ちょっとした渋滞もどきに引っ掛かり、和田岬の地域福祉センターに着いたのが、約束の時間を10分程オーバーした12時10分だった。弁当を頂いて、呼ばれるのを待っていた。

数年前も来た事があるので、知ったお年寄りの方もいた。これは「あじさい給食」と言って、連れ合いを亡くされた方の為に、市が企画した、もう10年以上前からある事業である。つまり、小学校を借りて土曜日に学校に招き、弁当を食べながら、子供と交流したり、何かの出し物を見聞きする行事だ。

けれど週5日制となり、土曜は学校がお休みとなった。その為、これが土曜日に出来なくなった。市はこれを機に、廃止にしようとした。が、頑張った地域は他の曜日に、子供に提供される給食で存続出来るようになった。止めてしまった校区もある。しかし、和田岬は、地域福祉センターで土曜日に行っている。お年寄りには大いなる励みであろう。

ここの地域の繋がりは、随分強いと感じた。ボランティアでお世話をしようとしている方々も、一人や二人ではない。

2階に上がると、総勢50人ばかりの人がいた。早速準備をして、オカリナを奏で始めた。曲名だけ上げて、先を急ぎたい。今日(20日)はダブルヘッダーなのだ。

汽車
いつも何度でも
白鳥
ここに幸あり
浜千鳥
竹田の子守唄
夕焼け小焼け
七つの子
浜辺の歌

皆さんの表情が良かったので、気持ち良く聴いて貰えているのだと思った。知っている曲は、口ずさんでいる。好き勝手なMCを交えながら、終わってみると13時30分だった。

「人間、命あってなんぼのもんです。どうかこれからもお元気で、またお会い出来る事を楽しみにしています」

と言って、すぐに家に向かった。練習もそこそこに、14時42分の名谷駅行きのバスに乗り込んだ。地下鉄は谷上行きに乗った。新神戸まで行くからである。

そこから指示されたように歩くと、エレベーターがあり、4階まで行ってロープウエイの券を買う事になった。時間が気になり、何分間隔で出るのか知りたかった。所が、ロープウエイである。行けば順次乗れるのだ。便利である。

最大6人乗れるロープウエイの25番に一人乗ると、自動的に戸が閉まり、ふっと宙に浮いた。どんどん上って行く。布引のハーブ園に行くのである。終点がハーブ園。その中間にもう一つの駅がある。そこが終点だと思った男女が、降りてしまって外にいた。係員に催促されて、二人は私のゴンドラに乗船した。

途中の絵に書いたような景色。紅葉が今を盛りと言わんばかりに、その華麗なる姿を惜しげもなく見せてくれている。櫨の赤の美しい事。オー、と声が出そうになる。何たる感動。一人で見るのが心底惜しい。必ずや孫を連れて来て、一緒に見たいものだと思った。餌? それはソフトクリームだ。

4時頃に、どちらもが「森のホール」に前後して到着した。Sさん、S.Sさんである。「第10回ゆかいな音楽会」で演奏する為である。2部が終わりかけていた。それが済むと子ども達は集合写真を撮った。

暫くして3部が始まり、発展途上の人達の演奏が始まった。大抵1曲ずつで、流れは速い。楽器だけでも上げるなら、ホルン、チェロ、オーボエ、クラリネット、ファゴット、トロンボーン、フルートである。このホールは締め切ってなく、私は外で聴いた。2組キャンセルがあり、心の準備もなくすぐに番が来た。

白鳥と浜辺の歌をオカリナで演奏した。Sさんはアリア(バッハ)と夢路より、だ。流石に以前からやっていただけの事はあり、堂々と落ち着いたものだ。そしてバロック音楽的にビブラートなしで美しい響きを撒き散らした。伴奏はS.Sさん。彼女のお母様も聴きに来ておられた。

愈々「秋から冬へ」を3人で演奏した。何とか終わってほっとしたのも束の間、「愛の挨拶」が始まった。調子よく吹いていたが、後半のメロディー部分が楽譜の見誤りにより、無茶苦茶になった。二人は驚いたと思う。後で聞いた話だと、ピアノは何とか私のメロディーの補強をした。それに呼応してアルトリコーダーが音を重ねた。明らかに無茶な私の音だったが、二人はそれをカバーしようとしたのである。

折角のアンサンブルを台無しにしたけれど、アンサンブルは助け合う心が介入する。その所為か、深く落ち込む事もなかった。済んだ事は仕方がないが、

「いつかリベンジしましょ」

と言ったS.Sさんの言葉が残った。

八角錐台のような造りのホールにすっぽり収まっている。音響はとても良く、マイクはない。椅子は110人分並べてあった。出入り自由なこのホールには、高校生辺りがいなくなると20人位が座っているだけになった。人数は何人でも関係ないが、少ないと、ちょっとだけ気は楽だ。

自分達が終わってから、最後のピアノまで聴いた。暫くしてホールを後にした。4人は、神戸の夜景を見た。金星台とそう変わらないが、六甲山の頂上から眺める1000万ドルの夜景とは少し味がちがい、これは100万ドルだと思った。金星が、天の巨大な風呂敷に,
その美を誇っていた。太陽の光を受けてこの惑星は、他の数多の星の如く、瞬く事をしなかった。

打ち上げは、三宮の「まさ木」である。もう満員で、2階どころか、下の奥に3人は腰を下ろした。明日も演奏があるので、楽しかったここでの会話は割愛して、何も忘れて眠りこけたいと思う。

ママは4人でソウルに2泊3日で行って来たと言う。ああ羨ましいなあ。SさんとS.Sさんはチェリーちゃんがいる為に中々腰を上げられないと言う。が、ママの話などからちょっとは行って見たい気になったかも知れない。行けば病み付きになる事請け合いだ。

終わってしまったが、間違える事は、大きな迷惑に繋がる。家での練習では上手く行っていたのだから、返す返すも残念ではあった。是非、懲る事もなく、更なるリベンジをしたいものだ。