普通に雨が降っている。神戸の蒸し暑い、梅雨の雨だ。半袖に帽子を被って走り出したのが5時22分。54分に着いたのだから、雨の中の32分間だった。

舗道に蚯蚓がくねっている。走る先々5匹はいた。20センチはあったろう。雨が好きなのか嫌いなのかは分からないが、帰りにも2匹見たから、喜んで飛び出したようにも感じる。子供の頃は平気で掴んでいたが、今はもう駄目である。踏まずに走るのがやっとだった。

鶯の声が響き渡る。あんな小さな鳥なのに、人間の声よりよく響く。ホールで歌わせたら、スミ・ジョーより響くと思った。

昨日は床屋に行った。もう40年も通っている板宿の店だ。

「若い者はもう来ないね。今は色んな店が出来たし、若いもんは若い理容師の所にいくだろうね」

髪を切りながら、主人はそう言った。

「それに、そんな細かな髪型なんかは、もう出来ないしね」

「自分を贔屓にしてくれて通ってくれている人も、大分歳になっているからねえ。90を超えてる人もいるもんね」

「そうやねえ。中々いい事言うじゃない? 僕がここに始めて来た頃は若くて、40歳位だったんだ。若い者は若い理容師さんの所へ行くよね」

私は、感心したようにそう言った。

「私はもう80になったからね」

そう、彼は言った。ついこの前まで社交ダンスをやって来ただけあって、40年経ってはいるが、どう見ても60代にしか見えない。言われて吃驚だ。

私のぼさぼさの髪は、また短くなった。昼時に終わり、韓国料理屋を覗いた。折角久し振りにママに会って話も出来ると思ったのだが、どうした訳かシャッターが下りていた。

仕方なく三宮で食べる事にしたが、カレーかカツ丼かカツハイライのどれかで悩んでいた。寿司の線をすっかり忘れていた。三宮センター街に入ると、そこに行く前にまたチョコクロのサンマルクカフェが見えて、遂にそこに入ってしまった。昼は、チョコクロ2個とコーヒーとなった。

例の本を探しに、すぐ先のジュンク堂に行った。聞けばいいものを、ずっと探し回った。見付からなかった。聞いて探して貰って、立ち読みはないだろう。同じ3階のフロアーのナガサワ文具店で、パイロットの黒インクのカートリッジを買った。

注文してある楽譜を取りに元町まで歩いた。何も考えていなかったので、そこに来て初めて休みだと言う事に気付いた。何でこんな事、先に思い出さなかったのだろう。また三宮に逆戻りだ。これでは余りにも情けない。ユニクロでシャツを買い、八天堂でクリームパンを1個買い、ゆっくりと三宮のバス停に向かった。「2時間持つ保冷剤を入れていますので」と親切に言ってくれたが、1個では余計に恥ずかしい気持ちだった。バス発車までに、後30分もある。

時間潰しでハート・インに入ったが、飴を見つけた。扇雀飴本舗の「岩塩」と言う飴だった。ドイツのベルヒテスガーデンの3層に重なる岩塩層は、2億3千年前に地殻変動により海水が浸入と蒸発を繰り返し、地下400~500メートルの深い地層に堆積したものだそうだ。

キャンディーの甘さと岩塩の辛さのバランスがとてもいい。これはまた、ジョギングの新しいお友達となった。

10分程して、バスは発車した。

昨日と今日が交錯しているが、今日は七夕である。この天気では、天の川所ではないだろう。1年待って会えるか会えないか。牽牛と織女。彦星と織姫の逢瀬の日だ。けれど、何年経っても歳を取っていない。ならば、もっと頻繁に会えているような気がして、反対に自分の来し方を振り返ってみた。

けれどこんな時は、天気予報が大幅に狂って欲しいと思った。私は、50日目の超スロージョギングを、雨の中で終えた。また、ブログを書いて来て、2年目を終わる。