5時26分で5時59分に着くと、33分掛かっていた。今日でジョギングを始めて40日目だ。初心に帰って超スロージョギングを心掛けた。これだと思っていた時、女が突然後ろから走って来て、車道側に膨らむや否やまた私の前に入って来た。

小柄な女だった。鼠色のシューズ。ピンクのストッキング。鼠色の短パン。水色に近いTシャツ。ピンクのスカーフ。鼠色の野球帽だ。見る見るカーブに消えて行った。やっと直線に来ると、もう100メートルも前にいた。途中で歩くだろうと思ったが、それはなく、私がいつも右にUターンする辺りを左に消えた。

こんな走りが出来たら凄いと思ったが、これならマラソン選手並みだ。私のコースを走らせたら、12分で回ってしまうだろう。マラソンランナーの凄さを思い知った。そして、自分のスピードが、如何に遅いのかがはっきりした。

私は私の道を行けばいいが、40日にして初めて凄いランナーに出会わせて貰った。

帰って風呂に入って体重計に乗る。マックス7.5キログラム減だ。ここから普通は1キロ引いて人には言えばいい。今は6.5キロ減りました、と。

が、この体重計が示す表示は、今までダイエットをしたどの時よりもその数値が数百グラム軽い方に傾いている。

このジョギングをする18年前は、部屋での運動と朝昼晩のカロリーを考えたダイエットだった。これで8キロ痩せて、そこで止めた。暫くしてリバウンドが始まった。44年前は鈴木その子式ダイエットで、焼き海苔を中心とした、ご飯1杯の挑戦をした。これでも8キロは痩せた。だが、体重が増えた事もそうだが、やり始めた切っ掛けは、こんな若さでお腹が出ていたからだった。

職員旅行で女性2人と写った写真の、私のお腹がポコッと出ていたのだ。そこだけ鋏で切ってアルバムに貼った。これが、私のダイエットの始まりだった。

何度もリバウンドしては繰り返した。「痩せたらもう太らない」、は強ち嘘ではないが、普通の食生活に戻ると1と月もしない内に、どんどん戻るのだ。ダイエットを終えてからも、自制しなければならない事が分からなかった。

今度は、これで終わりと言う期限がない。何処まで減って行くか楽しみはある。生活の一部になっているのだから、どこかで体重が停滞したとしても、リバウンドはない理屈になる。腹筋を可能な限り鍛えれば、西瓜腹を見る事もなくなるだろう。

今日、三宮に行った。用事があったからなのだが、センター街に来るとカツ丼を食べてみたい衝動に駆られた。

センター街に入る前にユニクロがある。ちょっと入ってみた。よそより安いからと言う理由ではないのだが、安ければそれだけ種類を多く購入出来る。私はもうLサイズかMサイズかで迷う事はなくなった。Mで事足りるのだ。それに、何だかコーディネイトしてみたい気持ちが湧いて来た。こんな事自分から考える事などなかったが、超スロージョギングは、私に色気まで取り戻させたのだった。数点お買い上げとなった。

カツ丼のある店への途中、左手にチョコクロの写真が目に入った。暫く考えて、ここに入る事にした。カツ丼より、ダイエットにはいいだろうとの判断からだ。サンマルクカフェと言う店が出来ていた。

女性に人気がありそうで、チョコクロが人気だった。私はチョコクロとたまごカレーパンとアイスコーヒーにした。これは美味いので、チョコクロのお持ち帰りとなった。

歩いて元町商店街のヤマハに行った。この前見つけたフルートの楽譜を買う決心をしたからだ。だが、誰かが目を付けて買ってしまっていた。なるほど、いいものはいい。目の付け所は同じだと思った。注文して出た。

再び三宮まで、バスに乗る為に歩いた。途中横断歩道の向こうに、知った人が止まってこちらを見ていた。私は頭を下げた。信号が青になって、横断歩道の真ん中で、ほんのちょっと話した。

「やっぱりあんたか。全くの別人かと思ったよ」

と、その先輩は言った。内心、しめたと思った。体重が軽くなると、心も軽くなるものだと思った。それは、朝の辛さと引き換えに得られたものだった。

お買い上げを早く着てみたい。帽子まで買ってしまったのだから。