三宮の空気は柔らかく、それは昼に近い時間だった。

阪急電車で高槻市駅まで行く予定があった。ツッキーさんから教えて貰っていた、「オカリナ&ティン・ホイッスル Trio You クリスマスコンサート」を聴く為だった。

三宮では、まだ時間があった。駅のパン屋さんの前で売っている、あの長い砂糖をまぶして焼いた90円のパンを、1つ買って素早く食べた。人の目が気にならないのは、三宮の夜の、ホットドッグを歩いて食べている時だけだ。

阪急電車の乗り場に行くまでに、一貫楼の豚まんが目に付く。一つ買った。160円だが、50円硬貨を先に財布から拾い上げようとしたその時、チャリンと音がした。指から離れて落ちてしまったのだ。下にある筈なのに、それが見付からない。暫く回りを探したけれど、とうとう見付からなかった。

210円に跳ね上がった豚まんを、店の前のベンチに座って食べた。熱々で美味いのだが、これは侘しい姿ではなかったかと思う。

特急に乗り、十三で準急に乗り換えた。初めての高槻市駅は、何とはなしに賑わっていた。まだ1時30分開演までには、1時間ちょっと時間がある。

高槻現代劇場に向かって歩いていると、韓国料理の店が目に付いた。16日の韓国料理とはまた違い、本場に近い料理のようだった。もう、あの細長いパンと豚まんで良かった筈なのに、堪らなく食べたくなった。昼の定食なのでリーズナブルではある。「スンドゥブチゲ」の写真は、海鮮の豆腐鍋だった。

「カウンターでよろしいですか」

一人だから、何処でもいい。カウンターだなんて言うから、丸椅子に座る席を想像した。が、靴を脱いで上がる横長い席だった。

豆腐はこの店独自に作られているし、小さなチゲ(鍋)は、6種類の内から選ぶようになっていた。海鮮が一番人気だとは、後からメニューを見て分かった。私は、すじ肉のチゲを頼んでしまった。他に付くものは、プルコギと韓国海苔数枚。それと雑穀米のようなご飯だ。

外からは分からなかったが、お客も多いし感じのいい店である。これからも、何度か来たい店であった。店の名前はハングルで書かれているが、「チャンチ」と言う名の店だ。こんな店が三宮にでもあるといいのだが、遠い事が残念である。「チャンチ」とは、宴とか祝宴とかパーティーの意味だ。

満腹のお腹を抱えて、会場に向かった。それでも30分位時間がある。そこですぐにツッキーさんに出会い、オカリナの話をした。テレマン楽器さんがオカリナや楽譜を並べていた。もう既に予約されていると言う、白磁の大沢トリプルオカリナを見せて貰った。素敵なオカリナだ。

しかし、私にはもうそんなオカリナを買う余力はない。発想の転換が必要だった。今持っているオカリナを吹きこなす事こそ急務なのである。自分が上手く吹けるようになったら、どんなオカリナだって、その良さを引き出す事が出来ると思った。

奥さんとも話し、時間前に定員600名の会場に入り、3人並んで座った。島崎愛子さんのオカリナを、初めて聴く為に来たのである。

島崎愛子さんのオカリナが2曲終わると、島崎さんの生徒さん達なのだろうか。3人、4人、5人と言うように5組位の人がグループを組んで、横1列に並んでいた。普通なら入れ替わり立ち代わり出て来るものなのだが、ここでは衣装もそのグループによって違い、演奏するグループだけが立って吹いた。

出入りの時間を取る必要がなく、これなら出入りの時間的ロスがない。面白い方法だと思った。ソロも幾つかあったが、皆一生懸命だ。全員での演奏もあって、その時は島崎愛子さんが指揮をした。総勢22名だった。

約1時間で終わったが、それは1部「みんなでオカリナ」で、2部は「Trio Youコンサート」となっている。もうオカリナはないだろうと思って、ツッキーさん夫婦に「まだいますか」と聞いて、わたしだけ外に出た。

所が、テレマン楽器さんが、「今からTrioYouさんのオカリナがありますよ」と教えてくれた。TrioYouが何か、私には分かっていなかった。それは、島崎愛子(オカリナ/ティン・ホイッスル)、橋本典子(ピアノ)、島崎紗椰(チェロ)のトリオだった。私は慌てて戻ったが、もうツッキーさん夫婦の隣りには、他の人が座っていた。

私は後ろの方から第2部を聴いた。これには、可児麗子(パーカッション)が加わった。背景が曲に応じて変わり、照明も妖艶で、パーカッションはカホンの歯切れのいい音が響いた。あるとないとでは、違う。パーカッションの良さを感じさせて貰った。

下手からは妖しくドライアイスの煙が流れて来る。もう早速にあの白磁のトリプルオカリナを使っていた。3連を得意としているのだろう。曲名は全部は覚えていないので書けないが、「グラナダ」は、私も吹いてみたいと思った。1時間近くこのトリオは演奏していた。

次にピアノトリオの演奏になるが、私は自分で次の予定を組んでしまっていたのと、今日の目的は島崎さんのオカリナを聴く事だったので、ピアノトリオには宮崎愛子さんの名前もなく、ツッキーさんには何も言わないで出た。

きっと1部だけで帰ろうとした私を、訝しく思った事だろう。このブログで、そうではなかった事を申し添えておきたい。そして、この良きコンサートの所在を知らせて下さった事に、心から感謝したいと思う。

ここからは、京都はそんなに遠くはないだろう。阪急川原町駅の一つ手前の烏丸駅で降りた。そして地下鉄に乗り、北山駅で降りた。3番出口を出て階段を上ると、すぐそこに京都府立植物園がある。目的地はここだ。だが、まだ5時過ぎだった。

普通は午前9時から午後5時までが開園時間だ。けれど、12月15日から24日までは午後5時30分から午後8時まで、「観覧温室夜間開園&クリスマス・イルミネーション」が開催され、それにポインセチア展があると、加藤ますえさんのブログに、写真入りで2日にわたってその素晴らしさが書かれていた。

イルミネーションもいいけれど、私はポインセチアが観たかった。改良が重ねられ、様々な姿が観られるような事が書かれていたのだ。京都在住のますえさんの記事は、いつも楽しみに見させて貰っているが、読めば読む程、見れば見る程行ってみたくなってしまうのだ。食べ物は特に・・。

時間があるので、コーヒーでも飲もうと思って、向かい側のBriantに入った。セットにはケーキかパン1個か2個が選べるようになっていた。私はパン2個を選んだ。暫くすると4種類のパンを運んで来たので、栗が載っているのと洋ナシが略前面を覆っているパンを貰う事にした。

パンと言っても、アップルパイのようなケーキに近いものだった。ナイフで切りながら食べる。これがまた美味いのである。コーヒーはエスプレッソみたいな濃さと味で満足だった。ここで、またまた満腹を余儀なくさせられてしまった。

5時半になったのでこの店を出ると、辺りは既に暗かった。驚いた事に、長蛇の列だ。200円の、芥子の花と妖精の描かれた入場券を券売機で購入し、人の列に並んだ。

後は、ますえさんのブログにお邪魔すれば写真入りでその全容が解説されているので、もう詳しくは書かないが、入ると大きな白い光の木が目に入る。その左には噴水が立ち上り、紫や緑にその色を変える。鹿や天使のイルミネーションや、道に沿っての様々な光を楽しむ事が出来る。

ポインセチア展に入る前には、サンタクロースの顔が沢山吊るされている木があった。

赤やピンクや白や斑入りのポインセチアが飾られている。鉢植えのイメージは全くなく、ポインセチアの絨毯の壁を見ているようだった。葉が八重になっているものもある。トランプのダイヤのようなものもある。桜の葉のように丸くなっているものもある。真ん中に、八つ手の実が飛び出しているようなのもあった。

温室はマフラーとコートを脱ぎたい位暑かった。南国の匂いがした。今日は、比較的外は穏やかな気候ではあるけれど、この位の温度でなければ、この種の植物は寒さには耐えられないのだと思う。

かなり広い温室の中を巡って、再び外に出た。少しイルミネーションを眺めてから、植物園を出た。ずっと昔、来た記憶がある。昼の植物園はまた綺麗なのだった。

大正13年に開園し、昭和21年から閉園し、昭和36年から再開演したとパンフレットに書かれている。総面積約240,000屐植物約12,000種類、約120,000本と言うから凄い。夜はとてもそんな風には思えない。また是非、四季折々に来てみたい。

春:桜ライトアップ/つばき展
夏:朝顔展
秋:菊花展/オータム・イン・植物園
冬:観覧温室夜間開園&イルミネーション/花の回廊~早春の草花展~

さて、明日は1日食べないでおこうか。そうでもしないと、もうリバウンド間違いなしだ。今までの苦労も水の泡。ダイエットは、食べ方を注意すれば痩せられるのだが、ちょっとした油断が怖い。

でも、1日食べないのは辛いので、朝はご飯軽く1杯と焼き海苔1枚。昼はレトルトカレーを少量のご飯に掛けて食べる。梅干1個を忘れない。夜はビールとあて。これで少しはリバウンドを防げると思う。ああ、辛い人生ではある。

ポインセチアの素晴らしさは、京都府立植物園に行ってみなければ分からないが、集合したポインセチアも綺麗だったが、向かいのパン屋さんの2階への階段に飾られている鉢植えのポインセチアも、それはそれは鮮やかで綺麗だった。