的混雑の少ない時間帯は、10:30~11:30と17:25~18:30だそうである。5、6個は食べられる。ジューシーで、とても美味い。
舞台が設置され、ロープを渡したその最前列は陣取られていた。辛うじて私は隙間ににじり寄った。そうして最前列を確保し、25分、じっと待つ事になった。
15分前に司会の女性が喋りだした。それに紛れて寒さが半減したと思われたが、この冷たさは何だ。耳も冷たく、ズボンの下の脚も冷たい。小刻みに揺すっていなければ、とてもその場には居れない程の冷たさだった。
6時になると雑技団の演技となった。こんなに冷たいのに出来るのかと、要らない心配をした。中国から来たと言うが、「東京中国雑技団」だと言っていた。
小柄な女が、大きな糸巻きのような駒を、2本の細い棒に結んだ糸で操っていた。放り投げて糸で受けたり、前回りをしてから受けたりした。考えられない程の体の柔らかさだった。表情がいい。
次は背の高い若い男が出て来て、3個のハットをくるくる回しながら、頭に早業で被っていた。一つのハットは、その度に正確に中に浮いていた。
次はこの男女が出て来た。男の腕が支えながら、女はその掌に手を重ね、その上で逆立ちをしたりした。1本の腕だけで支えたのは圧巻だった。腕だけで女を支え上げるなど、はらはらしながら見る他はなかった。スケートのデュエットみたいなものかも知れないが、だが女の頭の上には、3個の丼が乗っていたのである。
最後は、両腕を剥き出しにした男が出て来て、台の上に椅子を積み上げては逆立ちをした。それは見る見る高く積まれて行き、最後には椅子を斜めに置いて、その上で逆立ちをした。一つ間違えば、大事故だ。
私は、テレビでは観た事のある雑技団の演技にポケットから手を出しては拍手し、そしてまた、手をポケットに戻した。
大きな「慶祝春節祭」と書いた垂れ幕が目に付く。
200円のチケットを買えば、空クジなしで何かが当たると言う。まだ、台湾への往復航空券は当たっていないと言った。私には、そんな事、どうでもよかった。寒い。冷たい。兎に角じっとして居れなかった。
6時30分には演技が終わり、7時からは獅子舞がある。全部見たかったが、立っている事に耐えられない。その場を抜けて、胡麻饅頭を1個買って食べた。100円だ。油がべとついて、あの中華料理店で食べた味とは別物だった。仕方がない。韓国のトッポッキを食べながら歩いたように、それを一気に口に入れ、南京町を歩いた。屋台の300円のラーメンが気になって仕方がない。春節祭は29日まで行われる予定になっているから、もう一度行けたら、このラーメン狙いだ。
前から気になっていた缶詰の牛肉大和煮を、元町商店街にある明治屋で買った。3個纏めて売っている。高いので躊躇したが、思い切って買うと、後はいつ食べようかと、その夢が湧き上がるのを覚える。吝嗇家のように食べるとしよう。
天気予報で、今晩から明日にかけて寒気団が押し寄せて来ると言っていたが、正にその通りだ。このまま帰れる訳がない。兎に角ビールだ。トンカツを食べながら、ちびちびとビールに口を付けた。だんだん、唇にも色が注して来たようだった。
バスが家に近く到着すると、バスの外はやっぱり冷たかった。すぐに粕汁を温め、豚肉数切れをあてに、焼酎のお湯割を飲んだ。韓国のドラマをやっていた。キム・テヒが出演している。ソウル大学(日本で言えば東大)卒の才媛である。
韓国の女優は、そのドラマに出ている配役で、とても綺麗に見える。演技をしている時の姿と、日常の生活をしている時の姿は違うので、どちらが本当の姿なのだろうか。テレビや映画に出ている時の姿で言えば、チェ・ジウの清純さは特別だ。これは、「冬のソナタ」で実証済みである。
一方キム・テヒは、その学歴などおくびにも出さない、素敵な女性である。こんな老い耄れが話しかけても、しっかりと受け止めてくれそうな気がするのだ。
KARAか少女時代かチェ・ジウかキム・テヒか。だから何だ。話が出来たら面白いだろうな。私はソウルの明洞辺りを歩いていてたまたま出会い、話しかける。
「キム テヒ シ アンニョンハセヨ. コピショベソ カッチ チャラド マシルカヨ? 」
そんな日は、絶対来ないのだろうか。固定しないで、柔軟な頭脳にしておきたい。
今日は中国の話で韓国の話ではなかったのだが、中国には行かなくても、韓国にはいつでも行きたいと思う。こんなに日本の昔が残っている国もない。それに、親切で優しく、まだ目上を大切にする風習が残っている。
中国を見に行って、韓国に戻って来た。そう言えば、韓国も旧の正月を祝う。帰省の為、ソウルは空っぽになっているだろう。
もう十数年も前から、春節祭に行こうと思っていた。思うだけで大抵不履行で、昨日(24日)の朝日新聞の神戸欄の予定を見なければ、また不履行だったに違いない。訴えられないだけまだましか。
元町商店街の、横にそれた所にある南京町では、23日から2012春節祭が始まっていた。中国では、旧暦の正月が祝われる。23日が元旦なのである。
23日から29日まで、南京町ではそれに合わせて盛大に祝う。私は、今日(25日)行く事に決めた。18時からの雑技、19時からの獅子舞や龍舞を見ようと思った。
午後5時40分前には、南京町の広場にいた。
先ず、大正4年(1915年)に開かれ、「ぶたまん」と言う名前の発祥の店でもある「老祥記」に入った。掌を小さく丸めて収まる位のぶたまんは、1個90円もする。だが、ここでは3個以上でなければ買う事が出来ない。
「ここで食べますか、持って帰りますか」
勿論、ここで食べる積もりだ。私に取って一貫楼や551の蓬莱は定番で、老祥記はそんなに美味いと言う印象はなかった。だが、今は違う。一噛みすると、肉汁が零れ出す。美味い。隣りに座っている女性が言った。
「持ち帰り10個ね」
それも有りだ。だが、私は又の日に、それを実行するよう脳裏に刷り込んだ。
「いつが休みですか。何時から何時までやってますか」
「月曜が休みです。10時から6時30分までですが、売り切れ次第閉店します」
そう、おばちゃんが言った。いつもよく並んでいるが、比較的混雑の少ない時間帯は、10:30~11:30と17:25~18:30だそうである。5、6個は食べられる。ジューシーで、とても美味い。
舞台が設置され、ロープを渡したその最前列は陣取られていた。辛うじて私は隙間ににじり寄った。そうして最前列を確保し、25分、じっと待つ事になった。
15分前に司会の女性が喋りだした。それに紛れて寒さが半減したと思われたが、この冷たさは何だ。耳も冷たく、ズボンの下の脚も冷たい。小刻みに揺すっていなければ、とてもその場には居れない程の冷たさだった。
6時になると雑技団の演技となった。こんなに冷たいのに出来るのかと、要らない心配をした。中国から来たと言うが、「東京中国雑技団」だと言っていた。
小柄な女が、大きな糸巻きのような駒を、2本の細い棒に結んだ糸で操っていた。放り投げて糸で受けたり、前回りをしてから受けたりした。考えられない程の体の柔らかさだった。表情がいい。
次は背の高い若い男が出て来て、3個のハットをくるくる回しながら、頭に早業で被っていた。一つのハットは、その度に正確に中に浮いていた。
次はこの男女が出て来た。男の腕が支えながら、女はその掌に手を重ね、その上で逆立ちをしたりした。1本の腕だけで支えたのは圧巻だった。腕だけで女を支え上げるなど、はらはらしながら見る他はなかった。スケートのデュエットみたいなものかも知れないが、だが女の頭の上には、3個の丼が乗っていたのである。
最後は、両腕を剥き出しにした男が出て来て、台の上に椅子を積み上げては逆立ちをした。それは見る見る高く積まれて行き、最後には椅子を斜めに置いて、その上で逆立ちをした。一つ間違えば、大事故だ。
私は、テレビでは観た事のある雑技団の演技にポケットから手を出しては拍手し、そしてまた、手をポケットに戻した。
大きな「慶祝春節祭」と書いた垂れ幕が目に付く。
200円のチケットを買えば、空クジなしで何かが当たると言う。まだ、台湾への往復航空券は当たっていないと言った。私には、そんな事、どうでもよかった。寒い。冷たい。兎に角じっとして居れなかった。
6時30分には演技が終わり、7時からは獅子舞がある。全部見たかったが、立っている事に耐えられない。その場を抜けて、胡麻饅頭を1個買って食べた。100円だ。油がべとついて、あの中華料理店で食べた味とは別物だった。仕方がない。韓国のトッポッキを食べながら歩いたように、それを一気に口に入れ、南京町を歩いた。屋台の300円のラーメンが気になって仕方がない。春節祭は29日まで行われる予定になっているから、もう一度行けたら、このラーメン狙いだ。
前から気になっていた缶詰の牛肉大和煮を、元町商店街にある明治屋で買った。3個纏めて売っている。高いので躊躇したが、思い切って買うと、後はいつ食べようかと、その夢が湧き上がるのを覚える。吝嗇家のように食べるとしよう。
天気予報で、今晩から明日にかけて寒気団が押し寄せて来ると言っていたが、正にその通りだ。このまま帰れる訳がない。兎に角ビールだ。トンカツを食べながら、ちびちびとビールに口を付けた。だんだん、唇にも色が注して来たようだった。
バスが家に近く到着すると、バスの外はやっぱり冷たかった。すぐに粕汁を温め、豚肉数切れをあてに、焼酎のお湯割を飲んだ。韓国のドラマをやっていた。キム・テヒが出演している。ソウル大学(日本で言えば東大)卒の才媛である。
韓国の女優は、そのドラマに出ている配役で、とても綺麗に見える。演技をしている時の姿と、日常の生活をしている時の姿は違うので、どちらが本当の姿なのだろうか。テレビや映画に出ている時の姿で言えば、チェ・ジウの清純さは特別だ。これは、「冬のソナタ」で実証済みである。
一方キム・テヒは、その学歴などおくびにも出さない、素敵な女性である。こんな老い耄れが話しかけても、しっかりと受け止めてくれそうな気がするのだ。
KARAか少女時代かチェ・ジウかキム・テヒか。だから何だ。話が出来たら面白いだろうな。私はソウルの明洞辺りを歩いていてたまたま出会い、話しかける。
「キム テヒ シ アンニョンハセヨ. コピショベソ カッチ チャラド マシルカヨ? 」
そんな日は、絶対来ないのだろうか。固定しないで、柔軟な頭脳にしておきたい。
今日は中国の話で韓国の話ではなかったのだが、中国には行かなくても、韓国にはいつでも行きたいと思う。こんなに日本の昔が残っている国もない。それに、親切で優しく、まだ目上を大切にする風習が残っている。
中国を見に行って、韓国に戻って来た。そう言えば、韓国も旧の正月を祝う。帰省の為、ソウルは空っぽになっているだろう。