日本の美しい、優しい歌々を伝えようとする姉妹がいる。もう誰でも知っている人だが、こう言う人達がいなければいくら財産であっても廃れてしまう。

それが、安田祥子と由紀さおりの姉妹だ。二人がそれぞれの思いを何かの専門誌に載せていたので、コピーしていた短文から、もう一度読み返してみたい。


受け継いでほしい日本の美しい歌
歌手[安田祥子]

最近、ある学校では、同じ歌をみんなで一斉に歌うことが少なくなったという話を聞きました。みんなの好みが違っているため、先生方は曲選びにたいへん苦労なさっているそうです。でも、6年間のうちに、少なくとも「故郷」「花」「朧月夜」「紅葉」「早春賦」の5曲は、教えていただきたいなと思います。これらの歌は、確かにことば遣いの古いものもあるかもしれませんが、日本の季節感や気候風土を見事に映し、日本語の表現としてもたいへん美しいのです。みんなが知っている共通の歌があるということは大切なことだと思います。

これらの歌を通して、日本人としての感性も育まれていきます。国際化が言われていますが、外国に出ても、日本人としての感性を認識していることは必要なことなのです。日本の美しい歌を子どもたちに受け継いでいってもらいたいものです。



子どもの成長を褒めましょう
歌手[由紀さおり]

わたしは子どものころから歌を歌っていましたので、学校も休みがちでした。歌と学校を両立するのは、とても難しいことでした。こういうわたしに対して冷ややかな人も中にはいましたが、褒めてくれたりサポートしてくれる先生がいて、とても勇気づけられました。この先生との出会いがあったからこそ、歌も学校も両方頑張れたのだと思っています。

子どもは、先生に褒められ、先生を好きになるととても頑張ります。子どもの得意なものやよいところを小さなうちから意識させ、褒めてあげることが大事だと思います。そうすると、子どもは自信をもち伸びていくのではないかと思います。音楽やスポーツ何でもいいと思います。小さいときから目標を持たせてあげて、その子どもの好きなことを見つける手伝いをしてほしいですね。



どちらもタイトル通りの短文で、それぞれの願いが分かった。

祥子さんの選んだこの5曲も非常に味わい深い。小さい頃からずっと歌っていた、謂わば童謡歌手が選んだ曲だ。私だったらこの中の1曲位は入ったかも知れないが、違った曲を選んでいただろうと思う。

さおりさんの方が馴染みはある。よくテレビに出ていたからだ。「小さいときから目標を持たせてあげて、その子どもの好きなことを見つける手伝いをしてほしいですね」。これも大切な事だと思う。慌てなくてもいいけれど、何か切っ掛けを与えるのは我々大人なのだ。

童謡や唱歌を中高年の人達に歌わせる活動もあるようだが、この辺りは子供の頃に歌っていた懐かしさも伴っている。しかし、今の子供たちには余り興味のない歌かもしれないのだ。内容も言葉もリズムも古くなっている。それを歌わせるには、受け継いで行って貰うしかないのだ。

頼らざるを得ないのが教育現場だが、小学校の教科書にはそれぞれ3曲位の文部省唱歌などが載っている位だ。それでも、そこからなくなってしまわないように願っている。

我々が心に持ち、時々歌う事は前提だが、なにかの形で伝えるとなると、何かで表現しなくてはならない。オカリナなどはその点、メロディーを伝えやすいと思う。けれど、童謡や唱歌に関心がなければ、メロディーにも上らない。

私は、私が受けた感動と懐かしさと美しさを、出来る限りオカリナで伝えて行きたいと思う。それで育った人間なので、十分に心の小箱に仕舞ってあるのだ。