今正にサイは投げられ、超スローモーションで転がり、その行方が注目されていると言っていいだろう。国民皆が同じ路線に立っていないのは周知の事実であるが、読売新聞のコラム氏の意見も見て置こうと思う。
2009.12.10 編集手帳
会社の始業時刻にいつも遅れる男が逮捕された。容疑は「怠慢」。いつも早めに来る男も逮捕された。容疑は「スパイ」。定刻に来る男も逮捕された。容疑は「日本製の時計を隠し持っているに違いない」。
旧ソ連の小話は日本の優れた技術力とともに、精巧な製品を作り出す土壌、決められた約束ごとを律儀に守る国民性をも伝えている。前政権が交わしたとはいえ、政府間の合意である。「普天間」で止まったまま動かぬ鳩時計は謎というほかはない。
先の首脳会談で鳩山首相がオバマ大統領に告げた<私を信じて>を素直に解釈すれば、日米合意を履行する意思表明と受け取るのが自然である。
それでいて決定をずるずる先延ばしにするとは、大統領と沖縄県民、双方に対してこれ以上の背信行為はあるまい。米側は止まった時計に不信を募らせ、「日米同盟の深化」を目指す政府間協議の延期を通告してきた。
政権の能力を超えて手に余るのなら、「普天間」限定で自民党から知恵と人材を借りるのもいいだろう。国民の生命と財産の明日を刻むかけがえのない“日米時計”である。修理に与党も野党もない。
2009.12.14 よみうり寸評
けさは朝刊がお休み。そこで鳩山首相にはきのうの朝刊を再読いただきたい。何をかといえば本紙の<地球を読む>がいい。
山内昌之東大教授の寄稿。「首相は日米関係などの外交でもマニフェストという固定した価値観にとらわれすぎている。実際の国際政治がもたらす無限の複雑さを楽観主義で単純化するか、国内向けに極度の主観性で無視しようとしていないか」とある。
見出しは<鳩山外交戦略あいまい>。そのせいだろうか、普天間飛行場の移設問題をはじめ鳩山外交の歩みが危うく見えてならない。
「日米関係こそ外交の基軸」といいながら問題先送りだ。前政権時代とはいえ、移設は国と国の合意。具体的な代案もなしの先送りでいいのか。外交より連立維持重視は不可解だ。
中国の国家副主席と天皇陛下との会見ごり押しもおかしい。会見申請のルールを無視した「政治利用」ではないか。この時期に、対米、対中国のバランスを考えてもよろしくない。
八方美人が八方ふさがりにならなければいいが。
まだまだ憂える問題もある。
2009.12.15 今日のノート(文化・生活部長 石垣朝克)
思ったことを正直に言えないことがある。トラブルを避けるためだが、一方で言葉の真意をくみ取ってほしい、との願いが込められていることもあるから、厄介だ。
子どもの学校生活の様子を担任の先生が記す通知表の所見欄。モンスターペアレンツの増加に伴い、行儀の良くない子どもでも、マイナスイメージを抱くようなことは書けないから記入する際、気を遣うという。
最近では、先生向けに記入文例集なる本も出版されている。例えば性格について、「落ち着きがない」は「行動的な」、「がんこな」は「自分の意見を持っている」「意志が強い」、「騒がしい」は「活発な」、「いいかげんな」は「こだわらない」、「いばっている」は「自信に満ちている」などとなっている。
教育評論家のはやし浩司さんは、「ずけずけものを言う親に対し、先生が萎縮している。今の先生と親の距離感がよくわかる」と話す。
子どもの頃、クラスの児童全員に、一言ではあるが、それぞれの長所を見つけ出して通知表に書いてくれた先生がいた。何度も読み返して友だちと喜びあったのを思い出す。先生の言葉にはごまかしがなかったので、幼心にも響くものがあったのだろう。
もうすぐ2学期の終業式。先生の言葉を字面通りに受け止めていると、意図していることに気づかないかもしれない。
どれを読んでも、明るい話題の少ない平成21年も幕を閉じようとしている。草を食むばかりだった丑年も、来年は是非屏風から抜け出して、正しい方向に明るい寅の雄叫びを上げて欲しいものだと思っている。
2009.12.10 編集手帳
会社の始業時刻にいつも遅れる男が逮捕された。容疑は「怠慢」。いつも早めに来る男も逮捕された。容疑は「スパイ」。定刻に来る男も逮捕された。容疑は「日本製の時計を隠し持っているに違いない」。
旧ソ連の小話は日本の優れた技術力とともに、精巧な製品を作り出す土壌、決められた約束ごとを律儀に守る国民性をも伝えている。前政権が交わしたとはいえ、政府間の合意である。「普天間」で止まったまま動かぬ鳩時計は謎というほかはない。
先の首脳会談で鳩山首相がオバマ大統領に告げた<私を信じて>を素直に解釈すれば、日米合意を履行する意思表明と受け取るのが自然である。
それでいて決定をずるずる先延ばしにするとは、大統領と沖縄県民、双方に対してこれ以上の背信行為はあるまい。米側は止まった時計に不信を募らせ、「日米同盟の深化」を目指す政府間協議の延期を通告してきた。
政権の能力を超えて手に余るのなら、「普天間」限定で自民党から知恵と人材を借りるのもいいだろう。国民の生命と財産の明日を刻むかけがえのない“日米時計”である。修理に与党も野党もない。
2009.12.14 よみうり寸評
けさは朝刊がお休み。そこで鳩山首相にはきのうの朝刊を再読いただきたい。何をかといえば本紙の<地球を読む>がいい。
山内昌之東大教授の寄稿。「首相は日米関係などの外交でもマニフェストという固定した価値観にとらわれすぎている。実際の国際政治がもたらす無限の複雑さを楽観主義で単純化するか、国内向けに極度の主観性で無視しようとしていないか」とある。
見出しは<鳩山外交戦略あいまい>。そのせいだろうか、普天間飛行場の移設問題をはじめ鳩山外交の歩みが危うく見えてならない。
「日米関係こそ外交の基軸」といいながら問題先送りだ。前政権時代とはいえ、移設は国と国の合意。具体的な代案もなしの先送りでいいのか。外交より連立維持重視は不可解だ。
中国の国家副主席と天皇陛下との会見ごり押しもおかしい。会見申請のルールを無視した「政治利用」ではないか。この時期に、対米、対中国のバランスを考えてもよろしくない。
八方美人が八方ふさがりにならなければいいが。
まだまだ憂える問題もある。
2009.12.15 今日のノート(文化・生活部長 石垣朝克)
思ったことを正直に言えないことがある。トラブルを避けるためだが、一方で言葉の真意をくみ取ってほしい、との願いが込められていることもあるから、厄介だ。
子どもの学校生活の様子を担任の先生が記す通知表の所見欄。モンスターペアレンツの増加に伴い、行儀の良くない子どもでも、マイナスイメージを抱くようなことは書けないから記入する際、気を遣うという。
最近では、先生向けに記入文例集なる本も出版されている。例えば性格について、「落ち着きがない」は「行動的な」、「がんこな」は「自分の意見を持っている」「意志が強い」、「騒がしい」は「活発な」、「いいかげんな」は「こだわらない」、「いばっている」は「自信に満ちている」などとなっている。
教育評論家のはやし浩司さんは、「ずけずけものを言う親に対し、先生が萎縮している。今の先生と親の距離感がよくわかる」と話す。
子どもの頃、クラスの児童全員に、一言ではあるが、それぞれの長所を見つけ出して通知表に書いてくれた先生がいた。何度も読み返して友だちと喜びあったのを思い出す。先生の言葉にはごまかしがなかったので、幼心にも響くものがあったのだろう。
もうすぐ2学期の終業式。先生の言葉を字面通りに受け止めていると、意図していることに気づかないかもしれない。
どれを読んでも、明るい話題の少ない平成21年も幕を閉じようとしている。草を食むばかりだった丑年も、来年は是非屏風から抜け出して、正しい方向に明るい寅の雄叫びを上げて欲しいものだと思っている。