初めての皮膚科に行く為に、垂水のバス終点で降りた。東から西へと歩いて北に上がって行くのだが、矢印がなかったらなかなか辿り着けなかっただろう。何だかオリエンテーリングをしているようで、久し振りに面白かった。
バスの或る停留所で、前方から走って来る女の人を、この運転士は待った。乗るとハアハア言いながら、「すみません。ありがとうございます」と言った。
以前の事が重なって思い出される。私も、前方を走りに走った事があった。もう5メートルと言う時に、ドアが閉まり動き出した。手を振りながら走って走って、さあと言う時に閉まるのだから、しまった! なんて洒落ている場合ではなかった。目と目も合っていたのに何故? と思うと同時に、その薄情な運転手の事が悔しさと共に思い出される。どんな職業でも、最後は人間そのものに行き着く事を思い知った。よその国の事と比較しても仕方がないが、韓国では走っている途中でも、手を挙げると余程の事がない限り、止まってくれるのである。私は、整然とした冷淡さより、混沌としていても温かな人情を選ぶ。
右矢印を曲ると直ぐだった。待つのは慣れている。隣の老夫婦が、ひっきりなしに喋っている。
「みかん、送ってやったか」
「3箇所、送りましたよ。佐世保にも」
「3月は、いかなごだな」
「そうですね」
すると、「340円です」と言って呼ばれた。
「お金、出してください。ありますか。細かいのなかったら500円でも」
なかなか出せないでいる。やっとあったようだ。領収証やその他の紙片をもらうと老婦の方が、
「封筒を出して下さい」
と言った。なかなか入らないようだった。老婦は、受け取った封筒に領収書などを入れようとして言った。
「ごちゃごちゃ入れているから・・。もっと大きい封筒にして下さいよ」
金銭は、老父が管理しているように思えた。
余りにも言葉とは裏腹に動作が緩慢なので、私は横を振り向いた。顔は一点を向いたままだった。目の不自由な老父だったのだ。会話では全く分からない。幾たびかの苦悩を乗り越えて来たのだなと思った。やがて、老婦の肩に手を添えると、老婦の方が白い杖を持ち、正面入り口から出て行った。
垂水の商店街を歩いていたら、魚屋があった。美味そうな刺身が350円。マグロのぶつ切りが200円。鯛の大きな切り身が4切れで500円。買わない訳にはいかなかった。安いのだ。
隣は八百屋である。孫の顔が浮かんで、200円のイチゴを買った。
今から、早速マグロのぶつ切りと鯛の切り身の塩焼きを食べるつもりだ。ちょっと、焼酎と一緒に食べてみよう。
昨日買ったアンパンマンのゲイラーカイトがある。昼食後は、孫と近くの大きな公園に行く事にしているのだ。糸の長さは、35メートル。初挑戦の孫の顔がどう変化するかが楽しみだ。さあ、吉と出るか凶と出るか。
バスの或る停留所で、前方から走って来る女の人を、この運転士は待った。乗るとハアハア言いながら、「すみません。ありがとうございます」と言った。
以前の事が重なって思い出される。私も、前方を走りに走った事があった。もう5メートルと言う時に、ドアが閉まり動き出した。手を振りながら走って走って、さあと言う時に閉まるのだから、しまった! なんて洒落ている場合ではなかった。目と目も合っていたのに何故? と思うと同時に、その薄情な運転手の事が悔しさと共に思い出される。どんな職業でも、最後は人間そのものに行き着く事を思い知った。よその国の事と比較しても仕方がないが、韓国では走っている途中でも、手を挙げると余程の事がない限り、止まってくれるのである。私は、整然とした冷淡さより、混沌としていても温かな人情を選ぶ。
右矢印を曲ると直ぐだった。待つのは慣れている。隣の老夫婦が、ひっきりなしに喋っている。
「みかん、送ってやったか」
「3箇所、送りましたよ。佐世保にも」
「3月は、いかなごだな」
「そうですね」
すると、「340円です」と言って呼ばれた。
「お金、出してください。ありますか。細かいのなかったら500円でも」
なかなか出せないでいる。やっとあったようだ。領収証やその他の紙片をもらうと老婦の方が、
「封筒を出して下さい」
と言った。なかなか入らないようだった。老婦は、受け取った封筒に領収書などを入れようとして言った。
「ごちゃごちゃ入れているから・・。もっと大きい封筒にして下さいよ」
金銭は、老父が管理しているように思えた。
余りにも言葉とは裏腹に動作が緩慢なので、私は横を振り向いた。顔は一点を向いたままだった。目の不自由な老父だったのだ。会話では全く分からない。幾たびかの苦悩を乗り越えて来たのだなと思った。やがて、老婦の肩に手を添えると、老婦の方が白い杖を持ち、正面入り口から出て行った。
垂水の商店街を歩いていたら、魚屋があった。美味そうな刺身が350円。マグロのぶつ切りが200円。鯛の大きな切り身が4切れで500円。買わない訳にはいかなかった。安いのだ。
隣は八百屋である。孫の顔が浮かんで、200円のイチゴを買った。
今から、早速マグロのぶつ切りと鯛の切り身の塩焼きを食べるつもりだ。ちょっと、焼酎と一緒に食べてみよう。
昨日買ったアンパンマンのゲイラーカイトがある。昼食後は、孫と近くの大きな公園に行く事にしているのだ。糸の長さは、35メートル。初挑戦の孫の顔がどう変化するかが楽しみだ。さあ、吉と出るか凶と出るか。