3日は9時45分に家を出て、14キロメートル程の所にある幼稚園に行った。10時半から始まる音楽会に5分前に着き、間に合った。

「音楽会、聴きますか」

と言われ、

「勿論聴かせて貰います」

と言った。

年少の児童が「おめでとうクリスマス」を歌った。大きな良い声を出していた。歌と合奏が終わると退場。母親に抱かれている弟の傍に行って退場するなど、何でも絵になるから子供は楽しい。

前列の保護者は年長児の保護者と席を交代した。なる程、こんな配慮もあったんだと思った。続いて、年長児が入って来た。急に大人っぽくなった。小学校に行ったらまた小さな新入生になるけれど。

歌った後、楽器の位置に移動した。鉄琴、ピアニカ、大太鼓、グロッケンなど、楽器はシンプルだ。全部演奏し終わると、保護者から、「アンコール、アンコール、アンコール・・」と声が上がり、一頻り止まなかった。これも、作戦の一つかと思ったが、こんな光景は今まで見た事はなかった。喜んで演奏し終わると、年長児達は胸を張って退場して行った。

30分程の短い音楽会で、これで終わるには物足りない。それでゲスト出演があるのだろう。準備をすると、早速簡単な挨拶をして、曲を奏で始めた。大人と子供。どちらか一つに照準を合わせると、どちらかが余り楽しくはないと思い、子供が聴いて楽しい曲と大人が聴いて楽しい曲を、曖昧ではあるが、交互に入れた。

今私は、「アニーローリー」に凝っている。アニーが美人だからではなく、メロディーが何とも懐かしいのだ。

「アニーローリーは、150年位前のスコットランドの人ですが、とっても美人だったんです。皆のお母さんみたいに美人だったんですよ。帰ったら綺麗なお母さんの顔をしっかり見て下さいね」

と言うと、途端に笑い声が起こった。ちょっと音響の状態が悪く、2曲目からはマイクなしで演奏した。30分の予定だったので、プログラムは次のように組んだ。

1. アニーローリー

2. さんぽ

3. 白鳥

4. 若者たち

5. 夕焼け小焼け

6. ふるさと

7. いつも何度でも

8. 七つの子

9. 崖の上のポニョ

「さんぽ」はいきなり盛り上がった。立ったり座ったり歌ったり・・。自分の知っている曲は、大喜びだ。途中は聴きなれない曲が多かったとは思う。「七つの子」などをジャズ風に吹いた後では、大人は興味津々だったが、子供は遠慮がない。「あー、疲れた!」と言った。

「崖の上のポニョ」は今でも大人気だ。手拍子したり、歌ったり、立ったり、踊ったりしていた。規模の小さい幼稚園だったので、聴いている人を全部合わせても6~70人だったと思う。

終わったと思った瞬間、「アンコール、アンコール、アンコール・・」の声が子供から上がった。こう言う風に指導されていたのかと思った瞬間可笑しくて噴出しそうになったが、もしアンコールがあれば演奏したい曲は用意していた。

最初にクリスマスの歌があったので、私も大好きなクリスマスの曲にした。「きよしこの夜」を吹いた。1コーラスと2コーラスの間には、ちょっとだがオカリナを持ち換える時間はある。アルトC管からソプラノC管に持ち換えるだけの。だが、私はそれを3連のイカロスで吹いた。ソプラノC管の高音ド・レ・ミ・ファは豊かだが、気持ちを込めた時、私の気持ちが表現出来難い。最後の低音ドで2コーラスを終わった後、高音のドとファとミを使って終わる。このファとミを伝えたい為にイカロスを使う。思い切り息を吹き込む事が出来るからだ。

保護者は懸命に聴いてくれていた。子供は乗りが良く、中にはきょろきょろしている子もいたが、何人もの真剣な眼差しの子もいた。人それぞれだが、幾らかは今日の演奏は、心の何処かに残ってくれたのではないだろうか。

園長室で弁当をご馳走になった。2人で世間話をしながら楽しく食べた。地元で作られる弁当だそうだが、これがとても美味しかった。最初は晴れていた空が、いきなり大雨に変わった。凄い降りだ。保護者は傘を持って来ているだろうか。それにしても、こんな雨だと、傘の役目を果たさないのではないかと思った。

次があるからと、食べ終わるとすぐに帰る事にした。最後の親子の乗った車に手を振ってから、私も車を出発させた。園長先生、てきぱきしていた主任、若い先生、管理員さんに丁寧に送られ、気持ち良く園を後にした。「子咲け、花咲け、命咲け」。この園の保育目標を反復させながら。


家に帰りすぐに用意だけしてバス停に向かった。6分待ってバスが来たのは運が良かったと思う。それを逃せば、次は3~40分後になるからだ。

最初は妙法寺駅で1時前に会う事になっていたが、それは無理なので、私が何処かから連絡する事になっていた。2時までには着くという事で、名谷駅から電話をした。1時35分発の電車に乗ると・・。名谷駅の次が妙法寺駅である。着くとNaさんがもう迎えに来てくれていた。

そこそこ歩いて、マンションの中の集会室に入った。この前楽しく練習させて貰った方々が、もう1度来て欲しいと言う事で、この日に決まっていた。前回と同じメンバーだったがOさんは都合で来られなかった。1人欠けたので、今日は6人だった。

後Nさんが途中で帰らなくてはならない事と、Kさんはこれが終わったら帰らなければならない事情があった。私は、教師が授業ごとに書くと言う指導案なるものを、遊びで書いていた。

指導案

1.前回選んだ各自の曲を1コーラス演奏する。(朧月夜、竹田の子守唄、冬の星座)
 ※ この3曲ならどれでも良い。

2.「朧月夜」を、ピアノ伴奏MDで1コーラスずつ演奏する。
 ※ 最後に全部通して私が演奏する。

3.「オナラ」を練習する。

4.「リュブリャーナの青い空」の楽譜を渡す。

5.「さくら」のアンサンブルを楽しむ。

6.時間があれば、私が数曲演奏する。
 ※ 「七つの子」「きよしこの夜」

結局2時間近く楽しんで、次のグループが4時から借りているので、片付けて部屋の外に出た。時計は3時59分を指していた。

途中で「さくら」以外の曲は、私は一応全部吹いたので、6番目の私の演奏はしなかった。その前に、どこかで演奏する曲を聴いてアドバイスをしてくれと言ったので、一人ずつの吹くそれぞれ違った曲を聴いた。グループで吹く曲だけれど、一人ずつが吹いた。

「『オナラ』ってどんな曲か知っていますか」

と言うと、

「力強く、ブッと吹く曲じゃないですか」

と言ったので、皆このドラマのこの歌は知らないんだなと思った。

「『大長令(テジャングム)』の中で歌われる歌で、私が覚えたくてインターネットで何遍も聴いて書き写したものです」

何となく分ったようだった。「オナラ」と言った瞬間、何処からともなく笑が洩れていたのが可笑しかった。「来て下さい」と言う意味なんだけれど。

あの間奏部分が好きだが、1音、ソ♭だかファ♯だかがあり、オカリナでは無理だ。そこは1000円のリコーダーで吹くと味がでる。皆が吹いた後、間奏を私がリコーダーで吹いた。尺八みたいな音が出る、と驚いている人もいた。ちょっと砕けた感じで吹くとそんな風になる。

またまた楽しい練習会は終わった。このグループの人達は全員が前向きで、とても気持ちがいい。練習熱心である。Kさんの事を皆が言っていたが、その人の弱かった息が強くなっていて、私も見紛う程だった。かなり努力をしたんだなと思った。そのKさんが帰り、4人が残った。私を入れて5人だ。

Nさんの家はこのマンションの豪華な一室である。Naさん、Kさん、Aさんと、時間に任せて練習の打ち上げをした。

Nさんはタイに10日間行っていたと言った。歓楽街を歩いたが、あれは男性が行く所だと言って笑わせた。素敵な生活をしているなと思った。

タイ米ではないおコメで作った粟おこしの煎餅みたいなものをお土産に買って来ていて、皆で食べた。国によって微妙に味は違うが、そう思って食べると余計に美味い。Aさんはおやきを持って来ていて、野沢菜が入っていたり、他の具材がふんだんに入っていたり、これも久し振りに美味しく頂いた。

もう、始めにお茶などは出ない。最初から酒類だとは嬉しい限りであるが、Nさんは凄く気を使ってくれる。私が昼を食べないですぐこちらに来るだろうと思い、いくつものサンドイッチを買い揃えていた。もう4時も過ぎていたので、これも美味しかった。

蛇口の付いた甕のようなものがあり、私が焼酎が好きだろうとその中に焼酎を入れていた。いきなり焼酎でも良かったが、先ずは本物のビール。「一番搾り」である。美味い。

もう字数がオーバーする頃だろう。後は簡単に済ませるが、内容は簡単ではない。重厚である。その焼酎がなんと「やくしま三岳」。これは中々手に入らないと言う絶品だ。このNさんは別嬪。

「三岳愛子」が有名になってしまっているそうだ。感動しながら飲んでいると、これも、と言って出されたのが「ナポレオン」。こんなに楽しい宴会もそうざらにはない。

盛り上がってしまい、この部屋でオカリナの演奏が始まった。帰る前まで続いた。家に帰ったのが8時だったから、長いこと飲んで喋って吹いて、人間三昧、オカリナ三昧だった。

大きな窓から突然点灯された10メートル程もあるクリスマスツリー。横のイルミネーション。12月はクリスマスの月だ。私も、イカロスで「きよしこの夜」を吹いた。自分の胸にも染みる曲である。次もまた来てと言われながら、Nさんのマンションを後にした。