ふうーっ。

1日掛かりの「音楽への誘い2009」だった。

が、結論を急ごう。あの結婚式前夜の親族の顔合わせで吹いたオカリナが、簡単な曲なのに2曲とも失敗してしまったのが尾を引いたのか、今日もまたイージーミスをしてしまった。それは、コマーシャル? の後で。


朝9時24分のバスに乗った。それまでに5回位練習した。今まで1000回以上練習した「千の風になって」だ。これでよし、と。そう思った。

垂水勤労市民センター「レバンテホール」に着いた。10時過ぎからリハーサルが5分ある。音源はCDは大層なので、カセットテープに入れたものを渡した。「平常心で出来るよう祈っていた。それはクリアーした。

いつも思うのだけれど、リハーサルの時は人が聴いたり観たりしていても、決して拍手はしてくれない。ちょっと位パチパチがあってもいいのではないか、と思った。本番で失敗する事もあるからね。でも、自分でも人のリハーサルに拍手を送った事はないから、ねだっては駄目だと思う。

ちょっとでも膨れた腹を見せたくないので、朝食は抜いた。

ある知り合いのグループ4人が、私の椅子の横にずらっと並んだ。私はもう終えていたが、この人達は11時頃だと言う。リハーサルが終わったら昼を一緒しましょうと言うので、荷物の番を兼ねて、聴きながら待っていた。

さて何処へ? 私は一人で寿司を食べる事に決めていた。けれど、言われる所に行こうと思った。しかし、言って元々。「寿司を食べませんか」と言ったら、すんなり決まった。大体昼は安くなっている。すぐ近くの「えびす」に誘った。760円で10貫。それに魚のあらを入れた赤だしが付く。ここは私が旨いと決めている店でもある。粉を各自で入れてお湯を注ぐと抹茶が飲める。やっぱり旨かった。

12時10分なのにもう始まっているかと思った。リハーサルが、まだ続いているのだった。暫く、オカリナを指導している先生と話をしていた。「ピアノが出来て指導出来るのは強みですね」と言った。4歳位に戻れるのなら、オカリナは10歳から始めるとして、先ずピアノを習いたい。全くピアノの出来ない私が、高校生の時ピアノのピースを買って来て、来る日も来る日も楽譜と睨めっこで「エリーゼの為に」だけ、自分で勝手に練習した事がある。ピアノはいい。


オカリナだけでなく、楽器は何でもよいフェスタだ。フォルクローレ。ピアニカ。ハーモニカ。リコーダー。ヘルマンハープそれぞれのグループも出演している。これらはどれも聴かせてくれた。ハーモニカやリコーダーは、低音の楽器がでかい。見る楽しみもあった。ケーナも上手かったし、ピアニカは指がよく動いた。女性のデュオだ。最初オカリナかと思って、たじろいだ。コパカバーナと熊蜂の飛行を一つにまとめて曲に仕立てていて、必ず観ようと思っていた。ギリギリまでピアニカだとは気付かなかった。これは楽しかった。リズムがいい。

オカリナは、グループばかりだったが、かなり技術が向上している。人数が多くても、不協和音が感じられなくなっていた。いい気持ちで聴けた。


いよいよ私の出番がやって来た。ソロは私だけだと気が付いたのは、家に帰ってからだった。

前奏が始まった。オカリナ4Cを構えた。音を出した。何とそこ、2番目3番目の音でずっこけた。あり得ない事だ。焦った。けれど、すぐに建て直しを図った。後は間違う事はなかったが、相撲の初日が黒星の印象があった。後は14日間白星だったけれど、同じ1敗同士が戦わなければならない感じだった。全勝だったら単独優勝だったのに、と言った風に。

音楽は怖い。一瞬の勝負だからだ。でも仕方がない。後は思い切り1Cを響かせた。祈りは叶い、平常心でやれた事は感謝する。でも、プロでなくて良かったと言う事か。だから終わっても、開き直りの度胸が出来た。不評を買っているだろうと思った。

また残りの演奏を観に、会場に戻った。帰ろうとしていた人が「素敵でしたよ」と言った。「間違ったんですよ」と返したのに「そうですか?」と言って、問題にしなかった。「素敵な音でした」と続けた。えーっ? と思った。

ホールに戻ると、あの指導者が傍に来た。「間違えました」と言うと「珍しい事ですね」と答えが返って来た。折角聴いてくれたのに残念だと思った。けれど、「あの高音にどよめきが起きていました。それから、演奏の後、ぞろぞろ出て行く人達がいましたよ」と言った。強めに吹いたからだと思うし、平常心で気持ちを込めて演奏出来たからだと思った。「トータルバランスはとても良かったですよ」とも。これは音響のお陰に間違いないと思った。これで最初が良かったら、90点は自己評価出来る所だった。悔しいけど、他山の石にしよう。変なの!

何で人は、間違ったのに、良かったと言うのだろう。


帰りに「王将」で、安くなっている皿うどんと生ビールで一人寂しく打ち上げをした。程よく酔った。955円払って出た。


バスの後部席に座った。雲がもくもくと、その部分だけ入道雲のように白かった。唐獅子のように見えた。暫くすると横に広がって、顔に見えた。それが、トルハルバンのように。済州島の至る所にある、石の像である。腕の位置で武人だったり文人だったりする。

バスを降りると家に近づいた。雲はピンク色に変わっていた。そして、赤ちゃんが布に包まれているように見えた。

「千の風になって」が「千の風邪になって」に変わったけれど、雲は明日への命を繋いでくれた。「こんな日もあるんだよ」と雲は言った。