自信の法則 ジェリー・ミンチントン
「楽しく生きる」
26 逆境を活用する
◆「逆境にまさる教育はない」
☆ 逆境に遭遇しても柔軟に対処し、大きく飛躍しよう。障害が立ちふさがったときは、自分を磨くチャンスなのだ。
多分今ここにいる室温と、窓から見える外気の温度との差は10度近いのではないかと思う。外には出たくないものだが、勤めていた頃は当然このような暑さの中を、汗を掻きながら歩いていた。
スペース・シャトルのように、潜水艦のように、外は全く違った世界のように思える。出たらお仕舞いみたいな感じで捉えられなくもない。昨夜の雨と雷が嘘のように、梅雨の合間の夏空である。頭の中の夾竹桃の群れがパッションを呼び起こし、噎せ返る。明後日で、まるでついこの前のように正月を迎えてから半年が過ぎる。もう7月がそこにある。
暑い時は家にいるか、デパートか、コンサートに限る。どれが安上がりかとか、そう言う事を考えなければの話だ。
6月17日(木)の朝日新聞の夕刊の「芸能」に載っていた記事。記者は星野学とあった。
千住真理子 バッハ無伴奏通し弾き
来月10日に大阪
バッハの無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータ全6曲を1日で弾く演奏会に、千住真理子が挑む。7月10日、大阪市のザ・シンフォニーホールで。12歳でのデビューから35周年の記念に企画した。「高すぎる山をたった一人で登るイメージ。『できる』ではなく『立ち向かう』が大切」と千住は語る。
バイオリニストの「聖書」と呼ばれる無伴奏のソナタ3曲、パルティータ3曲を全部で一つと考えて、同じ番号のソナタとパルティータを組にして第1番、第3番、第2番の順に弾く。パルティータ第2番の有名な「シャコンヌ」で締めくくるためだ。「演奏会なので、高まりを最後に持ってきたい」。
全曲で演奏時間は約130分にも及ぶ。通しでの演奏はこれまで3回挑んだが、途中でふらふらになったり、曲の一部が思い出せず弾き直したりしたこともあった、という。そんな経験から「こう弾こう、と思った途端にバッハは弾けなくなる」と身にしみた。
「無の状態に自分を委ねた時、はじめて弾かせてもらえる曲だと思う」。2002年に手にした愛器ストラディバリウスが体になじんできたときの実感を胸に、節目の年に改めて挑戦する。
午後2時開演。3千円。同ホール。
凄い事に尚ときめいて挑戦する千住真理子さんを素晴らしいと思う。「出来るではなく立ち向かう」「高過ぎる山をたった一人で登る」。至難の技だ。けれど、途中でふらふらになり、曲の一部が思い出せなくて弾き直したりした真理子さんを慈しみたい。弾き直したって絵になるし、誰も文句を言わなかったと思う。むしろ、その姿に心から声援を送ったに違いない。
「間違いを恐れるな」。そんな真理子さんの言葉が、聖書から聞こえて来るようだ。
ここでもう読み終わって貰ってもいいと思うが、ザ・シンフォニーホール情報誌「Sinfonia」から質疑応答も載せてみるので、興味のある向きは更に読み進んで貰いたい。
千住真理子 デビュー35周年
ヴァイオリニストとして、女性として、その生き方・存在が多くの人々の憧れになっている千住真理子さん。今回デビュー35周年を記念して、新たな挑戦が始まります。バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全6曲の一挙演奏です!
この記念すべきコンサートに対する想いを千住さんご本人にお話をお聞きしました。
○まず、無伴奏ソナタ&パルティータ全6曲を演奏しようと思ったきっかけを教えてください。
このバッハ無伴奏はヴァイオリニストにとって聖書のようなものです。演奏会で弾かないときでもたまに夜中に自分のためだけに弾くこともあるくらい大切な曲です。いつかザ・シンフォニーホールで挑戦してみたかったのですが、今回35周年というタイミングで決意しました。
○全6曲を一挙演奏となると演奏も長時間になります。
周りの人からも「何でそんなことするの?」って言われますし、自分でもそう思います(笑)。最初は2日間で分けて弾いてもいいんじゃないか? という気持ちもありました。でも、デビューしたての頃、恩師の江藤俊哉先生からこのバッハを習っていたときに「無伴奏というのは全6曲で一つの曲だ」という話をうかがったことを思い出して、あえて一日演奏に挑戦しました。
○本当にたいへんな挑戦になりますね。
バッハ無伴奏全曲というのは肉体的・精神的にも大変だし、膨大な練習量も要求されます。先日、たった一人でエベレストに登る登山家のドキュメンタリーを見たときに、少し理解できるような気がしたんです。
誰からも「やってくれ」と頼まれてもいないものをやる凄さ、のようなものを感じました。私にとって今エベレストがバッハ無伴奏だと思います。
○バッハがこれらの曲を作り上げたのは1720年ごろで、千住さんの愛器デュランティは1716年製。同じ時代を生きていたことになります。
デュランティが来て8年目になりますが、本当にいろいろなことがありました。最初は「どうやったら鳴るんだろう?」と途方にくれたこともありました。感覚的なことでいえば、ぬいぐるみの犬と本物の犬くらい違いました(笑)。闘いの毎日でしたね。でもこの3,4年でようやく体になじんで来た感じがあります。そのタイミングにちょうど35周年を迎えたので、いまバッハを弾くことになにか運命的なものを感じています。
○ザ・シンフォニーホールでは1988年以来、数多くのコンサートに出演されています。
やはりヘルシンキ・フィルとの共演で初めてザ・シンフォニーホールに立った時の緊張は一生忘れられませんね。自分でも「真っ白になる」ってこういうことか、と思うぐらい手足もガクガク震えました。でもその緊張して怖かった思い出は、私にとって宝物のなっています。
そして、ザ・シンフォニーホールの聴衆の方って、ものすごく「熱い」んですよね。その熱い、そして暖かい歓声に包まれながら、私自身が教育され、成長させていただいたような気がします。
○読者の皆さんにメッセージをお願いします。
私が必死になってバッハという山に登る、遭難しそうになっているかもしれませんが、そこから何か感じ取ってもらえたらと思います。そして、教会に来るような感覚でバッハの不思議な世界に包まれてもらいたいと思います。
何に挑戦するのか。どう挑戦するのか。それが、千住真理子の頭の中には明確に描かれている。頂点に向かおうとしている真理子さんを、心から応援したい。そんな果てしない孤独を歩まざるを得ない人と言うのは、至って自然体で、謙虚で、温もりがあると思った。
オール・J.Sバッハ・プログラム
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番ト短調BWV.1001
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番ロ短調BWV.1002
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番ハ長調BWV.1005
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調BWV.1006
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番イ短調BWV.1003
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV.1004
「楽しく生きる」
26 逆境を活用する
◆「逆境にまさる教育はない」
☆ 逆境に遭遇しても柔軟に対処し、大きく飛躍しよう。障害が立ちふさがったときは、自分を磨くチャンスなのだ。
多分今ここにいる室温と、窓から見える外気の温度との差は10度近いのではないかと思う。外には出たくないものだが、勤めていた頃は当然このような暑さの中を、汗を掻きながら歩いていた。
スペース・シャトルのように、潜水艦のように、外は全く違った世界のように思える。出たらお仕舞いみたいな感じで捉えられなくもない。昨夜の雨と雷が嘘のように、梅雨の合間の夏空である。頭の中の夾竹桃の群れがパッションを呼び起こし、噎せ返る。明後日で、まるでついこの前のように正月を迎えてから半年が過ぎる。もう7月がそこにある。
暑い時は家にいるか、デパートか、コンサートに限る。どれが安上がりかとか、そう言う事を考えなければの話だ。
6月17日(木)の朝日新聞の夕刊の「芸能」に載っていた記事。記者は星野学とあった。
千住真理子 バッハ無伴奏通し弾き
来月10日に大阪
バッハの無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータ全6曲を1日で弾く演奏会に、千住真理子が挑む。7月10日、大阪市のザ・シンフォニーホールで。12歳でのデビューから35周年の記念に企画した。「高すぎる山をたった一人で登るイメージ。『できる』ではなく『立ち向かう』が大切」と千住は語る。
バイオリニストの「聖書」と呼ばれる無伴奏のソナタ3曲、パルティータ3曲を全部で一つと考えて、同じ番号のソナタとパルティータを組にして第1番、第3番、第2番の順に弾く。パルティータ第2番の有名な「シャコンヌ」で締めくくるためだ。「演奏会なので、高まりを最後に持ってきたい」。
全曲で演奏時間は約130分にも及ぶ。通しでの演奏はこれまで3回挑んだが、途中でふらふらになったり、曲の一部が思い出せず弾き直したりしたこともあった、という。そんな経験から「こう弾こう、と思った途端にバッハは弾けなくなる」と身にしみた。
「無の状態に自分を委ねた時、はじめて弾かせてもらえる曲だと思う」。2002年に手にした愛器ストラディバリウスが体になじんできたときの実感を胸に、節目の年に改めて挑戦する。
午後2時開演。3千円。同ホール。
凄い事に尚ときめいて挑戦する千住真理子さんを素晴らしいと思う。「出来るではなく立ち向かう」「高過ぎる山をたった一人で登る」。至難の技だ。けれど、途中でふらふらになり、曲の一部が思い出せなくて弾き直したりした真理子さんを慈しみたい。弾き直したって絵になるし、誰も文句を言わなかったと思う。むしろ、その姿に心から声援を送ったに違いない。
「間違いを恐れるな」。そんな真理子さんの言葉が、聖書から聞こえて来るようだ。
ここでもう読み終わって貰ってもいいと思うが、ザ・シンフォニーホール情報誌「Sinfonia」から質疑応答も載せてみるので、興味のある向きは更に読み進んで貰いたい。
千住真理子 デビュー35周年
ヴァイオリニストとして、女性として、その生き方・存在が多くの人々の憧れになっている千住真理子さん。今回デビュー35周年を記念して、新たな挑戦が始まります。バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全6曲の一挙演奏です!
この記念すべきコンサートに対する想いを千住さんご本人にお話をお聞きしました。
○まず、無伴奏ソナタ&パルティータ全6曲を演奏しようと思ったきっかけを教えてください。
このバッハ無伴奏はヴァイオリニストにとって聖書のようなものです。演奏会で弾かないときでもたまに夜中に自分のためだけに弾くこともあるくらい大切な曲です。いつかザ・シンフォニーホールで挑戦してみたかったのですが、今回35周年というタイミングで決意しました。
○全6曲を一挙演奏となると演奏も長時間になります。
周りの人からも「何でそんなことするの?」って言われますし、自分でもそう思います(笑)。最初は2日間で分けて弾いてもいいんじゃないか? という気持ちもありました。でも、デビューしたての頃、恩師の江藤俊哉先生からこのバッハを習っていたときに「無伴奏というのは全6曲で一つの曲だ」という話をうかがったことを思い出して、あえて一日演奏に挑戦しました。
○本当にたいへんな挑戦になりますね。
バッハ無伴奏全曲というのは肉体的・精神的にも大変だし、膨大な練習量も要求されます。先日、たった一人でエベレストに登る登山家のドキュメンタリーを見たときに、少し理解できるような気がしたんです。
誰からも「やってくれ」と頼まれてもいないものをやる凄さ、のようなものを感じました。私にとって今エベレストがバッハ無伴奏だと思います。
○バッハがこれらの曲を作り上げたのは1720年ごろで、千住さんの愛器デュランティは1716年製。同じ時代を生きていたことになります。
デュランティが来て8年目になりますが、本当にいろいろなことがありました。最初は「どうやったら鳴るんだろう?」と途方にくれたこともありました。感覚的なことでいえば、ぬいぐるみの犬と本物の犬くらい違いました(笑)。闘いの毎日でしたね。でもこの3,4年でようやく体になじんで来た感じがあります。そのタイミングにちょうど35周年を迎えたので、いまバッハを弾くことになにか運命的なものを感じています。
○ザ・シンフォニーホールでは1988年以来、数多くのコンサートに出演されています。
やはりヘルシンキ・フィルとの共演で初めてザ・シンフォニーホールに立った時の緊張は一生忘れられませんね。自分でも「真っ白になる」ってこういうことか、と思うぐらい手足もガクガク震えました。でもその緊張して怖かった思い出は、私にとって宝物のなっています。
そして、ザ・シンフォニーホールの聴衆の方って、ものすごく「熱い」んですよね。その熱い、そして暖かい歓声に包まれながら、私自身が教育され、成長させていただいたような気がします。
○読者の皆さんにメッセージをお願いします。
私が必死になってバッハという山に登る、遭難しそうになっているかもしれませんが、そこから何か感じ取ってもらえたらと思います。そして、教会に来るような感覚でバッハの不思議な世界に包まれてもらいたいと思います。
何に挑戦するのか。どう挑戦するのか。それが、千住真理子の頭の中には明確に描かれている。頂点に向かおうとしている真理子さんを、心から応援したい。そんな果てしない孤独を歩まざるを得ない人と言うのは、至って自然体で、謙虚で、温もりがあると思った。
オール・J.Sバッハ・プログラム
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番ト短調BWV.1001
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番ロ短調BWV.1002
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番ハ長調BWV.1005
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調BWV.1006
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番イ短調BWV.1003
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV.1004