「沖縄サンバ」がどんな曲か分かるといいんだけれど。
これは、10代で歌手デビューした、浅野ゆう子さんの曲の一つである。何年か前、この曲も入っているCDが発売されたと、インターネットでは言っている。いつの声かは調べていないので、元町のヤマハで聞いてみようっと。
あれば、買って覚えたい。いやねっ、メロディーをね。
浅野ゆう子と言えば、もう歌手のイメージではなく、立派な女優だもんね。脚に保険金掛けた話は、もうずっと前に聞いた神話だ。それだけ長くて美しい。ある所には、石原裕次郎より長いと書いてあった。
昨日は、K氏とK妻さんと551蓬莱の前で待ち合わせをして、午後7時半の約束の時間には1時間ほどあるので、洋食屋さん「赤ちゃん」で食事をした。ランチが夜でも食べられる。スパゲティーに大盛りのキャベツ、それにハンバーグと海老フライが付いている。K氏とK妻さんは、早速物々交換をした。ハンバーグと海老。K妻さんが大の海老好きで、勿論カニも大好きと言う事だった。ならば、話の導入はカニを食べた話。
私達は1泊で行って食べたが、K妻さんは日帰りでカニを食べに行くと言う。どちらのほうがカニ好きなのだろう。カニだけの為に行って日帰りすると言うのだから、やっぱりK妻さんに軍配は上がるだろう。
「ビール飲むか」
とK氏が言った。今から訪問するのだからとも思ったが、考えてみれば所謂クラブに話をしに行くのだ。飲んで行こうが飲まないで行こうが、一向に問題はない。私は赤鬼だが、彼は肌色鬼。いくら飲んでも肌色で、誰も飲んでいるとは思わない。彼はいいとして、私は? と思う間もなく、
「じゃあ、ちょっと飲もか」
これで一件落着。二つのジョッキで乾杯! 何の乾杯かなんて突っ込まないで。単に飲む前の儀式なんだから。
「瓶ビール1本」
と彼が声を掛けた。
「グラスは2つでいいんですね」
飲み始めると止められない。色々雑談をして、出る事にした。こんな時の1時間位、あっと言う間だから不思議だ。
東門筋に入り、目当てのクラブに入った。
「ママは?」
「もうすぐ参ります。お名前をお聞かせ下さい。電話入れますから」
K氏が前もって訪問日時を決めていたので、ママもすぐ来る事になっていた。早い話が相談に来た訳で、飲みに来たのではない。こんな時に飲むのは勿体無いし、ママも、何も飲まなくたっていいと、彼には言っていたみたいだ。
やがて店に入って来たママは、黒いコートを脱ぐと真っ赤なドレスを顕にした。年に関係なく、今日は特に綺麗に見えた。今までに数回しか来たことのないクラブなのに、ずっと親しくしていたように感じるのは何故だろう。一つはママの人柄だろうと思う。
ママが来るまでは、N.Aさんが接待してくれた。奥のゆったりしたボックスに座った。面白い、明るい女の子で、ママが来るまでは楽しく過ごした。
「水でいいですか」
と聞くから、
「えっ」
と言った。
「ああ、ウーロン茶もあります」
「ウーロン茶も水もお金を取るんじゃないだろうね」
と冗談を言った。
「取りませんよ」
と、可笑しそうに笑った。
「じゃあ、ウーロン茶」
と言った。先程のビールが薬のように効いて来たのか、私だけが喋っていた。止まらない。2人とも、止めてくれなかった。喋り続けるのも一苦労だ。
オカリナの話が出た時、本物は聴いた事がないと言うので、持って来ていた3本のオカリナを見せた。3連のオカリナには驚いた様子だった。この子は、オカリナの事をカナリヤと言って笑わせた。
やがて、他のお客と話をしていたママは、我々のボックスにやって来た。実はこの店の40周年記念のパーティーがあるので、その時に出し物をさせて貰えないかと言う相談に来ていたのだ。
K氏とK妻さんの息子の一人は、特に関西では名の知れたマジシャンなのだ。日本は元より、アメリカや台湾などに行ってショーをして戻る。テーブルマジックは得意中の得意で、30センチしか離れていなくても分からない。きっと、どこかで見る機会があると思う。
それで、ギャラとかそんな問題ではなく、彼のマジックを40週記念パーティーでやらせて欲しいという相談に来たのだ。誰が来て何をするかを今ここに書く訳にはいかないが、幕開けなどでの大筋は決まっていた。しかし、3時間を予定したパーティーなので、今度司会者やプロデューサーなどと会って、詳細を話し合おうと言う事になった。私は、結論は唯一つを考えていた。そのパーティーで、マジックをやらせて貰えるかどうかと言う事。それさえOKなら、目的達成だ。K氏もK妻さんも喜んだと言うか、ほっとした事だろう。
ママは頻りに、K氏はハンサムで背が高くて格好いい、と私の横で連発していた。K妻さんの美しさには、流石のママさんも舌を巻いていた。
「こんな綺麗な人の前では話し難いわ。この人、梅宮アンナに似てるわね」
と。そう言われてみると似た所は確かにあるが、K妻さんの方が綺麗じゃないだろうか。改めて見ると美人だなあと思う。昔から知っているので、そんな目では見た事なかった。しかし、ママの目も、節穴ではない。
前にちょろっと言ってくれていた事もあって、オカリナもさせて貰えないか聞いた。彼は芸人だから、ちゃんとした契約や打ち合わせが必要だ。ママはきっとそんな認識をしていると思う。私の場合はどうだろう。そんな知名人や名士も含めて500人も集まるパーティーで、私の事など眼中になかったと思う。
それでも去年の文化ホールでのオカリナフェスティバルのチケットは何枚か買ってくれて、聴きに行くから、と言ってくれていた。その日は風邪で寝込んで、音楽の大好きなホステスさんだけが聴きに来てくれていた。だから、私のオカリナの音は知らない。
この場で「聴かせて」と言っていたが、お客さんがいるのでこの日もママに聴いて貰う事は実現しなかった。私がさせて貰うとしても、飛び入りで笛を吹く位にしか取っていないような気もする。それに、K氏も私も、パーティーにはお客で出席する事にしているし、会費もこの時払ったのだった。
「今度3月に入って司会者や○○の社長さん達と打ち合わせをするから、その時連絡するわ」
と言ってくれた。何としてでも、せめてママに1曲だけでも聴いておいて貰いたいと思う。イメージも湧かないだろう。私にしても、時間、曲数、ジャンル、CDやMDで伴奏を流すのか、ピアノで伴奏が可能かとか、アカペラでやるのか等を知る事が重要だ。
20周年記念からやり出して、5年毎にやって来たと言う。今度で5回目になる。そしてママは言った。
「もうこれで最後にしようと思ってるわ」
「まだまだやれるんじゃない?」
「そうね、この店は細々と続けるけど、45周年はもうしないわ」
真っ赤なスーツがとてもよく似合っていて、下に着ているハイネックも赤色だった。首の辺りは、黒い葉っぱが散らばっている。髪は黒いリボンで結わえていた。私の横に座っているので嫌でも見えるが、閉じられた膝先まで覆っている真っ赤なスカートの先が、見た事もないほど細くすらっとして見えた。
「今度は、ゆう子も私と一緒に皆さんの席を回って、挨拶しようと思ってるの」
浅野ゆう子のお母さんは、ゆっくりと感慨深そうに、そんな話を漏らした。
これは、10代で歌手デビューした、浅野ゆう子さんの曲の一つである。何年か前、この曲も入っているCDが発売されたと、インターネットでは言っている。いつの声かは調べていないので、元町のヤマハで聞いてみようっと。
あれば、買って覚えたい。いやねっ、メロディーをね。
浅野ゆう子と言えば、もう歌手のイメージではなく、立派な女優だもんね。脚に保険金掛けた話は、もうずっと前に聞いた神話だ。それだけ長くて美しい。ある所には、石原裕次郎より長いと書いてあった。
昨日は、K氏とK妻さんと551蓬莱の前で待ち合わせをして、午後7時半の約束の時間には1時間ほどあるので、洋食屋さん「赤ちゃん」で食事をした。ランチが夜でも食べられる。スパゲティーに大盛りのキャベツ、それにハンバーグと海老フライが付いている。K氏とK妻さんは、早速物々交換をした。ハンバーグと海老。K妻さんが大の海老好きで、勿論カニも大好きと言う事だった。ならば、話の導入はカニを食べた話。
私達は1泊で行って食べたが、K妻さんは日帰りでカニを食べに行くと言う。どちらのほうがカニ好きなのだろう。カニだけの為に行って日帰りすると言うのだから、やっぱりK妻さんに軍配は上がるだろう。
「ビール飲むか」
とK氏が言った。今から訪問するのだからとも思ったが、考えてみれば所謂クラブに話をしに行くのだ。飲んで行こうが飲まないで行こうが、一向に問題はない。私は赤鬼だが、彼は肌色鬼。いくら飲んでも肌色で、誰も飲んでいるとは思わない。彼はいいとして、私は? と思う間もなく、
「じゃあ、ちょっと飲もか」
これで一件落着。二つのジョッキで乾杯! 何の乾杯かなんて突っ込まないで。単に飲む前の儀式なんだから。
「瓶ビール1本」
と彼が声を掛けた。
「グラスは2つでいいんですね」
飲み始めると止められない。色々雑談をして、出る事にした。こんな時の1時間位、あっと言う間だから不思議だ。
東門筋に入り、目当てのクラブに入った。
「ママは?」
「もうすぐ参ります。お名前をお聞かせ下さい。電話入れますから」
K氏が前もって訪問日時を決めていたので、ママもすぐ来る事になっていた。早い話が相談に来た訳で、飲みに来たのではない。こんな時に飲むのは勿体無いし、ママも、何も飲まなくたっていいと、彼には言っていたみたいだ。
やがて店に入って来たママは、黒いコートを脱ぐと真っ赤なドレスを顕にした。年に関係なく、今日は特に綺麗に見えた。今までに数回しか来たことのないクラブなのに、ずっと親しくしていたように感じるのは何故だろう。一つはママの人柄だろうと思う。
ママが来るまでは、N.Aさんが接待してくれた。奥のゆったりしたボックスに座った。面白い、明るい女の子で、ママが来るまでは楽しく過ごした。
「水でいいですか」
と聞くから、
「えっ」
と言った。
「ああ、ウーロン茶もあります」
「ウーロン茶も水もお金を取るんじゃないだろうね」
と冗談を言った。
「取りませんよ」
と、可笑しそうに笑った。
「じゃあ、ウーロン茶」
と言った。先程のビールが薬のように効いて来たのか、私だけが喋っていた。止まらない。2人とも、止めてくれなかった。喋り続けるのも一苦労だ。
オカリナの話が出た時、本物は聴いた事がないと言うので、持って来ていた3本のオカリナを見せた。3連のオカリナには驚いた様子だった。この子は、オカリナの事をカナリヤと言って笑わせた。
やがて、他のお客と話をしていたママは、我々のボックスにやって来た。実はこの店の40周年記念のパーティーがあるので、その時に出し物をさせて貰えないかと言う相談に来ていたのだ。
K氏とK妻さんの息子の一人は、特に関西では名の知れたマジシャンなのだ。日本は元より、アメリカや台湾などに行ってショーをして戻る。テーブルマジックは得意中の得意で、30センチしか離れていなくても分からない。きっと、どこかで見る機会があると思う。
それで、ギャラとかそんな問題ではなく、彼のマジックを40週記念パーティーでやらせて欲しいという相談に来たのだ。誰が来て何をするかを今ここに書く訳にはいかないが、幕開けなどでの大筋は決まっていた。しかし、3時間を予定したパーティーなので、今度司会者やプロデューサーなどと会って、詳細を話し合おうと言う事になった。私は、結論は唯一つを考えていた。そのパーティーで、マジックをやらせて貰えるかどうかと言う事。それさえOKなら、目的達成だ。K氏もK妻さんも喜んだと言うか、ほっとした事だろう。
ママは頻りに、K氏はハンサムで背が高くて格好いい、と私の横で連発していた。K妻さんの美しさには、流石のママさんも舌を巻いていた。
「こんな綺麗な人の前では話し難いわ。この人、梅宮アンナに似てるわね」
と。そう言われてみると似た所は確かにあるが、K妻さんの方が綺麗じゃないだろうか。改めて見ると美人だなあと思う。昔から知っているので、そんな目では見た事なかった。しかし、ママの目も、節穴ではない。
前にちょろっと言ってくれていた事もあって、オカリナもさせて貰えないか聞いた。彼は芸人だから、ちゃんとした契約や打ち合わせが必要だ。ママはきっとそんな認識をしていると思う。私の場合はどうだろう。そんな知名人や名士も含めて500人も集まるパーティーで、私の事など眼中になかったと思う。
それでも去年の文化ホールでのオカリナフェスティバルのチケットは何枚か買ってくれて、聴きに行くから、と言ってくれていた。その日は風邪で寝込んで、音楽の大好きなホステスさんだけが聴きに来てくれていた。だから、私のオカリナの音は知らない。
この場で「聴かせて」と言っていたが、お客さんがいるのでこの日もママに聴いて貰う事は実現しなかった。私がさせて貰うとしても、飛び入りで笛を吹く位にしか取っていないような気もする。それに、K氏も私も、パーティーにはお客で出席する事にしているし、会費もこの時払ったのだった。
「今度3月に入って司会者や○○の社長さん達と打ち合わせをするから、その時連絡するわ」
と言ってくれた。何としてでも、せめてママに1曲だけでも聴いておいて貰いたいと思う。イメージも湧かないだろう。私にしても、時間、曲数、ジャンル、CDやMDで伴奏を流すのか、ピアノで伴奏が可能かとか、アカペラでやるのか等を知る事が重要だ。
20周年記念からやり出して、5年毎にやって来たと言う。今度で5回目になる。そしてママは言った。
「もうこれで最後にしようと思ってるわ」
「まだまだやれるんじゃない?」
「そうね、この店は細々と続けるけど、45周年はもうしないわ」
真っ赤なスーツがとてもよく似合っていて、下に着ているハイネックも赤色だった。首の辺りは、黒い葉っぱが散らばっている。髪は黒いリボンで結わえていた。私の横に座っているので嫌でも見えるが、閉じられた膝先まで覆っている真っ赤なスカートの先が、見た事もないほど細くすらっとして見えた。
「今度は、ゆう子も私と一緒に皆さんの席を回って、挨拶しようと思ってるの」
浅野ゆう子のお母さんは、ゆっくりと感慨深そうに、そんな話を漏らした。