梅肉の入った小さな飴玉を口に放り込むと、外に出た。外は望み通りの雨で、久し振りに帽子が被れる。Tシャツから覗いた腕に感じる程度の雨だ。決して衝動的ではないが、もっと土砂降りでもいいと思った。寝床の中で、たまには雨もいいなと思っていた矢先の事だった。

超スロージョギングの初心に帰って、ゆっくり走り出した。5時8分。

口を開けると飴玉が飛び出そうになる。今までは口を閉じて走っていた。すると、飴玉が無くなるまでは鼻で呼吸しなければならない。鼻が詰まってでもいたら大変だ。そこで、いい方法を考え付いた。口を閉じないで、歯を閉じるのだ。これなら呼吸も出来る。でも、笑うセールスマンか。

腕にプチプチと刺さる、小人の国の軍隊の射る矢が心地いい。靴が濡れてしまう雨ではないが、小糠雨とも違う。

雑草と一からげに括ってしまうのは申し訳ない気もするが、逞しさは半端ではなく、シャリンバイの前から、その高さを超えて成長している。雨が地面に塵を巻き込んで落ちるのか、周りの木々の緑は一段と鮮やかに見える。笹の葉が匂う。

ふと目に留まったシロツメクサの、時期を過ぎた家族が話をしていた。

「もうちょっと生きていたいね」

「そうだよね。こんなに素敵な地球は他にないと思うしね」

「でも黒い雨が降って来て、終わってしまうって言う仲間もいたよ」

「無くなってしまうの?」

「自然を大事にしていたら、そうならないかも知れないけれどね。自然じゃないものを人間が考え出してから、何だか変になったみたい」

「ふーん」

シロツメクサさえ、この地球が滅びて欲しくないと思っていた。

どっと雨が降って来た瞬間、今までの雨も止んでしまった。私の心は、その話に病んだ。

第4コーナーを過ぎた頃、今度は見えていたが、あの自転車に乗った女性が猛スピードで坂を下って来た。どんな神経か分からないが、私は当たられないように、狭い上り坂を左に避けた。こうして、私の方が飼いならされて行くのだろうか。

5時40分が到着の時間だった。これ程楽に走れたと言うのに、32分で帰って来た。自分でも感心する程速くなっているのだ。一念発起してから3週間が過ぎた。もう21回目の、超スロージョギングを終えた。口のなかには、まだ梅肉の味が残っている。梅玉は、ジョギングでの私の必需品となった。

途中で感じたあの風の心地良さ。目に見えぬものにこそ、真実と誠があるように思える。


紀州梅肉うめ飴
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