読売新聞2月24日の朝刊に、杉山愛さんが投稿している「結晶」の記事を何故載せるのか。

フィギュアスケートの女子ショートプログラムが始まるのと、その通りだと思った所があったからである。



「4回転への挑戦 感動した」

フィギュアスケートは、子どもの頃から好きだった。まだ幼稚園の頃、華やかな衣装に憧れて「やってみたい」と志願し、神奈川・茅ヶ崎から東京・品川のスケート教室まで通った。簡単な滑りを学びつつ、上手な人を見て「早く回転ができるようになりたいな」などと思っていた。

私はその後、テニスへの道を歩むことになったが、きれいな動き、コスチュームには、今でも魅了される。その競技で見せてくれた、高橋大輔選手の素晴らしい演技に感動した。

今回、フリーで4回転ジャンプを跳ぶべきかどうか、選手によって判断が分かれた。金を取ったライサチェク選手(米)のように、回避して安全策を採る、というのも作戦の一つだと思う。だが高橋選手は「もともと、(4回転を)跳ぶのが当たり前」と言い切り、自分のスタイルを貫いた。

惜しくも4回転は成功せずに転倒してしまったが、やるべき演技をイメージし、ベストパフォーマンスを出し切ろうとしたアスリートとしての姿勢は、素晴らしかった。これから続く日本女子選手たちにも勇気を与える、価値のあった銅メダルだと思う。

逆に不運としか言いようがなかったのは、靴ひもが切れてしまった織田信成選手。フィギュア選手にとって靴は体の一部とも言え、もし、ひもを替えれば、全く感覚が変わってしまうだろう。テニス選手が、ラケットにこだわりを見せるのと、同じことだ。それでも、「なぜあの場面で起きてしまうのか!」という、非情に残念なハプニングだった。

また、カーリングは新鮮な気持ちで楽しく観戦させてもらっている。日本女子が6点差からロシアを大逆転した試合では、針の穴を通すような難しいショットを決めてくれた。あの緊張する場面で、ミリ単位でストーンをコントロールできる集中力は、素晴らしいと思った。

テニスも、ライン際の球が、ミリ単位で勝敗を分ける場面がある。私たちは、重要なポイントでその一球を決めるために、技術、精神状態を作る鍛錬をしている。だから打った瞬間に、入ったかどうかはわかるもので、その球が決まった時は選手冥利につきる。競技は違っても、練習の成果を一投に集中させ、イメージ通りのショットを決められた時に得られる快感は、私たちと同じなんだろうな、と思った。(元プロテニスプレーヤー)


さて、女子のSPが2時間後には始まる。2分50秒に賭ける青春。

金メダル浅田真央、銀メダル安藤美姫、銅メダル鈴木明子などと日本では囁かれていたりする。だが、ここに韓国の強敵がいる。金妍児だ。これだけで金銀銅を決めようとするのは他国の選手達に失礼になろうが、今大会で金メダルがまだない。それだけに、願いとして日本人上位3名の金銀胴の姿を描きたい。

取れるなら、3人の内誰でもいいとは思う。けれど、応援や願望や贔屓が違う。大半が浅田真央と金妍児との金メダルに絡む対決を待っているだろうと思う。

刻一刻とその時が迫っている。双方ともミスがなければ、やや金妍児の方が得点が高いと専門家は言うし、ルッツの回転数が1つ少ない事を見れば、それは我々でも予測は付く。だが、そう簡単に進むものではなく、表現力や流れなども勿論採点の対象になる。SPで一番にならなくても、自分の会心の演技が出来たらそれでいいと思う。これは3選手にも言いたい事だが、プレッシャーを撥ね退けて、自分の持てる力量を存分に発揮して貰いたい。

失敗を恐れない事が勝利へと導く。ナポレオンは言った、「我が辞書に、不可能はない」と。3人の若い素敵な娘達にこう思って滑って欲しいと思う。「私の辞書には、失敗と言う文字がない」と。

自分を信じ、プレッシャーを撥ね退け、成功をイメージして滑り終えて欲しい。湯を注いで食べられるまでの3分間。あっと言う間の2分50秒に、命を燃やしてその熱で、銀盤を溶かして貰いたい。金妍児とて同じプレッシャーに慄いている筈だ。全て自分勝負とはよく言ったものだ。今、10時52分である。


第4グループ辺りからBSでライブを観出した。

第5グループからの演技に熱が入る。1グループは5人ずつで演技し、第6グループが最後だ。

21番ラウチ・レピストは61.36(T32.88、C28.48)で3位。22番浅田真央は73.78(T41.50、C32.28)で1位となった。終わった後、氷上をピョンピョンと2度程跳んだ。仮面舞踏会の曲による演技は上手く行ったとの確信を持ったと思う。

曇りの無い輝いた顔だ。神は見捨てなかった。それに反して、私の心臓は千切れそうだった。ルッツ、トーループ、フリップが失敗しないかと。どうしてなんだろう。自分なら、ドキドキしても、例え失敗しても責任は自分にあるから、ある意味ではずっと気持ちは楽なのかも知れない。

23番金妍児と続く。007の音楽に合わせて、大胆にに滑る。ミスはなかった。78.50(T44.70、C33.80)の得点は更に上回り、1位となった。この時点で浅田真央は2位となった。ベストな位置ではないだろうかと思う。フリーで金妍児との一騎打ちが期待出来るのだ。

鈴木明子は24番で61.02(T33.10、C27.92)。この時点で6位に着けた。25番目のアレチ・レオノワが62.14で4位になった事で、鈴木明子は順位を下げる。

さて最後の第6組。26番カナダのジョアニー・ロシェットは21日にお母さんを亡くしての出場で、3位に入った。71.36(T39.20、C32.16)は高得点だ。27番ハンガリーのユリア・セベステンは57.46。

28番はアメリカのラッセル・フラット。開会式には出て雰囲気を味わうと再びアメリカに戻り、試験を受けている。どこの大学かは覚えていない。可愛い躍動的なステップで、64.64を上げ4位となった。次はイタリアのカロリーナ・コスティナーで、6位。

最後は安藤美姫で、果敢に攻めたけれど、思った程の評価は得られなかった。モーツァルトのレクイエムの曲で滑った。コスチュームの胸の辺りに、大きな十字架があしらわれていた。64.76(T34.80、C29.96)は4位となったが、不本意な結果に終わったのだろう。結果を見た後は、全く笑顔がなかった。

これでショートプログラムの順位は確定した。

1位 金妍児。2位 浅田真央。3位 ジョアニー・ロシェット。4位 安藤美姫。5位 ラッセル・フラット。6位 カロリーナ・コスティナー。鈴木明子は11となった。それでも日本の3人は、このプレッシャーの中で、大健闘だったのではないか。26日のフリーの演技が待たれる。まだまだ分からない。それにしても金妍児は強い。

浅田真央へのインタビューの返事は、大体こんなものだったと思う。

「どうでしたか」

「はい、よかったと思います」
「取り敢えず、ホッとしたと言うか、よかったです」
「まだフリーがあるので、しっかり押さえました」
「練習して来ているので、自分を信じてやるだけだと思いました」

私のように要らない事を喋らない浅田真央さんは偉いし、成長していると思った。誰が勝ってもどうしようもない事だが、浅田真央には金妍児に勝たせたい。フリーでは滑る順序が逆になって、金妍児のすぐ後で滑る事になった。金妍児にも、スケーティングの魅力は十分にあり、韓国人ながら、その滑りには高い技術と表現力、それにドラマがある。

しかし、フリーでの実際のドラマはどう展開するか、誰にも分からない。