2009年11月7日午後8時過ぎに出発した。先ずうどん屋で腹ごしらえをしてからだから、9時頃に出たも同じだ。連れ合いと娘と孫の4人が乗り込んだ。
11時半頃福山の自宅に娘と孫を降ろし、寝てはならぬ夜一筋の高速道路をひた走った。
小谷(こだに)のサービスエリアに入ったのが日が替わった(8日)0時40分だった。言ってみればトイレ休憩だ。すぐそこを出て、次は下松(くだまつ)まで走った。そうそう、それまでに龍野西に寄り、天津甘栗「楽笑栗」を買った。やっぱりここには売っていた。小さな袋が4つ入った大きな袋だが、思い切って6袋買ってしまった。悲願達成か。
下松では2時半頃になっていたと思う。眠いと言ってここに入った。少し待ったが起きる気配がない。このまま寝過ごせばオカリナフェスタが水の泡である。運転を代わって只管進路をとった。
会場に着くと6時45分頃で、辺りはすっかり明るくなっていた。広い駐車場に車は1~2台。8時前になると、職員や出演者が徐々に集まり出した。8時半から9時までが受付だ。8時だったが門扉が微かに開かれていたので中に入った。トイレを借りた。
トイレやフロアーの掃除が始まっていた。話しかけて来た主催者の人と暫く話した。
受付を済ませた。演奏会場で9時10分より、演奏の代表者が集まって打ち合わせが行われた。開演まで、結構時間を持て余す。暫くすると義兄夫婦が聴きに来てくれ、時間まで持ち堪えた。
天井も高く、ここは多目的ホールになっているようだ。何人座れるように椅子を並べたのか数えてはいないが、200席以上はあっただろうか。最初の方だから聴く人は少ないだろうと思ったが、8割位は入っていた。打ち合わせが9時10分である所為だろう。つまり出演者は既に勢揃いしているのである。
午前が10組、午後が13組だ。各出演者の特徴を書く事も出来るが、特に必然性もないので演奏曲がどんなものであったかだけ記しておこう。オカリナ吹きにとって曲目が参考になるのだ。自分が次に吹いてみたい曲に出会ったりする。
1. さくら しょうじょう寺の狸ばやし
2. 母さんの歌 崖の上のポニョ
3. 竹田の子守唄 マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン タイタニック・愛のテーマ
4. オー・シャンゼリゼ アムール河の波
5. さとうきび畑 Believe
6. エーデルワイス ふるさと
7. 手紙 トップ オブ ザ ワールド
8. 天空のオリオン リュブリャーナの青い空
9. アメイジング・グレース シベリア鉄道
10. おくりびと 水の妖精
お昼休憩(12時~13時)
11.テルーの歌 アンニーローリー
12.月の光 となりのトトロ
13.Ave malia(Giulio Caccini) 僕の背中には羽根がある
14.夜空ノムコウ アマポーラ
15.瀬戸の花嫁 安堵の風景
16.情熱大陸 天国と地獄
17.竹田の子守唄 サウンド オブ サイレンス
18.さんぽ 遥かな友に
19.いい日旅立ち 知床旅情
20.君をのせて 崖の上のポニョ
21.おぼろ月夜 リュブリャーナの青い空
22.春雷 風の都
23.見上げてごらん夜の星を 鉄腕アトム
義兄夫婦には昼まで居て貰う事にしていた。弁当を4個注文していたからだ。広い食堂に行った。自由空間のようだったが、そこで勝手に弁当を食べていいものか分からず、カレーやドリンクなどを販売している人に聴いた。
「何か注文したら、テーブルで弁当を食べてもいいですか」
返事はこうだった。
「ああ、構いませんよ。何も注文しなくてもどうぞ食べて下さい」
ホッとして、適当な所に陣取った。
弁当は600円だったが、事前に申し込んでおいた。炊き込みご飯に幾つもの食べ物が枠に入れられている。皆、これは旨いと褒めていた。600円でこの弁当は安い。神戸なら淡路屋の弁当で1000円取られてもおかしくはない。600円で喜んで貰えたら、今日の仕事は済んだも同じ事。アンケートの「とっても美味しい」の所を大きく囲んだ。
すると二人の女の人が近づいて来て、「とっても良かったです」と言って褒めてくれた。去年神戸のフェスティバルで私に話しかけたと言う。何となく思い出した。去年は出演していないと言った。折角娘が作ってくれたホヤホヤの名刺を渡そうと思ったが、くれとも言われてないのに渡すのも出しゃばり過ぎるので、それはうやむやにした。
窓の外で「きみをのせて」と「崖の上のポニョ」が聴こえて来た。その人達も黄色い服に着替えて練習し出した。十数人のグループの内の2人だった。
義兄夫婦は高田に帰り、私は空になった弁当の入れ物を会場横に持って行った。
服を着替える為に、車の方へ行こうとした。
1人の女の人から声を掛けられた。
「とっても素敵でした。また来年も来て下さい」
このように評価されると、期待していなかっただけに嬉しい気がするものだ。
そうして1・2歩歩こうとしたら1人で座っていた人が立ち上がって、
「2番目に演奏された方ですよね」
と言って傍に来た。
「素晴らしかったです。かあさんの歌が感動しました。崖の上のポニョもですけど」
少し歩くとすぐさま男女2人が寄って来た。この人の仲間で、3番目に演奏した3人組だった。「竹田の子守唄」も「タイタニック愛のテーマ」もそうだが、2人の女の人が合わせて吹いた最高音の1音がとっても綺麗だったので、その事を言おうとしてすっかり忘れてしまった。
「私もかあさんの歌に挑戦してみようと思います」
ともう1人の女の人。
「オカリナ、教えてらっしゃるのですか」
「いいえ、勝手に一人でやっています」
教えるなどとんでもない事だが、それより、また私の饒舌が始まった。
「かあさんの歌はソプラノのB♭管で吹いています。C管よりほんの少し音が低いですが、それが聴く者に優しさを感じさせるのでしょう。ああ、私のオカリナお見せしましょうか」
するとさっと付いて来た。長椅子に座るよう催促しながら、女の人2人は長椅子の前にしゃがんでいた。今度は私が座るように勧めたが、一向に座る気配はなかった。
この日は使わなかったが「イカロス」を取り出すと、あっと驚いた様子だった。吹き口が3つもあるのだから、三つ目小僧を見たような驚きだったろう。他のオカリナも見せて手渡すと、大切に扱いながら恐る恐る見ていた。
短い時間に役立つような事を話した積もりだが時間もない。一頻り話して着替えに行った。連れ合いはそのまま車で母親の見舞いに行った。会場に戻ると午後の部の1番目が終わっていた。
また喋り過ぎた。沈黙は金なのに、これでは鉄だ。しかも、錆びた鉄。ああ、何の因果か・・。親はそんな事なかったのに。これは明らかに後天的なものだ。出来るだけ慎ましく生きて行こうとして来たのに。
幾つか上手いなと思ったグループやソロがあった。グループと言ってもデュオかトリオなんだけれど。司会者も上手いと思った人にはインタビューの中で必ず「オカリナを始めた切っ掛けは何ですか」と訊き、「どの位やっていますか」と訊いた。
私は決して自慢をしている積もりはないし、有頂天になっているのでもない。けれど、司会者が一番最初に私にも訊いて来た事だったので、良かったとホッとしただけである。
ポニョの時は途中から手拍子が入った。皆乗りながら聴いてくれているなと分かっていた。かあさんの歌の時もそうだが、聴いてくれている人達の顔が柔らかだった。特に一番前に座っている女の人は、とても好意的ないい顔をして聴いていた。それだけでも、長い間車に乗って来た甲斐がある。
次、必ず練習したい曲が2曲見つかった。それもフェスタ冥利に尽きる。
終わった後、電動トラムカーに乗って、園内を1周した。天蓋付の2両を繋げた車だが、よくこんな長いものを上手に運転するなと思った。2つあって、1つは「てんとう虫1号」、もう1つの私が乗ったのは「はなちゃん号」だった。
すぐに食堂に行けば残っている人達と話せたかも知れないが、迎えに来るまでに時間があるので、咄嗟に乗り込んだ。後ろで写真を撮っているのか、若い夫婦と子供。「ハナ、トゥル、セッ」と聞こえた。「いち、にっ、さん」と言っているのである。喋ろうと思ったが、私のすぐ後ろに乗って来た人に遮られた。暫く、ハングルを忘れていた。
決して、自慢話とは取らないで欲しい。飽く迄在りのままの描写に過ぎないからだ。「音楽は一瞬の芸術ですよ」と7日の演奏で言ったあの74才の女性の言葉の如く、よかったと胸を撫で下ろす時もあれば、大層落ち込む事だってある。個人的にはホッとした反面、微妙におかしかった所もあるので、それは次への反省事項にしたい。
一つだけはっきりした事がある。行くぞ、牛窓の「DON」へ。そこで、この「かあさんの歌」を吹くのだ。この1曲だけ、窪田聡さんの前で演奏したいと思う。
もう今はオカリナを吹きたくない。吹く元気がない。たった2曲の為に、長い月日を費やした。ぐったり疲れてしまった。正確には、吹きたいのに吹けないのだ。
待てよ、それは長旅の疲れかも知れないぞ?
11時半頃福山の自宅に娘と孫を降ろし、寝てはならぬ夜一筋の高速道路をひた走った。
小谷(こだに)のサービスエリアに入ったのが日が替わった(8日)0時40分だった。言ってみればトイレ休憩だ。すぐそこを出て、次は下松(くだまつ)まで走った。そうそう、それまでに龍野西に寄り、天津甘栗「楽笑栗」を買った。やっぱりここには売っていた。小さな袋が4つ入った大きな袋だが、思い切って6袋買ってしまった。悲願達成か。
下松では2時半頃になっていたと思う。眠いと言ってここに入った。少し待ったが起きる気配がない。このまま寝過ごせばオカリナフェスタが水の泡である。運転を代わって只管進路をとった。
会場に着くと6時45分頃で、辺りはすっかり明るくなっていた。広い駐車場に車は1~2台。8時前になると、職員や出演者が徐々に集まり出した。8時半から9時までが受付だ。8時だったが門扉が微かに開かれていたので中に入った。トイレを借りた。
トイレやフロアーの掃除が始まっていた。話しかけて来た主催者の人と暫く話した。
受付を済ませた。演奏会場で9時10分より、演奏の代表者が集まって打ち合わせが行われた。開演まで、結構時間を持て余す。暫くすると義兄夫婦が聴きに来てくれ、時間まで持ち堪えた。
天井も高く、ここは多目的ホールになっているようだ。何人座れるように椅子を並べたのか数えてはいないが、200席以上はあっただろうか。最初の方だから聴く人は少ないだろうと思ったが、8割位は入っていた。打ち合わせが9時10分である所為だろう。つまり出演者は既に勢揃いしているのである。
午前が10組、午後が13組だ。各出演者の特徴を書く事も出来るが、特に必然性もないので演奏曲がどんなものであったかだけ記しておこう。オカリナ吹きにとって曲目が参考になるのだ。自分が次に吹いてみたい曲に出会ったりする。
1. さくら しょうじょう寺の狸ばやし
2. 母さんの歌 崖の上のポニョ
3. 竹田の子守唄 マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン タイタニック・愛のテーマ
4. オー・シャンゼリゼ アムール河の波
5. さとうきび畑 Believe
6. エーデルワイス ふるさと
7. 手紙 トップ オブ ザ ワールド
8. 天空のオリオン リュブリャーナの青い空
9. アメイジング・グレース シベリア鉄道
10. おくりびと 水の妖精
お昼休憩(12時~13時)
11.テルーの歌 アンニーローリー
12.月の光 となりのトトロ
13.Ave malia(Giulio Caccini) 僕の背中には羽根がある
14.夜空ノムコウ アマポーラ
15.瀬戸の花嫁 安堵の風景
16.情熱大陸 天国と地獄
17.竹田の子守唄 サウンド オブ サイレンス
18.さんぽ 遥かな友に
19.いい日旅立ち 知床旅情
20.君をのせて 崖の上のポニョ
21.おぼろ月夜 リュブリャーナの青い空
22.春雷 風の都
23.見上げてごらん夜の星を 鉄腕アトム
義兄夫婦には昼まで居て貰う事にしていた。弁当を4個注文していたからだ。広い食堂に行った。自由空間のようだったが、そこで勝手に弁当を食べていいものか分からず、カレーやドリンクなどを販売している人に聴いた。
「何か注文したら、テーブルで弁当を食べてもいいですか」
返事はこうだった。
「ああ、構いませんよ。何も注文しなくてもどうぞ食べて下さい」
ホッとして、適当な所に陣取った。
弁当は600円だったが、事前に申し込んでおいた。炊き込みご飯に幾つもの食べ物が枠に入れられている。皆、これは旨いと褒めていた。600円でこの弁当は安い。神戸なら淡路屋の弁当で1000円取られてもおかしくはない。600円で喜んで貰えたら、今日の仕事は済んだも同じ事。アンケートの「とっても美味しい」の所を大きく囲んだ。
すると二人の女の人が近づいて来て、「とっても良かったです」と言って褒めてくれた。去年神戸のフェスティバルで私に話しかけたと言う。何となく思い出した。去年は出演していないと言った。折角娘が作ってくれたホヤホヤの名刺を渡そうと思ったが、くれとも言われてないのに渡すのも出しゃばり過ぎるので、それはうやむやにした。
窓の外で「きみをのせて」と「崖の上のポニョ」が聴こえて来た。その人達も黄色い服に着替えて練習し出した。十数人のグループの内の2人だった。
義兄夫婦は高田に帰り、私は空になった弁当の入れ物を会場横に持って行った。
服を着替える為に、車の方へ行こうとした。
1人の女の人から声を掛けられた。
「とっても素敵でした。また来年も来て下さい」
このように評価されると、期待していなかっただけに嬉しい気がするものだ。
そうして1・2歩歩こうとしたら1人で座っていた人が立ち上がって、
「2番目に演奏された方ですよね」
と言って傍に来た。
「素晴らしかったです。かあさんの歌が感動しました。崖の上のポニョもですけど」
少し歩くとすぐさま男女2人が寄って来た。この人の仲間で、3番目に演奏した3人組だった。「竹田の子守唄」も「タイタニック愛のテーマ」もそうだが、2人の女の人が合わせて吹いた最高音の1音がとっても綺麗だったので、その事を言おうとしてすっかり忘れてしまった。
「私もかあさんの歌に挑戦してみようと思います」
ともう1人の女の人。
「オカリナ、教えてらっしゃるのですか」
「いいえ、勝手に一人でやっています」
教えるなどとんでもない事だが、それより、また私の饒舌が始まった。
「かあさんの歌はソプラノのB♭管で吹いています。C管よりほんの少し音が低いですが、それが聴く者に優しさを感じさせるのでしょう。ああ、私のオカリナお見せしましょうか」
するとさっと付いて来た。長椅子に座るよう催促しながら、女の人2人は長椅子の前にしゃがんでいた。今度は私が座るように勧めたが、一向に座る気配はなかった。
この日は使わなかったが「イカロス」を取り出すと、あっと驚いた様子だった。吹き口が3つもあるのだから、三つ目小僧を見たような驚きだったろう。他のオカリナも見せて手渡すと、大切に扱いながら恐る恐る見ていた。
短い時間に役立つような事を話した積もりだが時間もない。一頻り話して着替えに行った。連れ合いはそのまま車で母親の見舞いに行った。会場に戻ると午後の部の1番目が終わっていた。
また喋り過ぎた。沈黙は金なのに、これでは鉄だ。しかも、錆びた鉄。ああ、何の因果か・・。親はそんな事なかったのに。これは明らかに後天的なものだ。出来るだけ慎ましく生きて行こうとして来たのに。
幾つか上手いなと思ったグループやソロがあった。グループと言ってもデュオかトリオなんだけれど。司会者も上手いと思った人にはインタビューの中で必ず「オカリナを始めた切っ掛けは何ですか」と訊き、「どの位やっていますか」と訊いた。
私は決して自慢をしている積もりはないし、有頂天になっているのでもない。けれど、司会者が一番最初に私にも訊いて来た事だったので、良かったとホッとしただけである。
ポニョの時は途中から手拍子が入った。皆乗りながら聴いてくれているなと分かっていた。かあさんの歌の時もそうだが、聴いてくれている人達の顔が柔らかだった。特に一番前に座っている女の人は、とても好意的ないい顔をして聴いていた。それだけでも、長い間車に乗って来た甲斐がある。
次、必ず練習したい曲が2曲見つかった。それもフェスタ冥利に尽きる。
終わった後、電動トラムカーに乗って、園内を1周した。天蓋付の2両を繋げた車だが、よくこんな長いものを上手に運転するなと思った。2つあって、1つは「てんとう虫1号」、もう1つの私が乗ったのは「はなちゃん号」だった。
すぐに食堂に行けば残っている人達と話せたかも知れないが、迎えに来るまでに時間があるので、咄嗟に乗り込んだ。後ろで写真を撮っているのか、若い夫婦と子供。「ハナ、トゥル、セッ」と聞こえた。「いち、にっ、さん」と言っているのである。喋ろうと思ったが、私のすぐ後ろに乗って来た人に遮られた。暫く、ハングルを忘れていた。
決して、自慢話とは取らないで欲しい。飽く迄在りのままの描写に過ぎないからだ。「音楽は一瞬の芸術ですよ」と7日の演奏で言ったあの74才の女性の言葉の如く、よかったと胸を撫で下ろす時もあれば、大層落ち込む事だってある。個人的にはホッとした反面、微妙におかしかった所もあるので、それは次への反省事項にしたい。
一つだけはっきりした事がある。行くぞ、牛窓の「DON」へ。そこで、この「かあさんの歌」を吹くのだ。この1曲だけ、窪田聡さんの前で演奏したいと思う。
もう今はオカリナを吹きたくない。吹く元気がない。たった2曲の為に、長い月日を費やした。ぐったり疲れてしまった。正確には、吹きたいのに吹けないのだ。
待てよ、それは長旅の疲れかも知れないぞ?