雨が普通に降って、風も微かだった。台風2号の影響はまだ見られない6時、自ら雨に濡れながらのジョギングに出かけた。

長袖にジョギングウェアを着る決定を下す事に、そんなに時間は掛からなかった。冬だったら最低この出で立ちになるだろう。冬薔薇? 馬鹿馬鹿。これは、谷村新司の「群青」の終わりの一節ではないか。

病み付きになるほどのジョギングの魅力は何処にあるか、考えながら走る。ずっと長い間、灯台下暗しのままで来て友達になった脹脛と、一緒に走る。庇って走るほどではない。

草の匂い。浴びる雨。吹き抜ける風。降り注ぐ陽の光。青い空。朝焼け。鳥の声。桑の葉。白く残った月、などなど限りない四季の自然に、心置きなく触れる事が出来るのが魅力である。小さな日常のつまらない事など、どうでもよくなって来る。何よりも駆り立てるもの。それは、超スローで走っていいからだ。

最初のUターンをする更に向こう側に、完璧な冬装備の濃いグリーンの雨具を付けて、ウオーキングをしている男がいた。傘も差していた。使う筋肉も違うウオーキングは、私はもうしないだろう。減量の効果もさほど、私には効果がないと思ったので。

2回目のUターンに差し掛かると、一つ上の横断歩道を、出勤途中の男が、クールビズ姿で渡って来る。信号が赤なのに渡っている。自己責任だし、子供も見ている訳でもないので好きにしたらいいが、今の私なら、青でも渡りたくない。

脹脛もやや攣ったように感じる程度で、そんなに痛くはなかった。成長期の子供が足が痛い時があるが、脹脛もその一つだと考えてもいいのではないか。私は身長が伸びる訳ではないが、この痛さを超えれば、また筋肉が初々しく活動を始める事だろう。もしかして身長が伸びるのなら、脚、特に膝から股にかけて伸びて欲しい。

少し暑くなった。ウェアを脱いだ。雨を十分に吸ったそれは、ずっしりと重かった。抱えて走るのも難儀だから、今度雨が降ったらそれは最初から着ないで走ろうと思った。超スローを心掛けた今日のジョギングも、もう第4コーナーへと差し掛かっている。

頭に描いた四葉のクローバの葉を、一枚一枚千切りながら占ってみる。「ジョギングはもう、しない。する。しない。する」。何とこれからもするとのお告げが出た。幸せの四葉はバラバラに散ったが、それで不幸になる訳でもない。人間は所詮、幸せを求めながら歩き続ける生き物なのである。また、四葉のクローバを探しながら、只管求め続けて行く事になるだろう。

帰って暫くすると、雨と風が勢いを増した。台風2号の影響による雨風は卓球から帰る12時頃が一番酷く、傘を差していても傘がその用を果たしていない位だった。ジョギングで濡れてしまった靴。この卓球からの帰り道で濡れた運動靴。この2足の運動靴は玄関の外に干してあるが、明日のジョギングには間に合いそうもない。

ジョギングの結果が気になる向きもあろうと思う。6時に出発して、6時43分に着いた。計算が簡単だが、43分。かつてのウオーキングの時のタイムでゴールインした。これでいいんだと、満足気な、誰も見てくれない自分の顔があった。

ジュース。風呂。一風呂浴びたら夕方かと思い、ビールが飲みたくなった。何を言ってるんだ。一風呂浴びたら、今日の1日が始まるのではないか。いくら駄洒落が口を吐いて出る年頃だからと言って、ビールをアビールなんて、そんな陳腐な駄洒落を私は言わない。誰かと違って、私にはどうでもいいような、それこそ陳腐なプライドがあるからね。