今朝も穏やかで、静かな2日目の幕開けだった。家の裏側の、向かいの家との間を走る車の音も、目立って少ないのだ。
庭に出てみたくなって、玄関の引き戸を開けた。いきなりの冷気に包まれたが、小さな庭を歩いた。赤い実が上と下で目を引いた。細い木に付けた見上げる南天の実。しゃがんで見詰める万両の実だ。ざらついてややくすんだ赤い色をしている南天の実に対し、万両の実は、艶やかで鮮やかな赤い色をしていた。懐かしい赤と瑞々しい赤だった。
山茶花は幾つかの花びらを散らし、木蓮は猫柳の親分のような蕾を誇っている。主のいない蜘蛛の巣がほったらかしにされていたりする。
身体もそこそこ冷えてしまったので、玄関先にあるローズマリーの葉を擦り、微かなハーブの匂いを嗅いで中に入った。
何を思ったのか、急に啄木の詩集を開いてみた。
「昨日障子の穴を塞いで了つたので、空に雲のあるか無いか知る術はなくなつたが、雨も降らぬ、風も吹かぬ、近所隣に喧嘩の声も聞えない。天下泰平、日本無事」。
こんな文章がある。きっと、今日のような空だっただろうと思った。
石川啄木の「人と作品」第二章の中で朝倉宏哉氏は、石原裕次郎の歌う「錆びたナイフ」は啄木の一首から翻案されたものであることは、ほぼ間違いあるまい、と述べている。
砂山の砂を指で掘ってたら
まっかに錆びたジャックナイフが出てきたよ
どこのどいつがうずめたか
胸にじんとくる小島の秋だ
啄木の三行詩を「一握の砂」の初めから、翻案されたと言うこの歌の元になった詩を通り、少し先まで辿ってみよう。特によく聞いた詩もあり、口元が緩む事だろう。
我を愛する歌
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
頬につたふ
なみだのごはず
一握の砂を示しし人を忘れず
大海にむかひて一人
七八日
泣きなむとすと家を出でにき
いたく錆びしピストル出でぬ
砂山の
砂を指もて掘りてありしに
ひと夜さに嵐来りて築きたる
この砂山は
何の墓ぞも
砂山の砂に腹這ひ
初恋の
いたみを遠くおもひいづる日
砂山の裾によこたはる流木に
あたり見まはし
物言ひてみる
いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ
しつとりと
なみだを吸へる砂の玉
なみだは重きものにしあるかな
大といふ字を百あまり
砂に書き
死ぬことをやめて帰り来れり
目さまして猶起き出でぬ児の癖は
かなしき癖ぞ
母よ咎むな
ひと塊の土に涎し
泣く母の肖顔つくりぬ
かなしくもあるか
燈影なき室に我あり
父と母
壁のなかより杖つきて出づ
たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず
一般参賀に対して天皇のお言葉が、テレビから流れていた。
「本年が皆さんそれぞれにとり、良い年となるよう願っています。年頭に当たり人々の幸せと世界の平安を祈ります」
私も、家族の幸せ、日本の穏やかさ、世界の平和、地球の限りない美しさを望みます。
庭に出てみたくなって、玄関の引き戸を開けた。いきなりの冷気に包まれたが、小さな庭を歩いた。赤い実が上と下で目を引いた。細い木に付けた見上げる南天の実。しゃがんで見詰める万両の実だ。ざらついてややくすんだ赤い色をしている南天の実に対し、万両の実は、艶やかで鮮やかな赤い色をしていた。懐かしい赤と瑞々しい赤だった。
山茶花は幾つかの花びらを散らし、木蓮は猫柳の親分のような蕾を誇っている。主のいない蜘蛛の巣がほったらかしにされていたりする。
身体もそこそこ冷えてしまったので、玄関先にあるローズマリーの葉を擦り、微かなハーブの匂いを嗅いで中に入った。
何を思ったのか、急に啄木の詩集を開いてみた。
「昨日障子の穴を塞いで了つたので、空に雲のあるか無いか知る術はなくなつたが、雨も降らぬ、風も吹かぬ、近所隣に喧嘩の声も聞えない。天下泰平、日本無事」。
こんな文章がある。きっと、今日のような空だっただろうと思った。
石川啄木の「人と作品」第二章の中で朝倉宏哉氏は、石原裕次郎の歌う「錆びたナイフ」は啄木の一首から翻案されたものであることは、ほぼ間違いあるまい、と述べている。
砂山の砂を指で掘ってたら
まっかに錆びたジャックナイフが出てきたよ
どこのどいつがうずめたか
胸にじんとくる小島の秋だ
啄木の三行詩を「一握の砂」の初めから、翻案されたと言うこの歌の元になった詩を通り、少し先まで辿ってみよう。特によく聞いた詩もあり、口元が緩む事だろう。
我を愛する歌
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
頬につたふ
なみだのごはず
一握の砂を示しし人を忘れず
大海にむかひて一人
七八日
泣きなむとすと家を出でにき
いたく錆びしピストル出でぬ
砂山の
砂を指もて掘りてありしに
ひと夜さに嵐来りて築きたる
この砂山は
何の墓ぞも
砂山の砂に腹這ひ
初恋の
いたみを遠くおもひいづる日
砂山の裾によこたはる流木に
あたり見まはし
物言ひてみる
いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ
しつとりと
なみだを吸へる砂の玉
なみだは重きものにしあるかな
大といふ字を百あまり
砂に書き
死ぬことをやめて帰り来れり
目さまして猶起き出でぬ児の癖は
かなしき癖ぞ
母よ咎むな
ひと塊の土に涎し
泣く母の肖顔つくりぬ
かなしくもあるか
燈影なき室に我あり
父と母
壁のなかより杖つきて出づ
たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず
一般参賀に対して天皇のお言葉が、テレビから流れていた。
「本年が皆さんそれぞれにとり、良い年となるよう願っています。年頭に当たり人々の幸せと世界の平安を祈ります」
私も、家族の幸せ、日本の穏やかさ、世界の平和、地球の限りない美しさを望みます。